第42話
予定よりも帰る時間が少し遅い時間になったので、さなぎとみらいはのはらだけじゃなくて、のぞみさんにも森の外まで送ってもらうことになった。
のぞみさんが一緒にいるので、妖精さんはずっとさなぎの洋服(今日はオーバーオールのお腹のところにある大きなポケットの中)に隠れていた。
そこにいる妖精さんとこそこそとさなぎがおしゃべりをしていると、「さなぎちゃん。誰とお話しているの? なんだか小さな声が聞こえるような気がするんだけど」とのぞみさんがさなぎを見てそう言った。
のぞみさんとさなぎは手をつないで歩いていた。(最初、さなぎはずっとみらいお姉ちゃんと手をつないでいたのだけど、途中でみらいは自分からさなぎの手を離してしまった。そんな風景を見て、寂しがっているさなぎの手を「今度は私と手をつなごうか、さなぎちゃん」と言って、のぞみさんが握ってくれたのだった)
「あ、えっと……」
困ったような顔をしてさなぎは言う。
「妖精さんとお話ししてたんでしょ? さなぎ」
二人の前をのはらと一緒に歩いていたみらいが後ろを振り返ってそう言った。
「えっと……」
恥ずかしそうにして、その顔を真っ赤にしながらさなぎはいう。
「妖精さんって、誰?」
みらいの隣を歩いているのはらがいう。
「私たちの目には見えないさなぎの秘密の友達だよ、のはら」にっこりと笑ってみらいはいう。
そんな言葉を聞いて、さなぎは一人で下を向いてしまう。




