第37話
木登家でのぞみさんはのはらのお話をした。
のはらはやはり、木登家のみんなが(お父さんは教師として)通っている小学校とは違う小学校に通っているようだった。
のはらの小学校でのお話はどれもさなぎの興味を惹くお話だった。
でも、どこか自分の世界とは違う世界で起こっている別の物語を聞いているような気持ちになった。
違う小学校のお話。
それは今、小学校四年生のさなぎには、どこか遠い異国の国のお話のように聞こえた。
約束の三日後。
さなぎはもう一度木原家に遊びに行った。
初めてのときと違うことは、今度のお出かけがさなぎと妖精さんの二人だけではなくて、みらいお姉ちゃんが一緒にいる、と言うことだった。
みらいはそのことをのぞみさんと約束をするときに勝手に自分で決めていたようだった。
その日、みらいは朝からずっとご機嫌だった。
お出かけ用の白いブラウスに青色の膝まで丈のあるデニムのハーフパンツを履いたみらいは家の裏にある森の入り口のところでさなぎと一緒にのはらがやってくるのを待っていた。
みらいはその頭に白い帽子をかぶっている。足元は真っ白なサンダル。
さなぎはデニムのオーバーオールを着ている。
頭にはいつもの麦わら帽子をかぶっていて、(その頭の上には妖精さんがいる)足元は麦のサンダルだった。
「のはら遅いね」
小さな腕時計で時間を確認しながらみらいは言う。
「きっともうすぐくるよ。お姉ちゃん」とみらいの隣に立っているさなぎがいう。




