999回目 2021/12/7
『○ックス』大喜利の限界が、また一歩近づいてきました。にしても、よくこのタイトルで日常モノをしようと思ったな。
一回目
お題『わたしの好きな感覚』
必須要素(無茶ぶり)『○ックス』
文字数『1114文字』 未完
タイトル『薪割りアックス』
「ふんっ!」
バキッ!!
「はぁっ!」
バキッ!!
「そぉいっ!」
バキッ!!
「はぁ……快感っ」
「ねー、もう薪いらないんだけどー?」
友達とキャンプに来ていた私は、テントを設営してから一心不乱に薪割りをしていた。
なぜかナタではなく斧を渡されたが、これはこれで重さを十分に感じられて趣きがある。
木の繊維が裂けて砕ける感覚が気持ちいいんだよなぁ……友達は誰もわかってくれないけど。
「焚き火するのに薪はあったら嬉しいけどさ、昼間に来て夕方まで割ってることないじゃん。しんどいでしょ?」
「好きなことなら時間を忘れるものだよ。やってみる? 楽しいよ!」
「それはアンタだけ……同じ女なのに、そんな大きな斧を軽々扱えるのはおかしいと思うんだよね」
「鍛えてるからね! 薪割りは一日にしてならず! より滑らかで潔い断面を作るためには、ちゃんと得物を扱いきる筋力がないといけないのさ!」
「薪割りの話だよね?」
友達からストップがかかったので、仕方なくお楽しみタイムは終了。余った薪は周辺でキャンプしてる別グループにお裾分けした。
「おぉ! ご飯を丸投げして申し訳ない気もするけど、こんなに美味しそうなら手伝わなくて良かった!!」
「え? アンタまだ料理ベタ治してないの?」
「世の中には出前や飲食店があるからね。積極的に改善する必要性がないのさ」
「よくそれですらっとした体型キープできるな……薪割りのせいか?」
「おかげと言いなさい。じゃ、いただきまーす!」
女二人でキャンプなんて地味だと思われるだろうが、気の置けない友達との時間はとても楽しい。
この子は料理上手で気配りもできてツッコミも冴えてて、何より私の趣味を口うるさく止めたりしない。
呆れられはするけど、うちの親や他の知り合いみたいに否定したり、別の趣味を強要しようとしないから、とても付き合いやすいんだ。
「アンタの薪割りって、実はストレス発散だったりするの?」
「え? まぁ、それも多少あるかな? ほら、カラオケで大声出したらスッキリする、みたいな感じに近いんじゃない?」
「疑問系かよ……いやね、ずーっと見てたら破壊セラピーみたいだな、って思って」
「何それ?」
「これこれ」
差し出されたのはスマホで、映っているのはとある動画。
「うわ、なんか叫びながら皿ぶん投げてるじゃん。絶対ヤバい人だよこれ」
「薪割りしてる時のアンタそっくりだよね」
「は? こんなのと一緒にしないでくれます?」
「そういえばさっき、アンタが薪割りしてた時の動画撮ってたんだ」
……くっ、//(時間切れ)
二回目
お題『小さな吐息』
必須要素(無茶ぶり)『暗黒の瞳』
文字数『960文字』 未完
タイトル『深淵の瞳』
生まれつきだった真っ黒な目は、周りから必要以上に疎まれてきた。
「寄るな化け物!」
「死人が動いてんじゃねえ!」
「さっさと天に召されちまえ!」
黒は死の色だ。それを目に宿す俺は、死に損なった化け物に見えるらしい。
馬鹿馬鹿しい。生まれ持った色なんてどうこうできるもんじゃないし、髪と違って色を得られる場所でもない。
俺が何もしなくとも悪いことは俺のせいにされる。後から犯人が見つかっても、紛らわしいと罵声が飛ぶ。
あいつらは全員、凶兆を俺のせいにしたいだけだ。都合のいい怒りの矛先を見つけてはしゃいでるガキばっかり。
そういう面では、体はガキでも精神面はずっと鍛えられた気がする。人間に期待しなくなったのも、もう何年も前の話だ。
俺は見た目のせいで、とにかく厄介ごとに巻き込まれる。犯行現場を通りがかっただけで犯人にされかけたのなんて、一度や二度じゃない。
身を守る手段が必要だった。ガキみたいな非力さでも立ち回れる手段が。
「で、探偵になりたいと?」
「……あんたは笑わないんだな」
何度か世話になった覚えのある大人の場所へ押しかけ、話を聞いてもらえたのは初めてだった。
だが、この段階になってもあまり期待はしなかった。大人は打算で動く。良心を母親の腹の中に捨ててきたような奴らばかりだと知っている。
「まぁいいや。雇えとは言わない。衣食住も求めない。ただ、見逃せ」
「何を?」
「お前の監視をすることを」
見て学ぶ。俺が出した結論はこれだ。
なりたいものを観察して、自分でなんとかする。
それ以外に俺ができることはない。
「……めんどくせぇなぁ。素直に助手になりたいとか言えねぇの?」
「人間に期待しないって決めた。甘言は詐欺の入り口だ。気を緩めて眠ったら、次の日には奴隷市場なんて日常茶飯事だろ」
「殺伐とした見方しかできねぇのかよ、可愛げのねぇガキだな」
「実体験だ。二束三文で売られた気分でも語ってやろうか?」
あぁ、まったく、コイツもか。
嫌なものを見る目つきをしやがる。
だから大人は、人間は、期待する価値がないんだ。
「はぁ……お前、俺と人でなしを一緒にすんなよ」
「逆だろ。お前たちにとって人でなしはおれだ。//(時間切れ)
どうして私はこう、子どもにえげつない過去を添えようとするのでしょうか? そりゃあ、ドラマは作りやすいですけれども。




