第42話 サメ術師は大臣を狙う
しばらくすると村が見えてきた。
サーチ・シャークによると、あそこに大臣が隠れているようだ。
俺は進路を変更して小高い丘を陣取る。
数百メートルほど離れた地点から、スコープ・シャークで観察を始める。
村は小規模で何の変哲もない様子だ。
俺が十日ほど世話になった村と大差ない。
大臣はどこかの家を占拠しているのだろう。
(もう少し細かい位置が知りたいな)
俺は別のサーチ・シャークを召喚する。
背中に方位磁石はなく、代わりにレーダー画面が設けられたタイプだ。
レーダー画面は緑色のパネルをベースに、白線で方眼状に区切られている。
ここに俺が探したい対象が光点として表示されるのだ。
捜索範囲が狭いが、方位磁針より正確に位置を把握できる。
命令のたびに対象を切り替えられるのでかなり便利であった。
レーダーによれば、村には十数名の騎士と勇者がいるらしい。
勇者は四人だ。
まず間違いなく大臣の護衛だろう。
ただし、高度な隠密系スキルで潜伏しているかもしれない。
相手は勇者だ。
サーチ・シャークの能力を逃れている者がいてもおかしくなかった。
迂闊に接近した結果、不意打ちを食らうなんて事態は笑えない。
正直、この距離でも怪しい気がするが、攻撃のためには多少のリスクは呑もうと思う。
(接近せずに仕留めるべきだな)
俺はそう考えながら地面に伏せて、両手の中に細長いサメを召喚する。
艶やかな体躯は漆黒で、金属に近い質感だ。
胴体には持ち手やトリガーが付いており、開いた口から銃口が飛び出していた。
こいつはガン・シャークだ。
通称は鮫銃である。
王都崩壊の際に取得できたので、おそらく勇者の固有スキルだろう。
見て分かる通り、銃を生み出す系統の能力と思われる。
鮫銃は様々なタイプを作成可能だ。
今回みたいな狙撃用だけでなく、中距離向けのマシンガン、近距離用のショットガンやハンドガンも召喚できる。
この鮫銃こそ、敵に接近された場合の対策の一つだった。
俺は身体能力が貧弱だ。
遠距離攻撃の手段も貴重である。
したがって鮫銃はかなりありがたい存在だった。
俺は鮫銃にスコープシャークを装着するとしっかり固定する。
覗き込んで問題ないことを確認した。
これでズーム機能が追加された。
遠距離の狙撃にも対応してくれるはずだ。
銃の扱いは素人だが、我ながらサメに関しては超一流の能力者である。
さっさと大臣を始末しよう。




