第74話
僕がそらと出会ったのは十二歳のときだった。
そらも十二歳だった。
僕とそらは同い年で、同じくらい孤独だった。
僕には友達がいなかった。
そらはそんな僕にできた初めての友達だった。(そらも僕が初めての友達だと言った)
自分の好きなもの。
趣味。
興味のあるもの。
両親や妹や先生に秘密にしていること。
そんなことを僕とそらは共有した。
そらには家族がいなかった。
帰る家もなくて、そらはこっそりと僕の家で一緒に暮らすことになった。すぐに両親に見つかってばれてしまったけのだけど、両親にそらのことを話して(すごく怒られたけど)そらは家族の一人になった。
ある日、僕たちは動物園に出かけた。
そらがどうしても動物園に行きたい、って大声を出して駄々をこねたからだった。
動物園でいろんな動物をみてはそらはその度に大げさな態度と表情と声で驚きながら感動していた。
そらはいつも感動していた。
感情表現が豊かで、僕よりもずっと『ロボット』であるそらのほうが人間のようだった。
そらは星を見ては感動して、毎日の生活の中で新しいものと出会うと感動して、動物と会うと感動して、天気の変化で感動した。
いつも大きな水色の目をきらきらとさせて、おーとかすごいとか言っていた。




