918回目 2021/9/17
もう少し『僕が愛した(特定の)扉』にすればよかったかな、と思いました。ちょっと定義付けを広くしすぎましたね。
一回目
お題『僕が愛した扉』
必須要素(無茶ぶり)『テニスボール』
文字数『796文字』 未完
タイトル『扉スイッチ』
「ただいま」
玄関扉を開けて、閉める。
中学から家族に声をかけることがなくなったが、何故か行きと帰りの挨拶だけは止めなかった。
階段を上がって、自分の部屋に入る。扉を閉めると、俺だけの空間があって、やっと落ち着くことができた。
昔から家が好きな子どもだった。かといってインドアかと言われればそういうことはなく、むしろ外に出て遊びまくるガキだったように思う。
今でも、どちらかと言えばアウトドア寄りの生活を送っているが、それでも一番好きなのは家だった。
「……はぁ、課題だっる」
家族とは不仲でも、別に不良ってわけじゃないから、高校では普通に過ごしてる。課題はだるいけど、やっとかないと追加で課題出されるし、やっとくか。
小学生の時から使い古した学習机に向かって、教科書と参考書を開いた。
勉強はマジでだるいが、こうして部屋で一人になるとひどく落ち着く。
玄関もそうだけど、自分の部屋の扉は、どこか特別な気持ちを抱いていた。スイッチ、みたいな。
自室は俺のパーソナルを全部置いていて、だからこそ踏み込まれたくない領域だった。無断で入った家族にはキレ散らかしたし、友達も絶対に自室には入れない。
ここは、俺の心の中そのものと言っていい。好きな漫画があったり、部活で使うラケットやテニスボールが転がってたり、夢の勉強にと買った資格試験の参考書だったり。
俺を作ってる全部の要素が部屋にあって、俺の心を全部写してるのが部屋であり、家だった。
だからか、扉は俺にとって意識を切り替えるスイッチに近い。自分の部屋からは『本当の自分と誰かに見せている自分』をスイッチして、玄関からだと『家族向けの顔から第三者向けの顔』にスイッチする。
誰に言われるでもなく始めた、意識の切り替え。それで得をしたこともあれば、損をしたこともある、不思議な癖。
//(時間切れ)
二回目
お題『死にかけの悪魔』
必須要素(無茶ぶり)『どんでん返し』
文字数『947文字』 未完
タイトル『食いしん坊悪魔は反省しない』
「ごほっ!」
しくじった! まさか空腹に耐えかねてそこら辺で拾い食いした草に神聖力が溜まっていたなんて。
強い薬効の草に、月光を長年浴びた変異種か……人間や天使には治療に使えるんだろうが、悪魔の俺には猛毒に等しい。
クソ……こんなことなら拾い食いなんて横着はやめて、そこらへんの適当な獣でも狩るんだった。
あー、ダメ。なんか意識が遠くなってきた。
上級薬草ヤベェ。胃がひっくり返って血痰が止まらん。ついでに魔力も乱れて自己治癒も阻害されるし。
ゆ、指が震えてきた。神経毒の作用まであんのか?! 何こいつ、一般分類じゃ薬草のくせに殺意高くない?!
「こ、こんなことで、死んでたまるか……!」
いやだよ、死因が拾い食いなんて! でも実際にそうなりそうで怖い!
何か、薬草の成分を相殺できるような、体に良さそうな腐敗物とか落ちてねぇのか?!
「せ、せめて、みず……」
大量の水を胃に流し込んで盛大に吐けば、薬草そのものが洗い流されて少しはマシになるはず。
濁った沼か湖があればベストだが、この際清らかな川でも構わん。ともかく毒物を体外に排出できればそれでいい!
「あー、しぬー」
ゴロゴロのたうち回っていて、ふと気付いた。俺、なかなか死なない。
悪魔ってこんなしぶとかったっけ? と生まれた種族に疑問を感じていると、徐々に症状が落ち着いてきた。
あれ? もしかしてこのまま助かる系?
だったら一人で騒いでた俺がものすごい間抜けになるんだけど……あ、別の意味で死にたくなってきた。
「しぬー、しにたいー、しなせてー」
置いてけぼりの心とは裏腹に、どんどん戻っていく体調に戦慄が走る。
このままだと俺は、拾い食いして盛大な食あたりかまして死ぬ死ぬ喚いていただっさい悪魔になってしまう。
俺ただでさえ下級悪魔なのに、こんな不名誉流れたら最下級に堕ちちまうじゃん!
悪魔って力の総量もそうだけど、名誉とか威厳とかも階級に大きく影響するんだよ。査定項目結構あって、昇進は難しいくせに落ちる時は一気に落ちるし。
こんな醜態、他の悪魔に見られたら一発でアウトだ。この前も人間の食事をつまみ食いしたら神の祝福受けてて食あたりしたば//(時間切れ)
お題の雰囲気にしてはコメディ色が強い出来になっていました。こいつ絶対死なないな、とも思いましたね。




