889回目 2021/8/19
中身を読み直して、今回は難産だったのだなと理解しました。
一回目
お題『愛すべき光』
必須要素(無茶ぶり)『日本酒』
文字数『989文字』 未完
タイトル『愛されヒカリ姫』
すべき、って言葉が嫌いになったのは、妹の光が生まれてからだったと思う。
「お兄ちゃんだから」
「妹を大事にすべき」
「男の子なんだから」
「女の子を守らないと」
いろんなことを言われた。
どれもこれも、責任はお前にある、って言われているような気がして、息が詰まった。
「お前はうちの酒屋の跡取りだから」
「家業を手伝うべきだ」
「今から仕事を覚えるべきだ」
「将来のために、今から手伝っていくべきだ」
加えて、江戸だか平安だかの時代から続いてきた酒屋の長男だから、と親戚連中が仕事をさせようと毎日うるさかった。
子どもの俺に対抗する力も意見もなくて、ただ大人の言う通りに時間を使った。
俺の意思は必要なかったんだろう。両親も、そんな親戚の声から俺を守ってはくれなかった。
でも、光はずっと、いろんな人から守られてきた。
うちの親族は、なぜか男が生まれることが多い。母さんも他の家から嫁いできたらしく、親戚の集まりで会う女の人はみんな同じだったそうだ。
だからか、直系として女子が生まれたのが珍しくて、光はたくさんの親戚連中からチヤホヤされて育った。
わがままを言えばなんでも与えられ、少しでも悪意が光に向けられると過剰なくらい庇おうとした。
同じ家族でも、自分は違うものだと思っていた俺は、その光景を異常だと気付いていた。
でも、何も言わなかった。妹だろうがなんだろうが、俺にとっては他人事だったから。
「お兄ちゃんお兄ちゃん」
「悪いけど、俺仕事だから」
「光もいく!」
予想外だったのは、特に何もしていない俺が光に懐かれたこと。
正直、意味がわからない。甘やかすだけ甘やかす両親や親戚には次第に近寄らなくなり、仕事だなんだと働かされてばかりで構ってやらない俺の方には雛鳥のようについてくる。
子どもの頃から何回も、『お兄ちゃんといっしょにお仕事する!』と叫んでは、両親から止められていたくらいだ。
老舗と言えば聞こえはいいが、単純に考え方が古いのもあって、日本酒作りに女が関わるのをよしとしない家だったのが大きい。
あとは、光は納豆をよく食べてたしな。納豆菌は発酵させる菌類の中でも特に強く、他の菌をダメにしてしまうようで、発酵食品を扱うならば特に注意が必要だと聞かされてきた。
//(時間切れ)
二回目
お題『右のしきたり』
必須要素(無茶ぶり)『クレジットカード』
文字数『888文字』 未完
タイトル『右で始めて右で終える』
「あ、カードで」
会計時、右手の指で財布から抜き出したクレジットカードを店員に渡す。
普段の買い物はクレジットカードで行うようにしている。小銭が出ると財布が重いし、何より面倒だからな。
「はぁー、だる」
右手でエコバッグに商品を詰めて、パンパンになった袋をまた右手で持つ。
一歩目は必ず右足から。それに、横断歩道で止まる時も右足で止まるようにしている。
「……何そのおまじない? 意味あんの?」
「ない。うちの家系か強制されてきたしきたりだ」
その一部始終を、たまたまついてきた後輩に見られていなけりゃ、たぶん説明する機会もなかっただろうな。
「何それ? しきたりって、先輩の家つて古い名家だったりするの? あ、お金持ち?!」
「なわけねーだろ。普通の中流家庭だし、先祖にも偉かった時代はねーとよ」
「へー、つっかえね。じゃあなんでしきたりとかあんの? っつか、なんで律儀に守ってんの?」
「とりあえず俺が金持ちだったとしてもお前にだけは一銭も使ってねぇからな」
敬意のかけらもなく言いたい放題の後輩にイラッとさせられつつ、簡単にしきたりについて説明する。
まぁ、深い謂れはなかったりする。最初はご先祖の験担ぎだったらしいし。
なんでも右側から始めれば、運が良かった。たったそれだけのために、うちのご先祖は子孫に右側偏重生活を強いたんだ。頭おかしい。
「へー、先輩とそっくりなご先祖さまなんていたんだ。かわいそー」
「それはどっちに対してだ? 百歩譲って俺が可哀想ならまだしも、ご先祖相手に言ってんだったら本気で殴るぞ?」
遺伝子のベースがご先祖なんだから、子孫がこれで可哀想なんて論理は遠さねぇからな。
「しきたりはいいとして、本当にご利益あんの? ただ馬鹿みたいに右手右足酷使してるようにしか見えないけど?」
「さぁ? しょせんは験担ぎだからな。運がいいとか悪いとか、自分でわかるくらいのもんはないし」
あー、幸運といえば。
「良かったことといえば、この前買った宝くじで二等が当たったくらいか」
「へー、//(時間切れ)
単体でも並列でもいいですけど、扱いにくいキーワードがきたときの対処がやたら難しいです。何とかひねり出した感がすごい。




