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963回目 2021/11/1

 私もアラサーになってから薄毛になりましたが、ハゲるならハゲろって心境ですね。


 一回目

 お題『真紅の怒りをまといし警察官』

 必須要素(無茶ぶり)『育毛剤』

 文字数『848文字』 未完


 タイトル『万引き犯へのお説教』


「あんたねぇ! いい年齢して何やってんですか!?」


「……す、すみませんでした」


 とある交番で、駐在の警察官が中年男性に雷を落としていた。


 机にはいくつか商品が並ぶが、中でも本数が多かったのは育毛剤である。


「お金持ってんのにレジ通すのが恥ずかしいからって、万引きなんてしたらダメに決まってんだろ!」


「はい……おっしゃる通りです」


 まぁ、そういうことである。


 中年男性は先程、ドラッグストアを出てきたところを確保された。たまたま通りがかった警察官に不審な動きを見られ、職務質問ののちに万引きをゲロったのだ。


 警察官は正義感が強かったのもあるが、何より万引きの理由に腹を立てていた。


 恥ずかしかったから。財布には十分な現金が入っていたのにも関わらず、盗んで逃げようとした理由がそれでは、警察官の怒りへ油を注ぐことになるだけだった。


「まったく……俺だって最近薄毛を気にしてんだぞ?! ちゃんとAGAの専門医に頭を晒して、治療用の薬とかもろもろ対面で購入してんだよ! レジの店員に育毛剤を見られた程度で怖気付くなら、そもそも薄毛対策なんかするんじゃねぇ!!」


「……うぅぅ」


 なんか怒り方が個人的な事情にシフトしてきてはいるが、中年男性は反論もせず項垂れる。


 これが若いふさふさの警察官だったら文句の一つも出ただろうが、目の前にいるのは若いのに薄毛だと一眼でわかる髪型だった。中年男性が同じ頃は、もう少し生えていたと思うほど薄かった。


 薄毛の苦労は自分よりも辛かっただろう、と同情心が芽生えてしまうと、反論する気力も出てこない。


「こんなくだらないことで経歴に傷をつけるなら、もっと早く病院に行ったらよかったんだよ! 今じゃネットでいくらでも調べられるだろ?! そこら辺、ちゃんとしないとダメだからな!!」


「……はい」


 そろそろ説教の熱が冷めてきたところで、警察官から重たいため息が吐き出された。


「じゃ、事件として処理するから、ばっきん//(時間切れ)




 二回目

 お題『疲れた借金』

 必須要素(無茶ぶり)『豚骨ラーメン』

 文字数『1122文字』 未完


 タイトル『(うつろ)


「はいよ、とんこつお待ち」


 少しだけ会釈して、今日の昼飯に箸を入れる。


 ずずっ、とすする。鼻から匂いが抜けて、脂とスープの味を噛み締める。


 昔は好物だった。五年以上食べてなかったが、こんな味だったっけ、と思ってしまった。


「……潮時なのかもな」


 不味くはない。美味いと感じられないだけ。


 あの日、親父が借金を残して俺ら兄弟を置いて逃げた日から、いろんなものがこぼれ落ちていった。


 兄貴は大学を辞めて、俺は大学進学を諦め、妹は高校すら入れなかった。


 やることといえば、親父の尻拭いだけ。わずかな賃金で生活費を捻出し、ほとんどの金を返済に充てる。


 兄貴はまだマシな仕事についたようだが、俺はドカタやパチンコ屋みたいな単価が高くて重労働ばかり。妹は、結局風俗で稼いでいる。


 完済までの五年は、長かったのか短かったのか、今ではもうわからない。


 そして、これからどう生きていけばいいのか、わからない。


「ごちそうさま」


「ありがとうごさいました!」


 最後まで味がぼんやりした好物を食べ終え、会計を済ませて店を出た。


 借金まみれの生活に疲れていた。借金がなくなってからも疲れていた。


 生きる目標がなくなった。生きがいなんて最初からなかった。


 兄貴は『好きなことをやればいい』っていうけど、俺も妹も、『好きなこと』をもう思い出せないんじゃないだろうか?


 将来の展望はないけど、金は稼げる。生きるだけならできる。でも、生きていくことは難しい。


 生きたい理由が見つからない。やり終えてしまった。まだ、何も始まってなんかないのに。


「死ぬのは、違うんだよな」


 兄貴はそんなかなと望んでないし、妹はなんとか通信制の高校でも通わせてやりたいと思う。大学まで出られれば、あんなところで働く必要はなくなるだろう。


 じゃあ、俺は? 俺は何をすればいい?


 借金の次は、妹の学費補填に頑張るか? 卒業して、進学して、まともなところに就職したら、その先は?


 俺はどこにいればいい? 何をすればいい? 何をしたいと、思えばいい?


「……兄貴には、無理か」


 この感覚は、たぶん妹じゃないとわからない。前に一度、そのことを話したら兄貴には励まされるだけだった。


 この虚無感の共感をしてくれたのは、妹だけだった。あいつの穴は、どれほど大きいのだろう? 比較したことはないけど、たぶん、俺の方が深刻だ。


 精神科にでも通ってみるか? それで何になる? 前向きになったところで、生きていい理由が生まれるわけじゃない。


 ……あぁ、そうか。


「心はとっくに、死んでたのか」


 空は快晴。//(時間切れ)


 読み進めるだけで憂鬱になりそうな内容でしたが、すべてではなくとも共感できるところが恐ろしいです。自分で書いたんだから、そりゃそうなんですが。


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