984回目 2021/11/22
割と王道的なラブコメの設定っぽいです。異性の留学生との同居で、何も起きないはずもなく……(ただし両親は健在)。
一回目
お題『鋭い誰か』
必須要素(無茶ぶり)『醤油』
文字数『964文字』 未完
タイトル『隙のない留学生』
「いただきます」
トースト、目玉焼き、ベーコン、コーヒー。
スタンダードな朝食を前にして、しかし俺はすぐに手を止めた。
「ん」
「あ、ありがとう」
その一瞬で、俺の前に醤油差しが置かれた。
容器から離れた指はバターナイフを取り、温かいトーストへバターを塗り込んでいく。
「アリーちゃん、よくわかったね? サトシが醤油派だって」
「恐縮です」
「いや、答えになってなくない……?」
正直、まだ彼女が家にいることが慣れない。
ホームステイとやらで我が家に来た留学生、アリーことアリシアは妙に気が利くやつだった。
というより、勘が鋭いのか? まだこの家に来て二日程度だが、行動を先回りするのが異様に上手かった。
たとえば、家事。洗濯や掃除、炊事なんかも俺や両親に先立って、気づけばやっていた。
今日の朝食もそうだ。普段は和食っぼいメニューが並ぶのに、洋食ラインナップなのはアリーが用意したからに他ならない。
これを気が利くと取るか、図々しいと取るかは意見が分かれそうだが、両親はおおむね好意的に捉えているらしい。
内心ではとやかくいう俺も、別に迷惑ってほど迷惑はしていない。一向に慣れないだけで。
「サトシ、醤油のかけ過ぎは体に悪いと思いますが?」
「お、おう」
ジロジロ見過ぎたか、醤油差しを持つ指を少し傾けすぎたらしい。
慌てて注ぎ口を上げれば、ちょうどいい塩梅の量で目玉焼きが味付けされる。まさか、俺や家族の好みも把握してるんじゃ……?
いや、そこまで考えれば自意識過剰だな。反省しよう。
ポジティブに考えれば、俺はラッキーだったと思える。アリシアは美人だ。かなりの美人だ。
一時的とはいえ、ホームステイで一つ屋根の下、というのはなかなか体験できないシチュエーションだ。
別に手を出すわけじゃないが、ラブコメみたいな貴重な体験はできているわけで。
不気味がるよりも楽しんだ方が得なのは間違いない。食べてる姿もなんか優雅だし。眼福眼福。
「ごちそうさまでした。あまり遅いと、遅刻しますよ?」
「え? あ! やっべ!!」
またガン見してたのが悪かったのか。アリシアからジト目を送られた俺が、ようやく時計に意識を向けた時には遅刻ギリギリを//(時間切れ)
二回目
お題『混沌の略奪』
必須要素(無茶ぶり)『鶏肉』
文字数『930文字』 未完
タイトル『蒸し鶏と言い張るモノ』
「できた! 私オリジナル、特製高タンパク蒸し鶏!!」
「……え? これ、食い物なんすか?」
ドドメ色の鍋から上がった、毒々しい色合いの塊を見て、思わず製作者の発言を疑ってしまう。
ジップロックに入れられたのは鶏肉だったはずだが、いろいろな調味液と一緒に茹でられたことで、なんかマーブリングみたいな着色がされていた。
何より、その色が食べ物らしくない。紫? 青? オレンジ? 簡単にいえば、カナブンみたいな光沢を放った虹色だ。
食べ物でこんな色を再現するのはある意味才能だが、そもそも料理は美味しいものを作るのであって、ゲテモノを生み出すことではない。
「一応聞くけど、調味液って何入れたの?」
「塩とみりんと醤油を少々、あとは健康にいいサプリを大量に!」
「うわ、味覚度外視のやつだそれ」
食事を楽しむものじゃなくて、単なる栄養補給としてしかみてない感じ。
僕はあまり好きじゃないけど、科学者気質がある斉藤さんなら納得してしまう。
「あの、一応ここ、高校の料理部だって自覚はあります?」
「あるよ! だからほら、蒸し鶏!!」
「いや、それは実験成果であって料理とはいえないよ。ってか言わせないよ」
主義主張の問題かもしれないけど、僕はそれを料理だとは断じて認めない。
料理は栄養素はもちろんだけど、何より食べて美味しいものであるべきだ。
栄養補給だけなら、それこそサプリメントを飲めばいいだけなんだし。
料理の意義は、楽しんで楽しませること。食材を使って面白がるのとは、やっぱり違う。
「えー、傑作ができたと思ったんだけどなぁ」
「それは別にいいですよ。料理部のルールとして、自分で作ったものは自分で食べる、ですからね。それを誰かに食べさせない限りは、文句も言いませんから」
他人に振る舞う時は部活外で、っていうのが厳密なルールになる。
料理部はあくまで部員たちのスキル向上や、言い方は悪いが練習のための場だ。
文化祭で食べ物屋をやる以外で、調理した品を誰かに食べさせることは、基本的にない。
バレンタインデーとか、ちょっとの例外はあるけどね。
「部長も食べる? 美味しいよ! きつ//(時間切れ)
どこから『略奪』成分を持ってこようとしたのかは不明です。『混沌の鶏肉』だけで私の限界はきました。




