903回目 2021/9/2
たぶん異世界イメージでしょうが、ちょっとポエミーな描写が多く散見され、注意しようと思いました。
一回目
お題『黒い昼下がり』
必須要素(無茶ぶり)『1500字以上2000字以内』
文字数『767文字』 未完
タイトル『生き残れたら』
青い空を失って千年以上の時間が流れた。
今日も空は、死骸が浮かぶ毒沼のように真っ黒なまま俺たちを見下ろしている。
「釣れねぇなぁ……」
食料を探して朝から粘っているが、未だに釣果はゼロ。竿から垂らした糸は、ずっと沈黙を守っている。
魚の影は見えるのに、一向に食いつかないのは何故なのか。餌もちゃんとつけたし、気配もなるべく殺してるっていうのに。
「……おっ」
一瞬、竿の先が揺れた。ずっとなかった反応だ。
くるか? くるよな? きてください!
「あ……」
ぐいん、と竿が曲がったのは一度きり。
再び、この湖面と同じくらい凪いでいる竿を見つめる時間が訪れた。
「はぁー。魚は諦めて、山菜でも拾うか?」
腰掛けていた岩場の上で両手を後ろにつき、背中をそらせて後ろを見上げる。
天地が逆転した視界には、濁った空と鬱蒼とした森が見えた。湖は森に囲まれていて、休憩がてら滞在しているにすぎない。
旅をしていた。目的はあまりない。家族も家も失ったから、行く場所がなかったのもちょうどよかった。
死に場所を探している……なんて言ったら、ちょっと格好をつけすぎているな。
ただ、生き続ける理由がないだけだ。ご飯が確保できなくとも、飲み水がつきかけていようとも、焦りが致命的に足りないのだから重症だろう。
家族を目の前で失ったが、悲劇ではなかった。避けられない事故はどこにでもあるし、巻き込まれる自由も存在しない。
俺は運が良くて、悪かっただけだ。
誰が思う? 俺を除け者にするよう現れた崖崩れの大岩が、俺以外の家族をみんなペシャンコにするなんて。
あの日見た空も黒かった。
人生はいつだって、不恰好な黒色で染色されている。
「しょうがない、森の中で探すか」
たちか//(時間切れ)
二回目
お題『勇敢なロボット』
必須要素(無茶ぶり)『ラジオ』
文字数『928文字』 未完
タイトル『火事とロボット』
『速報です! 〇〇県××市で起こった住宅火災において、家の中に取り残された少年は無事、救出されたとのことです! 繰り返します』
「火事か……物騒だな」
現在は夜中の一時。
テストが近くて夜中も勉強している傍ら、静かすぎると集中できなくなる、と思ってつけていたラジオから流れたニュースにため息をつく。
子供が取り残されていて、助かったこと自体は喜ばしい。いいニュースだと思っておける。
でも、さっきから聞いていた話によれば、この火事の原因は家主のタバコの火の不始末、らしい。
最近はメジャーなメディアでもフェイクニュースを堂々と発表し、謝罪も訂正もしないことが増えてきた。
もはや何が本当で何が作り話かさえ、わかりにくくなってしまっている。
私が聞いているのはラジオだけど、テレビはもうそれが顕著だ。少し調べれば『角度をつけた報道』と称して、放送局の会社の上役が広めたい偏向報道を企業正義として、臆面もなく掲げているところさえある。
年々、ニュースや報道バラエティの視聴率が低下しているのも、番組も出演者も嘘ばかりだと視聴者が辟易としてしまったかるだ。
今では災害情報すらフェイクニュースだと思われてるんだから、この国のジャーナリズムは死んだと言っても言い過ぎじゃなくなってきている。
『現場に居合わせたスタッフによると、救出したのは家庭用のAIロボットとのこと。自らも機能を停止する可能性があったのに、そのロボットはとても勇敢ですね。私、尊敬しちゃいます』
「まぁ、最初から嘘や作り話も込みで楽しむ番組なら、あえて乗っかかる方が楽しいんだけど」
そんなにリスナーが欲しいのか、現実の時間も脚色し始めたMCに思わず笑みが溢れる。
私が聞いていたのは、ゴリゴリのバラエティだ。芸人さんがMCを務め、ひたすらトークで笑いをとっていくストロングスタイル。
特にリスナーからのメールや手紙の内容と直接バトるのが人気で、炎上騒ぎを起こすまでがワンセットのエンタメである。
今回も、だいぶ不謹慎だが事態が収束したと思ったMCが、事件現場を勝手に想像して大喜利をしてしまったのだろう。
そもそも、人を補助する//(時間切れ)
タイトルの付け方が下手な一端は、物語が有する本来の主題と違うところに着目した名付けをしてしまう、という部分もあるのかなと反省しました。
『火事とロボット』、主人公が言いたいことのきっかけにしかなっていなかったし……。




