表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/90

第15話 ねえ、私たち、友達になろうよ。

 ねえ、私たち、友達になろうよ。


「起きて、起きて、さなぎちゃん」

 ゆっくりと揺さぶられる体と、そんな優しい声を聞いて、さなぎはうっすらとその目を開けた。

「……お母さん?」とさなぎは言った。

「お母さん? 違うよ。私。のはら。木原のはらだよ。さなぎちゃん」

 見ると、そこにはのはらがいた。

「あれ? のはらさん? どうしてのはらさんが私の家にいるの?」

 寝ぼけたまま、さなぎは言う。

「ここは私の家だからだよ。さなぎちゃん」

 くすっと笑いながら、そんなことをのはらは言った。

 だんだんとさなぎの意識が(はっきりと)眠りの中から、覚醒していく。なんだかとても幸せな夢を見ていた気がする。

 でも、その夢はもう消えてしまった。どんな夢を見ていたのか、その夢のことを、今のさなぎは、ほとんどなにも、もう覚えてはいなかった。

 それから次第に今の自分の現実を思い出して、さなぎはその顔をだんだんと真っ赤に色に染めていった。

「ご、ごめんなさい! のはらさん!」

 とすぐに正座の姿勢になったさなぎはそう言って、頭を下げてのはらにあやまった。

「ちょっと、さなぎちゃん。なんでそんなにあらたまって私にあやまるの?」とくすくすと笑いながらのはらは言う。

「えっと、あの、ちょっと勘違いをしてしまって」とさなぎは言う。

「私とさなぎのお母さんのことを?」のはらは言う。

 のはらにそうはっきりと言われて、さなぎはその顔を本当に(のはらの切ってくれたスイカの色みたいに)真っ赤な色に染めた。

 それからとても小さな声で「……はい」とさなぎはのはらにいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ