996回目 2021/12/4
頑張って知ってる知識を導入しました、って感じです。『ひょっとこ』が鬼門でしたね……。
一回目
お題『安い奈落』
必須要素(無茶ぶり)『ひょっとこ』
文字数『1115文字』 未完
タイトル『薄れゆく伝統の道すじ』
小さな劇場、その舞台に足をつける。
客席は、劇場なんて呼べるほど多くなくて、それでも観客がいれば賑やかだろうなって、思う。
「そんなに面白いものでもないだろ? これでも一応、客を呼んで役者が演じれば、そこそこ盛り上がるんだぞ」
「……うん。それは、なんとなくわかる」
この場所を紹介してくれた男の子に、軽く会釈する。支配人の息子さんらしい。見学許可は、割と簡単に降りた。
「でも、なんでこんなところに? 女の子が来たがる場所じゃないんだけどな、大衆演劇の劇場なんて」
「ちょっと、ね」
確かに、他の同級生はもっと煌びやかな場所とか、洋服やスイーツの店とかに行ってしまう。
今じゃもう古典扱いだろう大衆演劇は、どちらかというと年配のイメージがあるエンタメだ。
かく言う私も、大衆演劇は観覧したことがない。
「私のおじいちゃん、一応、伝統芸能の人で」
「え? マジ?! どんな人?!」
「ど、ドジョウすくいの、人……」
「あぁ、あのほっかむりつけてザルを動かすやつ?」
こくりと頷く。私からしたらちょっとふざけた宴会芸にしか見えないけど、ちゃんとした伝統芸能の扱いらしい。
今では踊り手が少なくなって、後継者不足が深刻らしい。
「それで、前に言われたの……ドジョウすくいの技を継がないか? って」
「えっ?! それ、女の子でもできるもんなの?」
「さぁ……? 詳しくは聞いてないから。断ったし」
「ま、まぁ、そりゃそうか」
「うん。おとといも電話で聞かれたけどね」
「じいちゃん逞しいな!?」
息子……私にとってはお父さんが継がなかったから、せめて孫にって思ったんじゃないだろうか?
お父さんが知ったらすごく怒りそうだから、この話は家族の前でしないようにしている。
おじいちゃんも、お父さんの前でする話じゃないとは思ってるみたいで、お父さんの帰省で家に行った時、声をかけるタイミングを図ってたような感じがした。
「楽しいぞ、って誘ってくるよ。本番で使うのか知らないけど、ひょっとこのお面を見せてくれたり、つけて踊ってくれたりした」
「……だいぶファンキーなじいさまだな」
「たぶん、私がまだ小さい頃に喜んでたんだと思う。記憶にはないけど、写真で見せられたことはあるから」
おじいちゃんが舞台で踊っていて、私がそれを見て笑っている。
家族写真としては素敵なんだろうけど、後継者問題に巻き込まれてると微笑ましいだけじゃいられない。
「色々あるんだなぁ……あ、そこ気をつけて。奈落があるから」
「奈落?」
「聞いたことない? 舞台の下からせりあがる//(時間切れ)
二回目
お題『記憶の整形』
必須要素(無茶ぶり)『美容整形』
文字数『1081文字』 未完
タイトル『心身美容整形外科』
美しさは作れる。
美容関係の会社が打ち出すキャッチコピーとしてはありきたりな一文だ。
しかし、美しさとは何か? という定義まで言及するものはあまりいない。
脊髄反射的に美しさは外見であると答える者が多いからだ。
美容整形は最たるものだろう。気に入らない顔や体のパーツを、外科的施術によって整える。
お金さえ積めば簡単かつ短時間で得られる美は、世の美しさを求める人々が一度は考慮する道だろう。
「でも、見た目を変えただけじゃ本当の美しさなんて体現できないよね?」
「……言いたいことは、わかりますよ」
すごく怪しげな講習だと、わかってはいた。
受講者は私一人。というか、宣伝チラシがそもそも私のポストにしか入っていなかったらしい。ほとんど詐欺の臭いがする。
果たして待っていたのは、意外にも本物の整形外科医だった。
講習の内容も意外とまとも……と思い始めた頃に、雲行きが怪しくなってくる。
「そこで僕は考えたんだ。中身も美しく整形できないか? ってね」
「中身? ……内臓ですか?」
「ぷふっ! くくく、きみ、面白い発想だね!」
褒められた……全然嬉しくない。
「僕が考える中身はね、ここにあるんだ」
講師の先生が指さしたのは……自身の頭。
「まさか、脳を?」
「そう。正確には記憶を整形する」
「なっ!? そんなこと、人道倫理にもとります!!」
「そうかい? 世の中にとっては、面倒を起こす人間の矯正がお手軽にできて、公共の利益につながる施術だと思うよ?」
「だからって……!」
「実はこれ、国からの要請で始まったプロジェクトでね。実用段階の手前まで来ているんだ」
眼前に突きつけられた書類には、講師の先生の名前と、現在の内閣総理大臣と同じ名前が署名されていた。
いや、嘘かもしれない。それっぽい書類を偽造することなんて簡単だろう。私は首相の筆跡も知らないし、顔見知りでなんでもない。
名前の横に押された印章も、ハンコ屋にでもいけば簡単に作れる。信じる道理がない。
でも、あえて私だけを呼び出して勧誘する道理もまた、ない。
「……なんで、そんなことを、私に教えるんですか?」
「被害者だろう? 君も、不美人のクレームの、さ?」
っ! ……この人、全部知ってて、っ!
「有名ではないが、腕のいい美容整形外科医として、名前は知っていたよ。芸能人の整形手術を失敗した、なんてデマが広まるまではね。あれは患者の自業自得だ。医者の言うことを無視して行動した結果をいしゃのせい//(時間切れ)
どっかで見たことのありそうな設定ですが、どこで見たかは覚えていません。復讐物の流れなんでしょうか? 何ともいえませんが。




