表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/91

第84話 君といつまでも。

 君といつまでも。


 あなたがなにかをしたいと思ったときに、それができないこともあると思います。

 あなたがなにかになりたいと思ったときにその邪魔をするものがあるときもあります。

 自分の夢を追いかけることはとても大変なことなんです。

 まして自分の夢を叶えるとなればそれは雲をつかむような話なのかもしれません。

 でもね、それでも私はあなたを応援します。夢が叶っても、叶わなくても、応援します。

 それがあなたの一番やりたいことなのであれば、それをして欲しいと思います。

 未来のことなんて誰にもわからないのです。あなたが見ている夢もやがて形を変えていくでしょう。あなたの成長とともに。

 体が変化するように、心も変化して、夢の見えかたも、変わってきます。

 いつまでも変わらない風景はありません。もしあるとすればそれは思い出の中です。あるいは家族はそうなのかもしれませんね。

 お母様にはどんな夢があったのですか?

 私の夢ですか? 若いときには今とは違う夢がありました。でも今の私の夢はあなたたち姉妹と一緒に少しでも長い時間をともに過ごすことです。

 たとえやがて永遠のお別れが来るとしても、それまでは一緒にいたい。

 それが今の私の夢です。

 お母様。死なないでください。

 私も死にたくはありません。

 でも、そう言うわけにもいかないのです。

 私はもうすぐ死にます。

 どんなに愛しているものともお別れのときは必ずきます。

 でもね、忘れないでください。

 私はあなたを愛しています。

 あなたと姉妹のことを。

 愛しています。

 ずっと、ずっと。

 私が死んだあとにもですよ。

 そう言ってお母様は嬉しそうな顔で笑った。

 ずいぶんと痩せてしまったお母様の顔。

 私はそんなお母様の顔に自分の顔をそっとくっつけた。

 お母様の顔の冷たさに私は確かに死を感じた。

 みんなのことをお願いね。つばさ。それから、大変な苦労をかけてしまって本当にごめんなさい。

 お母様は涙を流しながらそう言った。


 眠れないのですか? 

 きらら、こっちにいらっしゃい。

 はい。つばさお姉様。きららは言われた通りにお姉様のところに行く。

 きらら。私はあなたのことを愛しています。心から。愛していますよ。

 つばさお姉様はきららにそっとキスをする。

 きらら。あなたには夢がありますか?

 はい。お姉様。あります。私の夢はお母様に会うことです。と満面の笑顔できららは言う。

 私にも夢があります。なんだかわかりますか?

 わかりません。つばさお姉様の夢はなんですか?

 私の夢は私たち姉妹ができるだけ長く、長く一緒にいて幸せに暮らして行くことです。

 はい。私もずっとお姉様たちと一緒にいたいです。

 うとうとしながらきららは言う。

 きらら。今日はこのまま一緒に眠りましょう。

 微笑みながらお姉様は言う。

 はい。つばさお姉様。嬉しい……です……。

 そう言ったあとできららは(電池が切れたように、自然と目をつぶって)そのまますぐに眠ってしまった。

 いい子ね。幸せな夢を見てね、きらら。

 目をつぶって、つばさは眠る。

 きららを守るようにして。

 その夢の中でつばさは久しぶりに大好きなお母様の夢を見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ