961回目 2021/10/30
最近ようやく気づけたのですが、私は書きながら物語の設定を作る癖がついてしまったようで、どうしても地の文が多くなる傾向にあるようです。
そろそろ展開の遅さやテンポの悪さは、染み着いたものだと思って諦めるしかなさそうです。つくづく『なろう』に向かない作者ですねぇ……。
一回目
お題『裏切りの暴走』
必須要素(無茶ぶり)『セリフ無し』
文字数『1013文字』 未完
タイトル『手酷い裏切り』
判決が読み上げられた。
被告人は……死刑。
どこからともなく納得のため息がこぼれる。彼の犯行はあまりに身勝手で、救いようのないものたったから。
判決理由を読み上げられる中、被告人は黙したまま顔を上げない。かつてお調子者だった明るさは鳴りを潜め、目にはクマができて頬もこけている。
彼は友人だった。友人だと思っていた。
私も、彼に殺されてしまった恋人も、先に犯行に気付いてしまった彼の同僚も、みんな彼を友人だと疑っていなかったのに。
大学時代から一緒で、よく彼氏との恋愛相談に乗ってもらっていた。付き合えるようになって最初に報告したのも彼だったし、その後もアドバイスを何度ももらうことになった。
全てが狂いだしたのは、私が彼との結婚を決めた時なのだろう。
報道で知ったことだが、彼の犯行動機は私にあるらしい。前から私に好意を寄せていて、彼氏と結婚すると聞いて殺意が芽生えた、と。
彼と直接話していないから、真相はわからない。たとえ話し合っても、たぶん彼の真意はわからなかっただろう。
ともかく、彼は私の恋人を私の名前を使って呼び出し、殺した。死体はバラバラに切断されて、海に流されてしまって骨も残っていない。
突然行方不明になった彼氏の相談にも、彼は何食わぬ顔で乗ってくれた。マリッジブルーにでもなったんだろ、なんてよく言えたものだと思ってしまう。
それから彼は仕事を休みがちになり、不審がった同僚が彼を気にかけるようになったようだ。
しかし、彼はその気遣いを監視だと勝手に勘違いした。自分の犯行がバレて、証拠を握ろうとしていたのだと、被害妄想に取り憑かれて。
たぶん、私の恋人を殺した段階でもう、精神がおかしくなってしまったのだろう。彼を心配した同僚は数人いて、その全員に襲いかかったのだから。
そうして、三人の殺人と一人の殺人未遂、さらには遺族にまで手をかけようとした残虐さから、初犯での死刑を言い渡されることになった。
精神鑑定の結果なども法廷に出されていたけど、焼け石に水なのは明らかだった。突発的な犯行のようでいて、全部の事件で計画的な準備を行っていたのだから、悪辣さはより増していた。
それに、心神喪失などと言われても、原因が私の結婚だと明言されていては、下手をすればこちらに飛び火しかねない。
見ようによったら、私が一人の人間を狂わせ、四//(時間切れ)
二回目
お題『傷だらけの兄弟』
必須要素(無茶ぶり)『オタク』
文字数『921文字』 未完
タイトル『ケンカ兄弟』
「ほら、どうしたぁ!? 五人もいて根性あるやついねぇのか?!」
「ひ、いぃっ!?」
「ば、ばけもんだ!!」
「逃げろぉ!!」
ビルの隙間にできた暗闇で、威勢の良い怒号と情けない悲鳴が交差した。
どこかしら体を腫らした男たちは背を向け、一目散に逃げ去っていく。
「けっ! カツアゲなんてセコい真似してんじゃねぇよ!!」
「二度と俺らの前でくだらねぇことすんじゃねーぞ、バーカ!!」
「ひぃい、ひぃぃっ?!?!」
取り残されたのは三人の男たち。
二人は逃げた男たちが見えなくなってなお吠え続け、一人は腰が抜けたのか地面に座り込むだまま震えている。
明らかに逃げていった男たちではなく、自分を背に庇って殴り合っていた二人の男に怯えていた。
「ちっ、返事くらいしろよな。本当にわかったのかくらい言ってけっての」
「直前でボコられた相手に返事できるだけ度胸があんなら、一発ずつ殴っただけで逃げやしないだろ。あんな腰抜けども放っておけよ。それより」
まだ文句を言っていた男二人は、会話を断ち切ると座り込んだ男に視線を落とす。
太った体をさらに震わせ、メガネ越しに見える瞳は涙で濡れて決壊寸前。
胸にはアニメショップで購入したキャラクターグッズを入れた紙袋が抱きしめられており、五人からカツアゲされている間も頑なに離さなかった。
「大丈夫かあんた? 災難だったな」
「立てるか? まぁ、俺らより怪我はなさそうだけどよ」
「ひぃぃ、ごめんなさいー! お、お金ないんですぅー!」
『あ゛ぁ?!』
「ひゃぁぁあ!! すみませぇん!!」
本人たちなりに優しく手を差し伸べたつもりの二人だったが、オタク風の男から出たのは感謝じゃなくて謝罪と懇願。
まるでカツアゲする相手が変わっただけという態度に、助けたつもりの二人もカチンとくる。
「俺らをカツアゲと勘違いしてんじゃねーよ! ぶん殴られてぇのか?!」
「やややや、嫌です嫌です! 勘弁してください!!」
「だったら恩人に対する言葉や態度ってもんがあんだろうがよ! ケンカ売ってんのかテメェ!!」
「めめめめ、滅相もございません!!」
//(時間切れ)
不器用な優しさって、強面と暴力の前ではかすむよね、ってお話です。『オタク』は気付って? 無茶言うなよ。




