プロローグ4 辺極
デスゲーム開始から100年が経った。
……って時が経つのHaeee!
気が付けばそれほどの時間が過ぎていた。
もう髪は真っ白で皮膚もシワだらけ。
しかし鍛え上げられた筋肉と鋭い眼光は依然として健在のままだ。
エーテル量も以前とは比べものにならない程増え、自分よりも多くのエーテル量を持つ者もなかなか見なくなった。
デスゲームも前人未到の5000人越えを果たし、ある種の楽しみも抱いていた。
それは……強者と戦いてぇ!
といった、いや、お前もやしっ子だったよね? と突っ込みたくなるような願望だった。
それほど今の俺は戦いに楽しみを見出していたのだ。
齢、百歳をとうに過ぎているというのにこれほど元気なのは、もちろんエーテルのお陰だろう。
エーテルとは生体エネルギーそのもの。
人類でこれほどのエーテル量を持つ者はなかなかいないだろうと自負できる程だ。
すぐに寿命で死ぬということはないだろう。
しかし……同時にある悩みを抱いていた。
それはエーテル量がもうこれ以上増える事はないという事だった。
今から10年程前からエーテル量が伸び悩み、今では少しづつ減ってきているという現状だ。
しかしそこはどこまで行っても楽天的な俺。
量が変わらないなら質を変えれば良いじゃないという事で、エーテルの質を何倍にも濃くなるように修行を行った。
デスゲームの敵を一人倒すと5日間の時間が与えられる。
修行の時間などいくらでもあった。
そして、エーテルの質を高める事と同時並行に行ったのが、組み手の修行だった。
5000人ともなると敵は並大抵のものではなくなってくる。
触れたら終わりの即死の攻撃を放つ者や、空間を無視して移動する者もいた。
そんな敵にも対処出来るように、相手の動きを観察し、どんな敵でも対応出来る自分だけの技の習得を目指したのだ。
何より練習相手には事欠かない世界だ。
技の完成度もみるみる内に向上していった。
それこそ、いずれ自らのエーテル量が少なくなっていく事を見越した、少ないエーテル量で相手の攻撃を何倍にも増幅させて返す、返極と名付けた技だった。
これは魔法やスキルではなく、ただの技、技術だ。
誰もが修行する事で身に付ける事が出来るものだ。
これを極める事で俺は次々と敵を撃破していった。
そしてデスゲーム開始から200年後……とうとうその時がやって来た。
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