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855回目 2021/7/16

 短編を比較したら空気感の高低差がありすぎて耳がキーンってなります。


 一回目

 お題『静かな絶望』

 必須要素(無茶ぶり)『桃太郎のストーリーを自分流にアレンジ』

 文字数『1017文字』 未完


 タイトル『退治の連鎖』


 ……あぁ。


 こんなことなら、桃なんて拾うんじゃなかった。


「貴様らのせいで、我が故郷は壊滅した……女も子供も、皆殺しだ!!」


「ぐあっ!?」


 夫が、また怒りに任せた鬼の蹴りを受けてしまう。何度も、何度も、恨みを晴らさんばかりの形相と怒声が、私たち夫婦をすくませた。


「言え! 貴様らのガキは……我が妻と子の仇は!! どこでのうのうと暮らしている?!」


 せめて、あの子がいないのだけが救いだった。


 近隣の村を襲っていた鬼退治に名乗り上げ、声明通りに帰ってきた桃太郎は、しかし無傷ではいられなかった。


 お供をしたという三人の男たちもまた、それぞれに重傷を負って今も大きな町で治療に専念しているはずだ。


 この大鬼もまた、家族を傷つけられて苦しむ被害者であり……誰とも知れない相手の不幸を微塵も考えなかった加害者なのだ。


「ぐ……言わぬ」


「貴様、っ! よほど死にたいか!!」


「これは、異なことを……子を思う親とは、そういう、ものだろう?」


「……っ!!」


 夫はまだ、鬼に抵抗している。何度暴力を振われようと、決して息子の居場所は話さなかった。


 でも、私はもう限界だ。


 あんな……あんな、たとえ鬼でも生き物を殺して笑えるあの子なんかよりも、長く連れ添ったこの人の方が、何倍も大事なのだから。


「あ……」


「何だ、女? 貴様も我に抗うか」


 かすかに漏れた声が鬼に聞こえてしまったようで、標的が夫から私に移り変わった。


 全身に流れた冷や汗が、一気に冷たく感じられる。


 夫は、こんなものに耐えてまで、あの子を庇ったのか。


「あの子、は……」


「っ?!」


 口が、自然と開いた。


「あの子は、今」


「や、めろ……ダメだ……」


 歯の根が合わず、カチカチとうるさい音が鳴り止まない。


 視界は溢れてくる涙で、ほとんど何も見えないまま。


 だけど、ボロボロになって、倒れたまま、私の身を案じてくれる夫の姿だけは、はっきりと見えた。


 あの子の成したことのせいで、傷ついたあの人の姿だけが……はっきりと。


「山、一つ向こうの、町で……療養、に」


「山一つ……なるほど。奴も手負いか……いいことを聞いた」


 ぐにゃりと曲がった鬼の口元が笑みをつくった。


 あぁ、復讐者の顔とは、こんなにも歪み恐ろしいのか。


「礼だ、女。今しばらくは生かしておいてやる。きさま//(時間切れ)




 二回目

 お題『儚い昼』

 必須要素(無茶ぶり)『うんこ』

 文字数『1066文字』 未完


 タイトル『あと一歩のケツ落』


 儚くなりたい。


 そんなことを本気で考える、陽気が温かな昼下がり。


 俺は……うんこを漏らした。


「間に、合わなかった……っ!!」


 場所は悔しくも公衆便所の個室の中。あと一歩……いや半歩我慢できていれば!


 ズボンを下ろす寸前で決壊し、ズボンの中は見るも無残な状態になっているだろう。それだけで死にたくなる。


 しかも、最近は腹の調子が良くなかった。今回も感触的に、上等な一本ウナギのようにはならなかったらしい。


「後始末……どうしよう」


 本気で悩む。ひとまず、ズボンと下着を脱いではみたものの、大惨事が視覚化されただけだった。帰りたい。


 備え付けのトイレットペーパーで、尻と粗相の跡を拭ってみるが、尻はまだしもズボンも下着も異臭を放っている。


 先程までは、やっちまったと思いつつも穿けていたズボンもパンツも、一度脱いで外気に晒してしまうと途端に汚らしく思ってしまう。


 身勝手は承知の上で、しかし臭いものは臭いし汚いものは汚い。そこは譲れない一線でもあった。


「下着の替えどころか、ズボンの替えなんて持ってるわけないし、かといってうんこの臭いを撒き散らしながら帰るわけにも……」


 不運なことに、俺はたまたま駅を二つ電車で移動したところまで出ていた。欲しい本があったからと、急いで行ったことで腹を刺激したのかもしれない。


 いまさら、過去の行動をとやかく言っても始まらないか。まずは未来のことを考えよう。


「うんこの臭いを周りに悟られず、替えのズボンや下着を用意するか、家まで帰るか……」


 どちらにしろ難易度が高くて、やっぱり途方に暮れた。もう無理かもしれない。


 正直、少し離れててもわかるくらい俺のうんこは臭かった。腹の調子が悪いと臭いがキツくなるが、それが完全に裏目に出ている。


 こんなのを穿き直して電車にでも乗ってしまえば異臭騒ぎは免れない。デパートなどのエレベーター内も同様だ。


 一番現実的な解決方法は、人通りを避けながら自力で徒歩帰宅しかないだろう。めっちゃ疲れるだろうが、名誉が傷つくよりマシだ。今年で27なんだぞ、俺は。


「いい年齢したおっさんのお漏らしとか、誰得なんだよちくしょう」


 こぼした弱音も一緒に流れてくれないかな? なんてセンチメンタルに引っ張られつつ、処置した汚物付きのトイレットペーパーを流した。


 後戻りははなからできない。


 あとは覚悟と根気だけだ。


「やるぞ……俺は家に、帰るんだ!!」


 鍵をかけていた個室の扉をあけた。//(時間切れ)


 我ながらどういうつもりでこのセットを書いたのか、不思議でなりません。たぶん、必須要素(無茶ぶり)が悪いんだと思います。


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