957回目 2021/10/26
何回も苦汁を舐めさせられた『TOEIC』は本当に扱いに困ります。
一回目
お題『疲れた君』
必須要素(無茶ぶり)『TOEIC』
文字数『1087文字』 未完
タイトル『ネックは成績』
「……もう嫌だー!」
我慢して握っていたシャーペンを放り出し、ずっと視界に入れていた問題集を机の端に追い込む。
TOEICに向けて勉強を始めて一ヶ月。そろそろ心が折れそうになっている。
「オーストラリア留学になんでTOEICの点数が必要になるの……勉強嫌だー」
「早速矛盾してるぞ。留学は勉強のためにいくんであって、旅行とは全然違うんだからな」
「わかってるー」
「じゃあ勉強しろ。頭下げて頼んできたから手伝ってやってんのに、二日に一回文句垂れ流されたらこっちも滅入る」
机に突っ伏した頭を少し上げ、正面で自分の勉強をしていた正樹を睨む。
そりゃあ、知り合いで一番頭が良くて、中学からテスト対策でお世話になってたからその延長で頼んだけど、そこまで言うか? と思ってしまう。
「だって私、勉強嫌いだしー。コアラとかカンガルーとか見に行きたかったしー」
「ほぼ観光気分ならやめとけ。留学先までついていくわけじゃないんだ。ステイホーム先があるとはいえ、外国に行けば全部一人で何とかしないといけない。日常会話も店での注文も、もちろん勉強も」
「うぐぅ……」
ぐうの音しか出ない。
考えてみれば、オーストラリアじゃ全員が英語で話してるんだよね。日本語なんて、ほとんど聞く機会がなくなるだろう。
TOEICだって、テストの点数が大事なんじゃなくて、最低限の日常英会話を含む英語力の保証に使うものなんだ。
日本に来る海外からの留学生だって、日本語を勉強してから来るんだもんね。
「……はぁ。わがままや文句ばっかり言っても始まらない、か」
「なら、やるべきことはわかるな?」
「テスト勉強……ってか、向こうの言葉の勉強です」
「よし。さっさと続きをやれ」
私が今日も観念したところで、正樹は半ば放り出しかけた問題集を広げて突っ返してくる。
勉強はしなきゃいけないけど……この態度に少し殺意が湧いた。
「あーもー! 留学生に選ばれたら、あんたなんて鼻で笑ってやる!」
「好きにしろ。できるもんならな」
うぎー! ちょっと同じ学年で首席キープしてるだけで偉そうに!
絶対、ぜぇーったい! 見返してやる!
「英語マスターしたらあんたとの会話も全部英語にしてやる!」
「それは楽しみだ」
バカにして! さっきから全然自分の参考書にしか目がいってないじゃんか!
「っつか、さっきから何読んでるの? 私の勉強、見る気ある?」
「読むか? いい勉強になるぞ」
「……は?」
渡された本には、一面英語まで書かれた//(時間切れ)
二回目
お題『どこかの民話』
必須要素(無茶ぶり)『ビール』
文字数『848文字』 未完
タイトル『御山様』
「おやまさま?」
「そう。山岳信仰って知ってる? ほら、富士山を霊峰とか言うだろ? 山そのものを神様に見立てるやつ。あれの地方版ってところだな」
内陸の田舎町に引っ越して半年。
職場にも馴染んできてこうして同僚とビール片手に駄弁る機会も増えたが、話の流れで怪しい話を聞くことになった。
「あー、何となくわかるようなわからんような。伝承、ってほど大袈裟なもんでもないのか。民話的な?」
「どうだろ? そんな細かい分類まで気にしたことないしな。あ! すいません、生追加!」
さっさと中ジョッキを空にした同僚は、話の肴程度の感覚でそのお山様とか言うのについて話を続ける。
「御山様は名前の通り、この町の中じゃ一番高く見える山を神に見立てた話だよ。それこそ昔は、飢饉とか大雨とかがくるたびに御山様の機嫌を窺って生贄まで出してたらしい」
「おいおい、飯時なのに物騒な話すんなよ。つまみがまずくなる」
「わりーわりー。でも、そんな昔の話を子供の童話っぽくしたのが今の御山様なんだから、特別やべー話でもないんだぞ?」
童話、ってことは教訓的な話を盛り込んでるやつか? 山に勝手に入ったら危険だから、ってのを創作話特有のファンタジーを交えて注意喚起する、ってやつ。
「ふーん、じゃああれか? 山の中に勝手に入ったら怖い目に遭うとか、そういう感じなのか?」
「いや? 山に入るうんぬんは気にしないな。というか、注意的な要素って『信仰を忘れない』ってことだけだし」
「ん? 何だそりゃ?」
ちょうど追加の生が到着し、俺も流れで生を追加すると、同僚が一息にビール半分をなどに流し込んだ。
「ぷはー! 美味い! っと、話の途中だったな。『御山様』の話は、そこまで面白いエピソードが盛り込まれてるわけじゃないんだ。たださっき言った生贄をしてたって話の最後に、『ゆめゆめ、御山様への畏怖を忘れることなかれ』って言葉で締めるんだよ」
「それが、信仰を忘れない、ってかいしゃくになるの//(時間切れ)
なんかホラーっぽい要素の仕込みだけで時間を使った感じでしたね。これをどうホラーに仕立てるつもりだったのか、今の私では何とも言えません。




