930回目 2021/9/29
一回目のところで書いたものとは違いますが、『闇』とか『死』とかのネガティブワードをポジティブ解釈にした設定の小説は、いつか書きたいと思っています。
一回目
お題『黒尽くめの女の子』
必須要素(無茶ぶり)『信仰』
文字数『821文字』 未完
タイトル『誓って邪教じゃありません』
「出て行け! 邪教を流布する魔女め!」
バタンッ! と目の前で扉が勢いよく閉まる。風圧で前髪が揺れた……怖かった。
「はぁ……ちゃんとした神様なのに」
肩も頭も落として、この村最後の訪問を終えた。フードから垂れた髪を一房、指でイジイジともてあそぶ。
気が晴れるかと思ったけど、あんまり効果はなかった。
「別の神様とはいえ、同じ宗教なのにこうも話を聞いてもらえないなんて……布教って難しいな」
いじっていた黒い髪を離し、真っ黒なローブのフードを目深にかぶる。
怪しい格好の自覚はあるけど、私の信仰する神様の象徴色が黒なのだから、この格好を止めるわけにはいかない。
というか、この国で信仰されている女神の姉妹神なのに、なんでこんなに認知度が低いんだろう? うちの神様、ハブられてる?
「でも、イメージ悪いからなぁ……」
ため息と共に、祭具であり神具でもある大鎌を肩に担いだ。
私の信仰する神は、いわゆる闇と死の神。この呼び名が誤解を広く伝えてしまっているが、神話では物凄く穏やかで優しい神様の一柱である。
むしろ、姉神である光と生命の神の方が、性格としては苛烈で快活だ。なんでそうなったのかまでは神話にも記されていないが、能力も性格も正反対な姉妹神は、とても仲が良かったらしい。
光と生命の神は美しく嫋やかな妹神をとても可愛がり、闇と死の神は強く気高い姉神を心から慕っていたと記述されている。
神様同士の仲は、おそらく今も変わらずだろうが、二柱を見る目が人間で同じわけもなく。
深い宗教知識を有する権力者や信徒であれば、闇と死の神に偏見など持っていないが、ろくに学ぶ機会のない市井の民はそうではない。
とかく、『闇』や『死』というネガティブな言葉が先行してしまい、忌避感を蔓延させてしまっていた。
神話の逸話を知っていれば、かの神の温情であり優しさである呼び名だと知れるのだけれど、//(時間切れ)
二回目
お題『自分の中の場所』
必須要素(無茶ぶり)『セリフのみ』
文字数『921文字』 未完
タイトル『後悔の置き場所』
「またここに逃げてきたのか?」
「……うっせ」
「秘密基地なんてガキの遊び、よくやってたなと思うよ。よく残ってたな、ってのは来る度に思う」
「連れ戻しにきたんだろ?」
「言われてはきた」
「……まだ行かねーから」
「時間が経ったら戻ってくるなら上等だよ……っと」
「んだよ、座んな」
「俺のガキの頃の秘密基地でもあるんだけど?」
「今は俺の場所だ」
「誰も決めてないから。厳密には国有地か私有地だろ」
「……屁理屈」
「お前のもそうだろ……何が気に入らないんだよ?」
「ぜんぶ」
「ガキか。商売ってのは、客の要望に応えてりゃいいって単純な話じゃねぇだろ。商売を続けていくためにも、働いてる従業員のためにも、利益も必要だ。やり方が気に入らないからって、毎回逃げてたんじゃ、跡取りなんてやってられねーぞ?」
「わかってる……」
「わかってたらこんなガキみたいな真似しないだろ」
「ガキで悪いか」
「継ぐ気があるなら、悪いな。社会に出るってことは、大人になるしかないんだよ。清濁併せ持つ、って言葉、聞いたことあるか?」
「……綺麗事も汚いことも、両方飲み込んで生きろ、って?」
「そう……言葉にしただけじゃ簡単だけど、実際にできるかどうかは、人それぞれだよな。正義感が強い潔癖症のお前は、特にキツいんだろ」
「……納得いかない。利益優先で商品の質を落とすのも、従業員の給料を引くのも、自主退職の勧告をするのも……金がそんなに大事かって、思っちまう」
「商売人なんだ。金は大事だろ。誰だって、金がないと生活できない。お前も俺も、親が稼いだ金で生きてきた。次は俺たちが稼いで、ガキを育てる番だ。その中で、割り切らなきゃいけないことはある」
「お前も切られるんだろうが!!」
「縁故採用で特に成績が良かったわけでもないからな。人員整理の対象としては、妥当だろ」
「……俺が、やらせてきた方針だ」
「やったのは俺だ。上司が悪いからって、頭下げて全てが解決するわけじゃないだろ。当然、俺が頭を下げてもどうにもならん。収益は減った。今後の見通しもたたん。仕方ないんだよ」
「……くそ」
「何がわるかった//(時間切れ)
私もどこか『お金のために必死になれない』という致命的な欠落がありますので、油断できないんですよね。ちゃんと生きないと……。




