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第13話

 のはらの暮らしている木原家はとても古い作りの家だった。

 話を聞いてみると、どうやらすごく昔からこの場所に建っていた家のようで、その家を少しずつ、作り直すようなことをしながら、のはらはこの家にのぞみさんと二人だけで、生活をしているのだと、さなぎに言った。

(のはらのこの家にいないお父さんのことについて、もちろん疑問に思ったさなぎだったけど、そのことについては、なにも聞かないことにした)

「おんぼろでしょ? 新しい家に住みたいなって、昔はずっと思っていたんだけど、今はこのお母さんがすごく好きだと言っているこの古い作りの家のことが私も大好きになったの。まあ、それなりに古いだけじゃなくて、歴史的な価値とかもある由緒ある建築物でもあるようだし、今は当分、この家で暮らしてもいいかな、って思っているんだ」

 と自分の家の木の天井を見ながらのはらは言った。

「お母さんのお花畑の手伝いもあるし、スイカを育てるもの、楽しいからね」

 ずっと向こうまで広がっているお花畑を見ながら、のはらは言う。

 さなぎはのはらの家の中を観察してみる。(障子が開いていて、居間の様子だけは縁側から見ることができた)

 いい匂いのする畳の床に、古い木の柱と天井。綺麗に掃除された家の中には、清潔な空気が漂っている。

 居間の中には箪笥がある。とても古い箪笥だ。(でも、とても立派な箪笥だった。まるで嫁入り道具の一つでもあるかのようだった)

 柱には時計がかかっている。

 長方形の形をした彫り物のある柱時計。

 居間の電気はついていなくて、外から入り込む太陽の日差しだけが畳の床の上に伸びている。

 音はなくて無音。

 ときおり、どこからか吹いてくる小さな夏の風の音だけが聞こえている。

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