9回目 2019/3/24
ポエムを書いているのか、掌編を書いているのか……。
立っている場所を見る。
太い、太い一本道だ。
どこまでも続いている――いや、よく見れば先細りになって途中でとぎれている。
周囲を見渡してみる。
自分と同じように立ち尽くして――いや、風に揺られて倒れそうになっているのも多い。
というか、密集し過ぎていて少し息苦しく感じる。
物理的な距離としては、ぎゅうぎゅう詰めではないのだけれど。
こう、同じような見た目に囲まれていると、どこか閉塞的に感じてしまうのだ。
自分はちゃんと呼吸ができている。
なのに感じる、息苦しい感じ。
改めて周りを見ても、自分と同じような顔をしているくせに、自分と似たような苦しさを覚えているようには見えない。
ずるい……そう思うのはどうしてだろう?
自分だけが感じている苦しさだから?
自分以外が平気そうにしているのがイライラするから?
それとも――仲間外れが怖いから?
わからない。
でも、少なくとも。
自分が周囲とは違う感じ方を抱いて生きている『異常』なのは理解できる。
というか、なぜ平気そうな顔をしてたたずんでいられるのか?
こんな、心許ない、吹けば倒れそうな地面を大勢で乗っているのに。
ほら! 突風が吹けば、こんなにきしんでたわむじゃないか!
怖くないのか?
死を感じないのか?
何も考えていないのか?
ああ、なら自分も、無知なまま、集団の中に埋没して思考停止している方がマシだった。
孤独の地獄。
理解されない『異物』だと認めてしまった息苦しさ。
逃げたい。
ここから、逃げ出したい。
でも、逃げられない。
自分に唯一ある足と地面は、結合してしまっているから。
時間感覚がわからない。
あれからどれくらい経った?
色合いがどんどん変わっていった。
緑、黄、赤、そして茶色。
見た目にも潤いをなくし、衰えていく様をまじまじと見せつけられる、時間という毒。
それでも、自分以外はのんきに日向ぼっこをして楽しそうに揺れるだけ。
苛立たしい。
たとえ一部分であっても、自分がこいつらと同じだということが腹立たしい。
無知で怠惰なだけのくせに。
そうしていきり立ち、我慢の限界がきて隣の誰かへ突っかかろうとしたときだ。
不意に木枯らしが吹いて、永遠にも思えた地面との呪縛が解き放たれた。
唐突だった。
何の心構えもしていない。
地面がなくなる、頼りなさからくる居心地悪い浮遊感。
自分が今までいた場所が遠ざかり、さっきまで自分の居場所だったところから落ちていく絶望感。
その間、見上げることしかできなくて、背中から落ちて初めて感じた感触。
ザラザラして、カサカサして、しっとりしている?
周囲を見てみる。
自分と同じモノが、いっぱい、折り重なって倒れている。
茶色い服を着て、薄汚れて穴があき、身じろぎさえできない不格好な何かたち。
大樹という社会へ利益を送り続けてきた、使い捨ての木っ端たちが、打ち捨てられていた。
ん? そもそもポエムってどんな形式だ?