854回目 2021/7/15
『グロテスク』って地味に難しい無茶ブリです。
一回目
お題『漆黒の闇に包まれし鳥』
必須要素(無茶ぶり)『どんでん返し』
文字数『720文字』 未完
タイトル『ソロハンターも楽じゃない』
「グエー! グエー!」
「うるせぇ! 黙ってろクソ鳥!」
逃げられないよう、麻袋の口を縛って閉じ込めた怪鳥の雛に、鳴き声に負けない声で怒鳴る。
本当なら俺の方こそ黙らにゃいけないんだが、状況が冷静さを保てるようにできていなかった。
「っ、親鳥は?!」
周囲に目をこらす……が、やっぱり何も見えない。
このクソ鳥……通称は黒霧鳥と言って、喉付近に特殊な器官を持った、いわゆる珍獣だ。
見世物小屋や変わり者の貴族に売っぱらえば、そこそこな金になる珍獣の中でも、比較的高価で取引してくれるくらいの価値はある。
今回は黒霧鳥の捕獲依頼を受けたため、直接俺が値段交渉をできないものの、ある程度の報酬が約束された上等な仕事だった。
が、機嫌良くいったのはここまで。
黒霧鳥の生息域である樹海に入り込んでから、俺の運気は最低にまでガタ落ちた。
「何だよ、この霧! 足元まで見えねぇとかやってられるか!」
この珍獣、敵に威嚇したり逃げたりする時に、喉の器官から真っ黒な霧状の唾液を噴霧する。
光を全部吸収するくらい色が濃く、広範囲にぶちまけられるために、一回吐き出されたら人間じゃ視界ゼロの状態になっちまうんだ。今の俺の周りみたいにな。
より高値で取引される雛を見つけたまではよかった。警戒心も薄いのか、あっさり捕まえられて袋に入れた時まではボロい商売だと思ったよ。
その直後に、ワイバーンさながらにデカイ親鳥が帰ってきさえしなければ。
「グエー!!」
「いいから黙ってろクソ鳥!! 親に居場所がバレる!!」
黒霧鳥の煙幕は基本的に逃走用だが、俺みたいな小さい外敵だと狩りのぶきにつかわれる。//(時間切れ)
二回目
お題『恋の爆発』
必須要素(無茶ぶり)『全力のグロテスク』
文字数『1007文字』 未完
タイトル『初恋は雷に打たれたように』
恋を知らなかった私が初めて恋を自覚した時。
ようやく、私が世界との間に感じていたズレの正体がわかった。
「へぇ、君いい色してるね。どんな生活をしてたのか、興味が出てきた」
ちょっと上から目線の態度も、ちょっと甘くて低めの声も、ちょっと幼い弾けるような笑顔も、全部が私にとって素敵に見えた。
彼が楽しそうだと、私も楽しい。
特に頬が上気して瞳を潤ませてる顔なんて、色気がすごすぎてうまく言葉も出ないくらいだ。
「少しお話しようよ。君の中身を知りたいんだ」
伸ばされる手に、思わず口元がほころぶ。
私も、あなたのことが知りたい。
ついさっき会ったばかりだけど、まるでずっと待ち望んでいたような、あなたのことを。
「ん? ……あぁ、ちょっと邪魔しないでくれるかな」
あなたから伸びた手を掴もうとした手を、簡単に、冷たく、払い除けられてしまった。
何だか寂しい……けど、クールって言い換えられるから、きっとあなたのいいところなんだね。
「手持ちはこんなのしかないけど、ごめんね。ちゃんと綺麗にしてあげるから」
あなたから伸びた手は、そのまま私の服を捲り上げた。
おへそが丸見えになって、すごく恥ずかしい……クールだと思った側から、こんなに情熱的なアプローチをしてくるなんて。
これがギャップ萌え、ってやつかな。
すごい。今私、普通の人と同じ感覚を共有できてる!
「麻酔はさすがにないから、我慢してね」
感動で体が震えている間に、あなたは私に猿轡を噛ませて、服を剥いた反対の手に握ったハサミを、私のお腹に振り下ろした。
「っあ゛ぁっ!?」
「あぁ、こら、ダメじゃないか動いちゃ。綺麗な内臓に傷がついちゃう」
頭が爆発したみたいな、すごい痛みが全身に広がった!
私の意思に反して、痙攣が止まらない。まるで火を吹いているように熱いお腹には、冷たい金属の刃がきちんと埋まっているのがわかった。
「さぁ、君の中身を見せてくれ」
……あはっ。
うん、いいよ。私の全部、あなたに曝け出しちゃう。
ぐちゅぐちゅって汚い音は、あんまり聞いて欲しくないかな。女の子だもん、恥ずかしいよ。
もう、興奮しすぎて体が動かないや。指が時々、ピクピク、ってなるのも、あなたに変に思われないかって冷や冷やしてる。
「……わぁ。思った通り、すごくきれいな//(時間切れ)
ちなみに『初恋は雷に打たれたように』ってタイトルですが、たぶん主人公は出会い頭で犯人に頭をぶん殴られていた、と想定してつけたと思います。
ふたを開ければ異常者同士の相思相愛ですが、当人たちが納得していたら美談になるんじゃないでしょうかね? 知りませんけど。




