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第68話 夏休みの終わり

 夏休みの終わり


 長い夏休みが終わって二学期に入ると、さなぎの学校生活に一つの大きな変化があった。

 それは友達ができたことだった。

 さなぎはやよいちゃんと友達になった。

 だからさなぎは小学校に通うことがすごく、すごく楽しくなった。

 のはらとのぞみさんとの関係もそのあともずっと続いていた。

 さなぎのそばからいなくなってしまったのは、妖精さんだけだった。

 さなぎはいつも、どんな場所にいても、ふと、この世界のどこかに妖精さんがいないのかな、と探すようになっていた。(なんとなくきょろきょろと周囲の風景を眺めている癖のようなものがさなぎにはもともとあったのだけど、その癖が以前よりも少し強くなった)

 妖精さん。

 妖精さん、どこ?

 どこにいってしまったの?

 さなぎは見ている夢の中でそんなことを言いながらよく、妖精さんを探していた。それはまるで夏休みに見た、あののぞみさんがのはらを探しているような、そんな不思議で(とても悲しい)夢だった。


 さなぎは妖精さんに会いたかった。

 あって、もう一度妖精さんと友達になりたかった。

 でも、世界のどこを探しても妖精さんを見つけることはできなかった。

 そのことをのぞみさんに話すと、のぞみさんは「妖精さんにはきっと、なにかさなぎちゃんには言えないとても大切な事情があって、さようならも言えないままに、さなぎちゃんの前からいなくなってしまったのだと思うの。それはとても悲しいことだけど、でも、さなぎちゃんは妖精さんの友達なのだから、妖精さんのこともきちんと考えてあげなくてはいけないんだと思う。そんな風にしてさなぎちゃんが『妖精さんのことをずっと忘れずに覚えていてあげれば』、そうすれば、きっといつか、さなぎちゃんが妖精さんとまた会える日がくるよ。私はそう思うな」

 ととても優しい顔をしてさなぎにいった。


「さなぎ、なにやってるの? 学校遅れちゃうよ」

 と中学三年生になったみらいがさなぎにいった。

「うん。今行く。待って、お姉ちゃん」

 と真新しい中学校の制服を着たさなぎがみらいにいった。 

 さなぎはきちんと小学校を卒業して、二年遅れて、みらいお姉ちゃんと同じ南中学校に通う中学生になった。(もちろん、やよいちゃんも一緒だった)

 のはらさんは別の小学校に通っていたけど、中学校はみらいとさなぎと同じ南中学校だった。

(だからのはらさんはさなぎの同じ南中学校に通う一個上の先輩になった)

 二人が南中学校の校門の前までやってくると、そこには南中学校の制服をきた木原のはらがいた。

 のはらは(遅刻寸前の時間に急いで走って)やってきた二人を見て、にっこりと笑うと、「おはようございます。みらい先輩。それから、さなぎちゃん」と二人を見て、そういった。


 美しい虹の向こうに、ずっとむかしにいなくなった女の子と、のはらを探して 終わり

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