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991回目 2021/11/29

 車に興味ないのに『ランボルギーニ』って無茶ぶりはきつかったです。知らねーよ外車なんて。


 一回目

 お題『孤独な模倣犯』

 必須要素(無茶ぶり)『ランボルギーニ』

 文字数『1214文字』 未完


 タイトル『通り魔の模倣犯』


 ……何でうちの親は、高級住宅街に家を構えて逝っちまったのか。


 スーパーからの帰り道、近所に居並ぶ車を見ては唾を吐きたくなる。


 フェラーリ、ベンツ、ランボルギーニ、ポルシェ……。


 高級外車の見本市みたいな家々を通り過ぎて、俺の家はある。


 モデルハウスみたいなオシャレさのない、平凡な一軒家。


 高級住宅街のど真ん中の敷地に、庶民ダダ漏れの家があれば嫌でも目立つ。目立ちたくなくとも、目立ってしまう。


 取り壊して引っ越しができればどれほどいいか。逃げるだけの金もないし、働くだけの気力もない。


「……ただいま」


 誰もいない家に、声をかけるのも億劫になる。


 両親は半年前、旅行先の事故に巻き込まれて死んだ。


 俺は社会人だったが、両親の死が原因か精神を患って退職してしまっている。


 残ったのは、ローンがないことだけが自慢の一軒家だけ。親父が頑張ったのかと思うと、不意に涙が出てきてしまう。


 初めて鬱にかかって、人の精神って本当に脆いものだと気付かされた。涙腺が緩くなると、実感せざるを得ない。


 あとは、無性に死にたくなるのもキツい。自滅願望というか、何の理由もなくこの世から消えてしまいたくなる。


 飯も、一気に粗末なものになった。ここ数日は茹でたもやしに塩をかけるだけで腹を満たしている。


 笑えるかもしれないが、それで満腹になってしまうのだ。体重が三キロも減ったが、腹は空いてくれない。


 今日も、なんとか肉を食べようと買い出しに出たのに、袋に詰まったのはもやしだけ。


 生きる気力がないと、食べたいとも思わなくなるらしい。また体重が減って、医者になんて言われるか。


「あぁ……面倒だな」


 義務感と惰性で通っていた精神科への通院も、もう面倒になってきた。


 来週からはフケちまおう。どうせ、行ったところで気持ちが明るくなったりしないんだし。


「……通り魔?」


 ぼんやりとテレビを眺めていると、夕方のニュースが目に入った。


 ここら辺の近くらしい。犯人は逃走中。警察が何人も捜索していて、目撃情報には金も出るとか?


 なんだ、そこまでやらかしたのかこの犯人? 指名手配なんて上等な扱い、なかなかの凶悪犯にしかつかないんじゃねーの? 知らないけど。


「凶悪犯、か……」


 不意に、それもいいかと考えてしまった。


 このまま惰性で生きるより、能動的に動いて死んだ方が生きている方があったんじゃないか?


 捕まって死刑でも構わない。いや、むしろそれくらいの方が人生に箔がつく。


 不思議な気分だ。これほど前向きな気分になったのは、いつ以来だろう?


 死ぬために動く。大なり小なり、生き物はそうやって生きてるんだ。何の矛盾もない。死ぬために生きている。


 早いか遅いかの違いだ。俺は早く楽になりたい。だから、自分の寿命を燃やし切りたい。すぐに。


 //(時間切れ)




 二回目

 お題『僕の好きな大雪』

 必須要素(無茶ぶり)『セリフのみ』

 文字数『1009文字』 完結


 タイトル『おしむらくは文化の違い』


「雪ってさぁ……ロマンだよなぁ」


「は? 雪かき地獄を知らない南国生まれが何言ってんの? 喧嘩売ってんの?」


「少しは夢を守ってくれよ!! っつーか北国出身者は真顔やめろよ、イケメンの真顔怖いよ!!」


「そっちこそ北国育ちを差別してんじゃねーよ。埋めるぞ? 実家に誘って雪に埋めるぞ?」


「ひぃぃーっ!? 怖いこの人! 死体遺棄宣言してる!? 雪の中に埋めるなんて……あれ? ちょっとロマンかも?」


「かわいそうに……あまりの日差しに頭がやられたんだな。亜熱帯地方って、過酷なんだな」


「沖縄県人舐めんじゃねー!! 沸いてるのは俺の頭だけだー!」


「自分の名誉を捨てて故郷の名誉を守った気概だけは認めてやる。それに免じて、雪風呂で勘弁してやるよ」


「えっ? 何そのときめく遊び? ちょっと興味あるんだけど?」


「大したことじゃねーよ。砂風呂の雪版だと思え」


「結局半分以上埋める気じゃねーか!! そんなに俺を殺したいか?! っつーか殺されるようなこと言ったか?! なぁ!?」


「いいか? お前が台風の怖さを知ってるように、俺も雪の怖さを知ってる。逆に俺はあまり台風の過酷さを知らないし、お前は雪国の大変さを知らない。そりゃあ、生まれや文化の違いでもあるけどな。気軽に好きとかどうとか言われても、苛立つ奴はいるんだよ」


「…………ごめん。そうだよな。俺の知り合いでも台風で亡くなった人もいたし、お前も、知り合いが雪が原因で事故ったりしたかもしれないよな。悪い、はしゃいじゃって」


「別にいいって。今のところ、雪かきで死んだマヌケは身内にいないから」


「だったら真剣な雰囲気出して脅したんじゃねーよ!! 知らん地雷踏んだとおもってマジビビったわ!! さっきまで膨らんでいた罪悪感返せー!!」


「勘違いするお前が悪い。でも、雪かきで死ぬ人は毎年必ずいるから、雪舐めんなってのは嘘じゃねーぞ。年取ってから一人だと、余計にキツいからな雪かき」


「そ、そうか……」


「なんなら、年末に実家くるか? 雪かきを飽きるほどやらせてやるよ」


「マジで?! やるやる! 雪見てみたい!! 写真撮って家族に送ったら自慢できる!!」


「お前な……社会人になってんだから、国内旅行くらいプレゼントしてやれよ。そんなにかかるもんでもないだろ?」


「……うち、兄弟多くて十人家族……」


「……すまなかった」


 キレイに落とせたかどうかはわかりませんが、珍しく短編っぽい流れで終わらせられました。やったね。


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