960回目 2021/10/29
オチからして、主題はたぶん『弘法にも筆の誤り』でしょうかね。
一回目
お題『間違った俺』
必須要素(無茶ぶり)『CD』
文字数『889文字』 未完
タイトル『選曲ミス』
「……え?」
この日、発売を待ちわびていたCDを購入し、コンポに入れて早速聴いてみようとしたら……全然知らないアーティストの声が流れてきた。
「だれ? っていうか、なに?」
その上、曲のジャンルも違う。ヒップホップ? 俺が聴きたかったの、ジャズ系なんだけど。
「でも、曲名は合ってるはずだよな」
もう一度、ビニールを剥がしたパッケージを見る。
俺が聞きたかった曲は『疲れ切った夕焼けに花束を』って、間違えるのが逆に難しい、曲で……!?
「間違えたぁ!!」
よくよく見てみれば、『疲れ切った夕闇に花畑を』じゃねーか! 何だこの奇跡の曲名ニアミス!? ぱっと見でわかんねーの出すなよ!!
「はっ! っつーことはもしかして、また新しいの買わないとダメってこと?」
返品できればいいが、すでにがっつりビニール破ってるし、CD使っちゃってるし……無理だよなこれ?
あぁー、もう少し早く気づいていれば、こんなことには!
「今月もう小遣いねぇよ……この出費は痛い!!」
スピーカーから流れてくる陽気な音楽に乗る気にもならず、自室で一人四つん這いになる。
落ち込むわ……めっちゃ落ち込むわ……。
「はぁ……しゃーない、次間違えないようにしよ」
いつまでもクヨクヨしてたら、余計に鬱になるだけだ。さっさと忘れて、気持ちを切り替えよう。
「それに、聞いてみたら案外気にいるかもしれないし。しばらくこれを楽しんどくか」
ほとんど聞き流しちまった曲はもうラストに差し掛かっており、また改めて聞けばいいと停止ボタンを押す。
聞くだけならオーディオプレイヤーでもいいし、データを入れて耳に慣らしておこう。
「そろそろ時間ですよー」
「あいよー」
下がるテンションを上げきれず、マネージャーに呼ばれて部屋を出る。
「あれ? なんか気分下がってません? さっきまでウキウキだったじゃないですか?」
「買うCD間違えたんだよ……全く知らん曲だった」
「うわー、そんなことしちゃうんですか? それでも現役アーティストですか? 目と耳いか//(時間切れ)
二回目
お題『愛と死の幻覚』
必須要素(無茶ぶり)『美しい情景描写』
文字数『989文字』 未完
タイトル『走馬灯を追う』
死の間際に見るという走馬灯は、どれほど心を揺さぶるのだろうか?
考えたことがある。おそらく、十もいかない子供の頃の話。
走馬灯とは、人生の全てを振り返る幻覚なのだそうだ。それをみれば人は、僕はどう感じるのかが気になって仕方がなかった。
僕は美しいものが好きだ。それをみて過ごす時間も、感慨に耽って噛み締めるのも好きだ。
ならば、僕が死ぬ間際に見るものは、僕の人生をかけて集めた美しいものの博覧会が、開かれるはずだ。
根拠もなくそう思い、家族に伝えたら縁起でもないと怒鳴られてしまったっけ。
しかし、理解されずとも、正気の沙汰ではないとしても、僕は走馬灯を見たい。
死ぬのが惜しいと、この世界が愛おしいと思えるほどの大作を、走馬灯に映して作り上げたい。
こうして僕の生きる理由は、僕が死ぬ手前に起こる不確かな現象に定まった。
そのために、僕はたくさんの取材に出かけた。
「すみません。不躾ですが、教えて欲しいことがあります」
「……きみ、は?」
「初めまして。名を名乗る前に質問を投げかける不調法、お許しいただけると助かります」
「え? あなた、この人の知り合いじゃないの?!」
走馬灯の実在を知るために、何度も重い病気の患者を訪ねてきた。その度に追い出され、患者の横にこれてもすぐに退出させられた。
「あなたは、走馬灯を見れていますか? そうであれば、どんなところか、お教えいただきたいのです」
僕の素直な問いを聞き、ほぼ全てのご家族は憤り、引きずるように敷居の外へ放り出した。
でも、数をこなせば僕のように奇特な方もいらっしゃるもので。
呆気に取られた顔をした彼の御仁は、少しして微笑むと教えてくれた。
「私が感じたものが走馬灯かは知らないが、ここでないどこかを見た記憶はあります。夢の中か、白昼夢か、自分でも判別つかない話ですが、それでよろしいでしょうか?」
「是非」
そうして語られたのは、まるで見てきたかのような細かい説明と、どこかで聞いたことのある世界だった。
一言で言えば、天国や極楽といった、死後に救いがあるという教えの通りの世界。
鮮やかな花々が咲き誇り、天は心地よい日差しを浴びせ、生物は争うことなく共存する楽園。
風がどこまでも透き通り、散ることのない花々は生き生きとはを//(時間切れ)
私は特に見たいとは思えませんけどね、走馬灯。忘れられない過去の失敗とかを、数日に一回はフラッシュバックする体質ですから……はぁ。




