第67話
木原家に着くと、のぞみさんはお昼寝をしていた。
お昼寝をしていた場所は縁側の床の上だった。
そんな(子供みたいに無防備な)のぞみさんを見て、三人は声を出さないようにして笑い合った。
それから三人はのはらの部屋に移動をした。
さなぎは自分がのぞみさんの出てくる不思議な悲しい夢を見たのは、のぞみさんからのはらを探して、と言う題名の曲のお話を聞いたからかもしれないと思うようになっていた。
そのお話をさなぎはのはらに話した。
するとのはらは思っていたよりも、真剣な表情になってさなぎの夢のお話を聞いてくれた。
「変な夢だね」
とのはらの出してくれたお菓子を食べながら、みらいが言った。
「本当。変な夢」
と小さく笑って、のはらは言った。(でも、そんなのはらの顔はどこか寂しそうに見えた)
少し前、木原家にお邪魔したときに、さなぎはのはらとのぞみさんから『私たちが幸せになる方法』のお話を聞いた。
その日の別れ際に幸せになる方法の最後のほうにお話をした『自分の大好きな人を見つけること』というお話を聞いて、さなぎは「家族以外にも大好きは人は見つかりました。それはのはらさんとのぞみさんです」と二人に言った。
そのさなぎの言葉を聞いて、二人は(さなぎが考えていた以上に)すごく嬉しそうな顔をした。
それから二人は「どうもありがとう」とさなぎに言った。(それからのはらはさなぎのことを抱きしめてくれて、のぞみさんはさなぎのおでこにキスをしてくれた)
妖精さんがなにも言わずにさなぎの前から姿を消してしまったのは、さなぎとみらいのお母さんである木登さやかが帰ってきた日のことだった。
さなぎはずっと「妖精さんがいなくなっちゃった」と言いながら、一日中、泣いていた。
そんなさなぎにさやかお母さんは「私も、妖精さんに会いたかった」とさなぎのことをぎゅっと抱きしめながら、そういった。




