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悪役にされた王子様

作者: 雪菊



「婚約破棄ですわ!!」



目の前にいるクソうるせ……婚約者のアマリリス・オードリーを目の前に笑顔が凍るのを感じた。何?なんて言ったこの女?



「すまないが、理由は何だろうか?私に直せるところがあるのならば直そう」



どうしてこうなっているのだろうかと頭を抱えたかった。


私はノクティス・オラトリオ。

この国の第一王子だ。とは言っても、父王が酔って手をつけた侍女の子であるため王位継承権は低い。後ろ盾もない。


それを哀れに思った叔父が婿入り先として探してくださったのがこのクソ女である。こんなんでも公爵家の一人娘なのだ。


昔から、やれ「わたくしはあなたに卒業パーティーで婚約破棄されるのです!」とか「義務で優しくするにはお辞めになって…!あなたには運命の人が……」とかいう頭の痛い妄言ばかり吐く彼女にイライラしたが、せっかく叔父が見つけてくれた縁なのだからと我慢して理想の王子様を演じてきた。

なのに何故私がそんなことを言われなければならないのか皆目検討がつかない。



「あなたがシェリアさんと恋仲にあるには知っておりましてよ!」

「不思議なことを仰る。バートン嬢は婚約者がいる。私と恋仲になることなんてあり得ないよ」



アマリリスが「ヒロイン」だと言った少女は確かに存在したが、私の護衛騎士の一人と恋に落ちてそのまま婚約した。アマリリスいわく、彼も「攻略対象」だったので別に問題はないはずだ。

というか、アマリリスが私とシェリア・バートン子爵令嬢を引き合わせようとしていたのは気づいていたから全部彼に振ったらそうなってしまった。今更、相手の変更なんてないだろう。彼らはとても仲が良いようだしね。



「君こそ、隣にいる人とはどういう関係なのかな」

「あなたがロバートを見ないでくださいます?彼はわたくしの運命の人ですわ!」



いや別に私と結婚した後に愛人として迎える分には文句なんて言わなかったんだけれどね。自分に思いを返してくれない妻とか嫌だし、乗っ取りをするつもりはなかったからアマリリスの子供であれば後継者に据えるのは誰でも良い。いやまぁ、一応は王族であるかないかの証明だけはしてもらわねばならないが。


ロバートという男を選んだのもよくわからない。確かに彼は侯爵家の次男だから婿入りができるはずだが彼も攻略対象とやらではなかったか?まぁ、彼女は私が嫌いだったからな。



「王族の権力を使ってわたくしを縛り付けていたあなたから、わたくしを助けてくれたのがロバートですわ」

「あなたがアマリリスを虐げていた証拠は揃っている。潔く退場して頂こう、殿下」



淑女らしくないことをすれば嗜めてはいたが、特に虐げてない。その女にそこまで関わりたくなかったしな。いやしかし、なんでここまでのクソ女に育ったんだ?公爵は家庭に興味ないからずっと仕事をしていて、夫人はその分娘を熱心に教育していた記憶がある。とはいえ、どこも貴族なんてそんなものだろう。冤罪を王子に突きつけるのってちょっと頭やばいぞ。


やり返そうかと思ったが婚約破棄はこっちも望むところなので、「話にならないな」と溜息を吐いて背を向けた。


ギャンギャン叫ぶ声が聞こえるが、無視だ無視。これ以上電波に関わりたくない。



「寧ろ向こうの不貞の証拠がたくさんありすぎるんだが、これは私のせいになるのか?」

「陛下の意向によりますね」

「学園の卒業パーティーで派手にやらかしたこれをなんとか収められるのか?」

「さぁ。それはもっと上の人が考えることです」



侍従とそう話していると、陛下からの使者が来て連れて行かれた。



「アマリリス嬢に婚約破棄を突きつけられたそうだな」

「はい」

「可哀想に。お前に鬱陶しく注意されるのは負担だっただろう」

「は?」



耄碌してんのかこのジジイ。

あーこの流れもうわかる。証拠とかもうどうでもいいやつだわ。詰んだ。



「余もお前の親だ。行く先くらい決めてやろう。お前はアトラス王国の女王に婿入りせよ。第十五側室としてな」



結構いるんだな。側室。

アトラス王国の女王といえば色狂いの若い男好きで有名だもんな。

陛下は自分のせいで私ができたというのに、現王妃である婚約者から距離を置かれるきっかけとなった私が嫌いだから遠くにやりたかったんだろう。お前のせいだがな。



「拝命いたしました」



ここに居るよりはマシか、と大人しく出発することになった。


王国に着いたら、代替わりした女王の王配になることになったり、両思いハッピーエンドで幸せになったりしたので追放婿入りもそう悪くはないかもしれない。

ノクティス

主人公。王が婚姻前うっかり手をつけた侍女の子。そのため王太子にはならなかった。そこそこできる子だけど生まれと婚約者のせいで諦めは早い。別に虐めてはないけど婚約者の言動がアレすぎて口煩くなった自覚はある。

黒髪に深い碧の瞳を持つ硬派なタイプのイケメン。

たまたま代替わりで後宮の掃除が終わったくらいで婿入りしてそのまま新女王の王配になった。本人的にはハッピーエンド。


アマリリス

ノクティスの元婚約者。公爵家の跡取り娘。

前世の記憶がある転生者。悪役令嬢になるはずだった。王子は好みじゃないし口煩いから嫌いだった。王子様タイプの婿をゲットでハッピー!と思ったけれど、公爵にブチキレられて母親に泣かれ、別の親族の青年を婿に据えられた。そうしたら家から出してもらえなくなった。ノクティスがヒロインとくっついていれば、と逆恨みしてたりする。


シェリア

乙女ゲームのヒロインだった少女。子爵家の庶子。

騎士とのルートに入り、ノクティスの口添えもあってかちゃんと嫁げた。

後に、夫がノクティス追放を知って国を出るとかいうので着いていったら王配になったノクティスに「ここまで慕ってくれているとは思わなかった。ありがとう」と便宜を図ってくれてそっちの国で幸せに暮らす。


ロバート

乙女ゲームの攻略対象者。

アマリリスのことが好きだったので王子を追い落としたら、良識が息をしていた公爵夫妻にガチギレされていて婿になれなかった。愛人でもいい、側において欲しいと言ったがNew婿に「いやいや、ノクティス殿下と同じ目には遭いたくないので」とガッツリ嫌がられて最終的に酒浸りになり、酔った拍子に暴走した馬に突き飛ばされて死ぬ。


王様

割とクズ。人身御供のつもりで婿に出した息子が王配になったので便宜を図ってもらおうと思ったが、女王の方にキレられていたので無理だった。手紙は握りつぶされている。ノクティスを問題のある女王に婿入りさせた件で最愛の王妃にさらにドン引きされて離縁してほしいと泣かれている。どうしてこうなった。


代替わりした女王

実は転生者。

推しが前女王に婿入りしてきたので、美味しく頂いてしまった。生の推しが可愛くて可愛くてしょうがない。ノクティスより5歳年上。

ゲーム設定を知っている上にサディストだった前女王に婿入りさせた王国が嫌いになってキレ散らかしている。


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― 新着の感想 ―
[一言] 設定はそれなりに作り込めてるんだから、ちゃんと短編として作り上げてほしい 途中で投げ出した感が強すぎる
[気になる点] 人物紹介の「ロバート」の「酔った表紙に」は「酔った拍子に」の誤変換だと思います。 お時間のある時にご確認ください。
[一言] 女王のキレ散らかしぶりを見たかった笑 よければ後日談を…!!
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