883回目 2021/8/13
芸人さんって、こんな苦境に立たされてもなお立ち上がるんだなぁ、って尊敬します。
一回目
お題『不屈の海風』
必須要素(無茶ぶり)『一発ギャグ』
文字数『980文字』 未完
タイトル『彼女と海辺でランデブー』
鼠色の曇天。
吹き荒ぶ強風。
荒れ狂う沖波。
迫り来る台風がもたらす天候不良の中、俺は砂浜に立ちポーズを決める。
さぁ……見てみろ!
これが俺の、渾身だ!
「大波小波with湘南!!」
ザッパーン。
全く意味のないポーズと、全く関係のない地名で繰り出された、波しかかかっってない一発ギャグ。
これが、今出せる俺の精一杯……。
「つまんない。やり直し」
「もう勘弁してくれませんかねぇ?!」
何十テイクさせれば満足してくれるんですか、うちの彼女は?!
こんな日に海に誘う俺もどうかと思うけど、芸人やってる彼氏にガチで笑えるまで帰しません! 的な企画やる?!
つらい……うちの彼女がスパルタすぎてつらい。
「最初の頃よりだいぶマシになったけど、まだポーズに迷いがあったね。特に指先まで神経を向けてないからか、腕が下がり気味だったよ。こういうのは馬鹿みたいなことを大真面目にやるから面白いの。仕事だから、帰りたいから仕方なく、っていうのは出てしまうから、本当に私やお客さんを笑わせたい、って思いでやらないとダメ。どんな感情でも、人は真剣でないと心は動かないんだから」
「もうマネージャーってかプロデューサーみたいなこと言うじゃん……俺まだテレビにも出たことない木端芸人なんだけど?」
「チャンスは待ってくれない。気づけば目の前に垂らされるんだから、それまでに物にするための努力はしないとダメでしょ。ほら、もう一回」
「苦しい! 一発ギャグを何回もリテイク食らうの苦しいぃ!!」
懊悩で頭を抱えた俺は、膝から崩れ落ちるように砂浜へひざまずいた。
背後でまた、大きな波が打ちつけたのか、ザッパーン! と聞こえてくる。
「あ」
「え? どぅわぁ?!」
直後、今までよりも勢いのあった波が俺のいる場所まで到達し、四つん這いになっていた俺の体をさらいだした。
情けない悲鳴を上げながらゴロゴロ転がり、ただでさえ情けない姿が砂まみれでさらに無様になる。
「ぺっ! ぺっ! きたな! 砂入った!!」
口の中がジャリジャリして気持ち悪い。
あまりの不快感に口へ手を突っ込んだら、手も砂まみれかつ海水がえげつない塩分を有していたことにより、盛大な自爆と二次災害が発生した。
「からっ?! い//(時間切れ)
二回目
お題『恥ずかしい夜風』
必須要素(無茶ぶり)『パスタ』
文字数『856文字』 未完
タイトル『痺れるような苦み』
「……まっずい」
コンビニで買ったミートスパゲティを、プラスチックのフォークで口に運ぶ。
町の中でも少し高い場所にある公園から見える夜景は、住宅街以上の煌びやかさはなかった。
「あーあ、家に帰りたくねー」
途中で食べる気が失せてきて、汚い木製のベンチに中身が残った容器を置く。
髪の毛を揺らす風は少し冷たく、頭を掻き乱すくらいのちょうどいい不愉快さをもたらしてくれた。
「……なんで私、あんなこと言っちゃったんだろ」
高校の古文教師に、告白した。
もちろん答えはノー。教師と生徒の恋愛沙汰なんて、向こうからしたら人生を棒に振るレベルのスキャンダルにしかならない。
わかっていた。わかっていて、想いを伝えた。
その時の自分を思い返すと、夜風で冷めようとしていた顔と頭が沸騰しそうになる。
「あー、うー」
風で乱された髪を、さらに自分の手でぐしゃぐしゃに掻き乱した。
好きだった。その気持ちに嘘はない。
でも、本当の好きかどうかは、私にもわかっていない。
昔から好きになっちゃいけない人ほど、魅力的に見えてしまっていた。
成就したら不倫になるとかだけじゃなくて、今回みたいな社会的立場とか。そもそもの年齢差を考えたら、私の恋の履歴は犯罪まがいになってしまうものばかり。
素直に同級生や、先輩や後輩を好きになってくれる可愛げがなかった。
人のものほど、手に入らないものほど、欲しくて欲しくてたまらなくなる。
ダメな人間性だとわかっていても、心から湧き出る衝動をこらえることができない。
「ほんと、最低」
相手に対して?
自分に対して?
よくわからないけど、コンビニのパスタの味が最低なのは、はっきりとわかっている事実だった。
「……帰ろ」
ようやく観念して、パスタの容器に再び蓋をする。
ビニール袋にまた入れて、ブラブラ手にさげ歩いていく。
そして、公園の出入り口にあった燃えるゴミの口に落とした。
合成料か何かの//(時間切れ)
その流れからなんかこじれた恋愛みたいなの書きましたが、私の情緒どうなってるんでしょう?




