第56話
さなぎは真剣な顔をしてのぞみさんの話を聞いている。(のぞみさんの反対側にいるのはらはくすくすと笑いを堪えるような仕草をしているのだけど、さなぎにはそんなのはらの姿は見えなかった)
そんなさなぎを見て、のぞみさんは嬉しそうな顔をしている。
「お母さん。お話続けて」
のはらがいう。
「はいはい」
そんなのはらの声を聞いて、のぞみさんがそう言った。
「次は素直になること」
「素直になること」さなぎは言う。
『ふんふん。素直になること』と小さな声で妖精さんは言った。
「そう。素直になること。これはとても大切なことだよ。素直じゃないと幸せにはなれないと私は思うんだ。いつも素直でいること。これがとても大切なことだね。みんなからの言われて嫌だな、と思うようなことでも、ちゃんと聞いてみようと思うこと。聞いてみて、反省してみること。それがすごく大切なことなの。素直でいるっているのは案外すごく難しいことなんだよ。誰でも嫌なことにはつい耳を塞ぎたくなっちゃうものだからね。いつも素直なさなぎちゃんには、まだわからないかもしれないけどね」
とにっこりと笑いながらのぞみさんは言った。
「三つ目は家族を大切にすること。このお話は、もうすでに家族のことを大切にしている、さなぎちゃんには詳しくお話する必要ないかもしれないね」
のぞみさんは言う。
「で、最後の四つ目は自分の好きなことを見つけること」
「自分の好きなこと」
とさなぎは言う。(もちろん、妖精さんも『自分の好きなことを見つけるっと』と小さな声で言った)
「そう。自分の好きなこと。夢って言ってもいいかもしれないけど、とりあえず好きなこと。夢中になれること。そんな自分の好きを見つけること。できれば、一つだけじゃなくて、たくさんあるほうがいいと思う。この部分に関しては私とのはらで意見がわかれるところなんだけどね」のぞみさんは言う。
「私は好きは一つでいいと思う」
とのはらはいう。
「私は好きなことはたくさんあったほうがいいと思います」さなぎは言う。
『私は一つでいいと思いますね。たくさんあると迷ってしまいそうで、一つでいいと思います』妖精さんは言った。(ここでも意見がわかれることになった)
「そうでしょ? さなぎちゃんはわかっているな」のぞみさんは言う。
「まだ子供なだけだよ。さなぎちゃんは」のはらは言う。
「のはらだって子供でしょ?」
のはらを見てのぞみさんは言う。
「まあ、お母さんから見れば子供だけど、さなぎちゃんよりは大人だよ。私は」とのはらは言う。
「私から見れば二人ともあんまり変わらないけどな。二人ともとっても可愛い子供たちだね」
と嬉しそうな声でのぞみさんは言った。




