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908回目 2021/9/7

 私は下戸(げこ)なので、アルハラは勘弁してほしいと思ってしまう方ですね。


 一回目

 お題『夜の喜び』

 必須要素(無茶ぶり)『ピスタチオ』

 文字数『1084文字』 未完


 タイトル『レッツ、飲みニケーション』


「っ、かぁーっ! 今日も元気だ酒がうまい!」


「オヤジくさいですよ先輩。まだあんた二十代でしょうに」


 今日も仕事が終わり、アルハラ上等な後輩と共にいつもの居酒屋でビールをかっこむ幸せ。


 酒は心のガソリンだ。飲みすぎたら毒になるが、一定値を越えなきゃしっかり娯楽になる。


 クソみたいな上司や営業先への鬱憤を、こういう場でしか解消できない人間なんだから仕方ない、うん。


「にしても、誘った俺がいうのもなんだが、お前新卒なのに酒の付き合いいいけど無理してないよな? 酒がまずくなるから、強要したとか思われたくないんだが」


「ご心配なく。学生時代は自称酒飲みの人を一晩で五十人潰したことありますから、お酒には多少強い方です。というか、二日酔いって本当にあるんですか?」


「ザルにも程があんだろお前……え、出身って鹿児島あたりだっけ?」


「違いますけど。そこはかとなく薩摩近辺への偏見が見えますね」


 ジト目を送ってきた後輩は、たったこれだけの会話ですでに大ジョッキを三つ空にしている。


 毎度毎度、恐ろしいほどのウワバミだと思う。まぁ、これくらい飲んでくれた方がむしろ気持ちいいくらいだ。


「はぁー、やっぱいるところにはいるんだな、時代に逆らう寵児ってやつが」


「ただお酒が強いだけで過大評価もいいところですよ、それ」


「古い古いと蔑まれてはいるが、飲みニケーションって楽しい奴には楽しいからな。タバコと似たようなもんだよ。健康被害をうたって新規参入を妨害され続けるが、好きなやつは好きだしやめられない。だけど、コミュニケーションの一環だから人が増えないと楽しくない。そういう状況で、時代の空気も読まずに歳上に合わせてくれるお前みたいな人材が、老害には本当に嬉しいんだよ……うぅっ!」


「はーい、泣き真似結構でーす。あ、ビール大ジョッキ追加で!」


 つまみ代わりのピスタチオをポリポリ食いながら、俺の話を聞き流す後輩。


 いや、もう話なんか聞いてくれなくてもいいや。そこにいて相槌打ってくれるだけで癒しになる。


 最近、とんと飲み会の回数が減ったから、正直寂しかったんだよな。


 同僚も上司も、健康診断に引っかかったとかで誘ってもついてきてくれないし。


 一人飲みもそれはそれで楽しいが、やっぱ俺は誰かと一緒に飲み明かした方が好きだ。


 その点、女だけどザルで遠慮のない態度の後輩は、酒の席だとめっちゃ付き合いやすい。


 仕事もめっちゃできるから普段はお近づきになりたくないが、夜だけは積極的に誘えるかわいい後輩である。


「//(時間切れ)




 二回目

 お題『彼女と祖父』

 必須要素(無茶ぶり)『大道具さん』

 文字数『943文字』 未完


 タイトル『生き方を得るために』


『さすが、神谷哲郎のお孫さんだ』


 物心つく前から、タレントとして世間に晒し者にされてきた私の、一番聞く褒め言葉がそれだ。


 同時に、どうしようもない侮辱でもあると知る人間は、たぶんいない。


 親さえ気づいていないんだ。赤の他人が私の心情を察するなんて、無理だと思ってしまっても仕方がない。


 子役から女優と呼ばれる年齢になっても、『神谷哲郎』は私の人生に覆い被さってきた。


 確かに、血縁ではある。ただの一度も、顔を合わせたことがなくても、血は繋がってしまっている。


 そもそも、公表する気のなかった事実だった。なのに、『神谷哲郎』の名前を知っている事務所が勝手に名を使い、マスコミに取り沙汰されることで一躍二世タレントの出来上がりだ。


 まぁ、厳密には三世タレントなのだろうが、あいにく『神谷哲郎』の子どもである私の母親は俳優業につかなかった。


 親子三代で三世タレントにはならないため、響きがよく耳にする二世タレントで通すと事務所が決めたらしい。どうでもいいが。


『神谷哲郎』は、日本を代表するスター俳優だったらしい。私は『神谷哲郎』の作品を見たことがないし、今後も見る気がないから知らない。


 ハリウッドに何作品も出演し、主演までこなしたのは日本人で初めて、とか聞いた。すべてどうでもいい。他人の功績が、一体私の何に役に立つ?


 だというのに、『神谷哲郎』の薄い血が流れているというだけで、私の努力は全て遺伝と才能に置き換わった。


『さすが、神谷哲郎のお孫さんだ』


 こういえばみんな、私が喜ぶと本気で思っているのだろうか?


 尊敬している俳優は? なんて、本当のところは誰も知らないくせに。


 いつも事務所からメディア受けのいい模範解答を渡される私の言葉にどれだけ本当が混ざっているかなんて、マネージャーも知らないだろう。


 私は『神谷哲郎』のおかげで仕事に困らず、『神谷哲郎』のせいでアイデンティティを奪われた。


 高校生になってもなお、私は『神谷哲郎』の孫娘であり、親族でしかない。


 私が獲得してきた賞の数々も、『神谷哲郎』に与えられたものに等しい。


 女優である私は、現実世界でも『神谷哲郎の孫』という配役に縛られている。


 //(時間切れ)


 ネガティブ思考な私にとって、有名人の子どもってすごく生きづらい肩書きだなぁ、と思ってしまいます。経済的には豊かでも、精神的な負担は大きそうだな、なんて。


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