第44話 やよい
やよい
さなぎがやよいと出会ったのは、この地方の町に引っ越しをしてきて、転校した小学校の教室の中でのことだった。
さなぎとみらい(それからお父さんのしずかが国語の教師として)が転校した小学校の名前は桜島小学校と言った。
その四年二組の教室で席が隣同士になったのが、やよいだった。
「こんにちは。これからよろしくね、さなぎちゃん」
とにっこりと笑ってやよいちゃんはさなぎに言った。
でもさなぎはうまく「こちらこそよろしくね、やよいちゃん」とやよいに挨拶をすることができなかった。
それから二人はあまり会話をしなくなった。
本当なら一番友達になれるかもしれない、と思えるような距離にいたやよいとさなぎは友達になることができなかった。
それからさなぎは新しい教室になれることができずに、転校する前の小学校のときと同じように、ずっと一人きりで学校生活を送ることになった。
さなぎが引っ越しをして桜島小学校にやってきたのは四月のことだった。
それから三ヶ月が過ぎて、小学校の一学期が終わって、夏休みに入って、森の中で妖精さんと出会うまでの間、さなぎはずっとひとりぼっちだった。(もちろん、家族のお姉ちゃんとお父さんはいてくれたけど)
そんなやよいとさなぎはある場所で偶然、出会った。
夏休みに二人が偶然出会ったした場所。
そこは町にある一軒の小さなお花屋さんの中だった。




