977回目 2021/11/15
ミステリーっぽいですが、勢いだけだと設定の甘さが目立ちますね。超常設定持ち出したら何でもありになっちゃうし。
一回目
お題『消えた新卒』
必須要素(無茶ぶり)『BMW』
文字数『940文字』 未完
タイトル『行方不明者は四人』
「……卒業予定の学生が行方不明?」
「たちどころに三件。すでに家族が捜索依頼を出している。被害者同士に共通点はなし。知り合いですらないらしい」
それは、学生支援機構の一職員よりも、警察や探偵にお願いする案件では?
「どの子も卒業は確定していて、内定ももらっている。失踪するには理由がない。で、ここからが本番なんだが……」
「あの、僕の話、聞いてた? そういうのは警察に、」
「みんな、BMWに乗った男に拐われたらしい」
自分の書類仕事に戻ろうとしたところで、手を止める。
「…………だから?」
「無関心を装うには、会話に間を開けすぎだな」
「うるさい」
「確証はないが、無関係とも思えない。お前の兄かどうかは、お前が確かめに行け」
余計なお世話だ。けど。
「礼は言わないからな」
「結構。むしろ素直なお前など気色悪くてゴメンこうむる」
「うるせー、ハゲろジジイ」
「黙らせるぞ、礼儀知らずのクソガキが」
すぐに背中を向けたジジイは、僕のデスクから離れていく。
そして、おもむろに指を打ち鳴らした瞬間、止まっていた時間が動き出した。
「……もう少し術を維持しててもよかっただろうに」
そうしたら、書類仕事にかかずらう現実の時間が短くてすんだのに。
今の職場も、人間としての戸籍も、あのジジイからもらったものだ。外見は二十代の若作りだが、生きた時間は十倍じゃきかない。
そして、僕も兄さんも人間から外された存在だった。人として生まれたけど、人に馴染む気配を奪われた。
こうして人に紛れて就職する直前までは、兄さんとも話をしていて、顔を合わせていたけど、人間社会に出てから兄さんの消息は途絶えた。
今聞いた、新卒予定の学生が消えたのと似ているかもしれない。突然、前触れもなく、静かにいなくなった。
BMWは、兄さんが消息をたつ直前に購入したと言っていた車種だ。失踪から二十年は経っているが、今も使っている可能性はある。
「すみません、今日は定時で上がります」
「はいはい、お疲れー」
ゆるい上司に感謝しながら、自分の仕事だけを終わらせてさっさと帰る。
ジジイが教えてくれたのは事件の存在と、兄さんのかけ//(時間切れ)
二回目
お題『黄色い転職』
必須要素(無茶ぶり)『繊細な心理描写』
文字数『881文字』 未完
タイトル『逃げ出した先で』
「……ふぅ」
額に浮かんだ汗を拭う。手には大量の稲穂。ようやく、商品になりそうなものができた。
とはいえ、借り受けた田んぼにはまだ、半分以上刈り取られるのを待つ稲がある。
「去年は結局ダメになったから、練習もそこそこだったな。仕方ない、のんびりやろう」
稲刈り機に座り、もうひと踏ん張り気合を入れる。
残り半分。急がず丁寧にやろう。
二年前、限界集落へ居を移し農家に転職して、ようやく自分の生活が安定してきた。
最初の頃は、あんまり記憶になかった。都会から逃げるように引っ越して、気づけば自分の部屋に座り込んでいたくらいだし。
正気を少し取り戻してから、精神科に行っててよかったと思った。自分の状況が書かれた診断書を何故か持っていて、理解が追いついたから。
断片的にある記憶は、あまりいいものじゃなかった。
うまくいっていた営業の仕事すら、今は思い出すのも苦痛になっている。
空が鉛色に見える毎日だった。雲もなく、雨も降ってないのに、ずっと鉛色の空だった。
会社で、営業先で、買い物で顔を突き合わせる人たちの顔が歪んでいた。水彩画に水を含ませた絵筆でぐちゃぐちゃにかき混ぜたような顔をしていた。
当時の恋人も、途中から顔がめちゃくちゃだった。その内、俺は考えるのをやめていた。
精神的に落ち着いてもまだ、ここまでの記憶しか思い出せない。正直、両親の顔もわからないし、兄弟が居たのかさえわからない。
他人だけじゃなく、家族のことも何一つ覚えていないのは、事故にでもあったから、くらいのメンタルで流すようにしている。
心の病気だけで、全ての記憶を失うのなんて、よほどのことだろう。世の中、知らなくていいことはごまんとある。
「おつかれー! 少し休憩せんか!?」
「ロクさーん! せっかくですから、最後までやってしまいまーす!」
「りょうかーい! 無理すんなよー!」
残り四分の一まで刈れたところで、田んぼの持ち主であるロクさんが様子を見にきてくれたらしい。
畦道から叫んでくれるろくさんな//(時間切れ)
鬱の精神症状って、悪くすればこれくらい追い詰められるものなのだと思います。ネガティブのスパイラルってなかなか抜け出せないんですよね、経験則から。




