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869回目 2021/7/30

 ある種のダブルミーニングになっていればいいな、と思いました。


 一回目

 お題『見憶えのある成功』

 必須要素(無茶ぶり)『FX』

 文字数『915文字』 完結


 タイトル『笑えない冗談』


 株で大儲けした、という友人の自慢話に、最初から蕪を疑った俺は悪くないと思う。


「そうか、農産物がブランド化するのはいいことだな。で? 今度酢漬けでももらえるのか?」


「言いたいことはわかったから寒い親父ギャグには乗らないぞ?」


 さ、さむい……?


 そんな、渾身のジョークだったのに……。


「……じ、じょうだんは、おいておく」


「冗談にしてはダメージデカそうだな」


「うるさい! ってか、株なんてやってたのかよお前!? それで儲けとか出るわけないだろど素人が!!」


「恥ずかしくなったからってキレんなよ、大人気ないなぁ」


 はーやれやれ、とでも言わんばかりの笑みと肩をすくめるアメリカンポーズに、俺の青筋がいきりたったのは言うまでもないだろう。


「FXだよ。聞いたことあるか? 俺も詳しくなかったんだけど、予想がことごとく当たって一気に左うちわだぜ!」


「……ふーっ! よくわからんが、ともかく儲かったのは事実だと? 余計腹立つな」


「男の嫉妬は見苦しいぞ。悔しかったらお前も始めてみたらどうだ?」


「それこそ冗談だろ」


 株式運用なんてしたことない俺が、ハイリスクハイリターンっぽいやり方で稼げるわけがない。


 それに元手もないしな。投資に使う余裕があるなら、もう少しいい生活してただろうよ。


「じゃあNISAみたいな、少額から始められる株とかで試してみたらどうよ? 案外簡単だぜ、株式運用」


「あいにく、二つ返事で始められるほど大雑把な生き方はしてないんだよ。妬ましいとは思うが、羨ましいとはあまり思わないのも理由の一つだが」


「本当、昔から慎重なやつだよな。もっと人生、冒険した方が楽しいぞ?」


「刺激に飢えてないんでね」


 それからこいつは延々と自慢話をしてきたり、何かあればいくらか貸すぞ? なんて話をし始めたりと、目に見えて調子に乗っていた。


 金は人を変えるんだな、と負の実例を見せられてよかったのやら悪かったのやら。


 後日。


「……頼む、金貸してくれ」


「断る」


 投資信託とやらで大損したこいつが金の無心に来るとか、冗談にしては笑えない姿を見せつけられた。




 二回目

 お題『経験のない小説の書き方』

 必須要素(無茶ぶり)『口臭』

 文字数『911文字』 未完


 タイトル『エクストリームライティング』


 エクストリームスポーツという競技がある。


 簡単に言えば過激さを高めたもので、登頂した山の上でアイロン掛けをする『エクストリームアイロン』なんかが、だいぶ前に紹介された一例だろう。


 ぶっちゃけ、普通ならありえない状況下でやるなら、もう何でもいいのがエクストリームスポーツだと、俺は認識している。


「高度四千メートルに到着しました。準備はよろしいですか?」


「よろしくないです」


「なるほど、ではいきますよ」


「いやだぁ!! 降ろしてくれぇ!!」


 だからといぅて、本人にやる気がないのに強制させるのは、本当にどうかと思う。


『エクストリームライティング』。


 俺が挑戦させられそうになっている競技だ。


 ルールは簡単。


 インストラクターと二人一組でスカイダイビングをし、落下中に掌編を一本書き上げる、という誰得な競技である。


 一応、俺の本業は芸人の端くれなんだけど、副業で小説の短編集を出している。


 そのせいで、こんなトチ狂った企画が、俺を当て書きされて作られ、通ってしまったらしい。


「ねぇ、やっぱやめよう!? 俺、高所恐怖症なんで!!」


「大丈夫! 今日で高いところ、克服しましょう!」


「ショック療法もいいとこじゃねぇかぁ!?」


 たぶん、芸人人生で過去一のツッコミをした自信がある。


 っていうか、さっきから自覚できるほど口が臭い。ストレスがマッハになってる証拠だ。


 あぁ、インストラクターの人、俺に構わずガンガン扉の縁に進んでく。


 足元を見下ろせば、地面が遠くて気が遠のきそうだ。


 飛ぶの? 今から? ここを?


「むーりー!!」


「3、2、1、ゴー!」


「ゴーじゃねぇぇぇ!?!?」


 俺の心の声がきっかけで、インストラクターが勝手にカウントダウンしてきやがった!!


 気づけば俺は空中に放り出され、涙と涎と鼻水を置き去りにどんどん落ちていく?!


「ほら! 書かないと!! すぐ終わっちゃいますよ!?」


「あばばばば」


 耳元でなんか聞こえる気がするが、今はそれどころじゃない。


 執筆用の道具として渡されたのは、一台のスマホのみ。こ//(時間切れ)


 ちなみに私はスカイダイビング中に小説なんて書ける気がしません。みなさんはどうですか?


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