850回目 2021/7/11
いろんな意味で謎の短編が二つできました。
一回目
お題『楽しい駄作』
必須要素(無茶ぶり)『文を動詞の現在形で終わらせない』
文字数『548文字』 完結
タイトル『治らなかった病気』
あはは、うふふ。
楽しい。あぁ、楽しい。
くるくると、ひらひらと、ふわふわと。
踊り、回って、飛び跳ねて、体を動かすことのなんて楽しいこと。
伏せっていた体が恨めしかった。
固まっていく時間が疎ましかった。
動き回る生き物たちが羨ましかった。
生きる全ての意味だった怨嗟が、もはやどうでもいいものにまで成り下がった。
だって、もう同じだから。
何もかもから取り残されていた時とは違って、健全な体を手に入れられたから。
嫌なことも、苦しいことも、寂しいことももうないんだ。
自由だ。どこまでも行けるし、何にだってなれるだろう。
山だけじゃない。林も、川も、街も、海も。
見たいものがたくさんあった。行きたい場所が溢れて止まらない。
会いたい何かは特にないけど、いつかはそんなものができると信じたい。
ああ、楽しみだ。
楽しみだ楽しみだ!
「キーッ! キキーッ!!」
行こう、山の外へ。
食べ物の豊富な場所へ。
父も母も仲間も食った。
次はどんなものを食べようか?
木の実よりは美味しいと嬉しいな。
肉が硬くてまずかったボスザルより美味しければ何でもいい。
早く、早く!
もう、お腹が空いてきた!!
二回目
お題『僕の躍動』
必須要素(無茶ぶり)『つけ麺』
文字数『1057文字』 未完
タイトル『謎イベント』
「ラーメン! つけ麺! 冷麺! ……つけ麺!」
「残念! 今のは坦々麺だ」
「くそー、反射神経落ちてんなぁ」
どこから突っ込めばいいのか?
近所でラーメンのフェスがあるから、と腹を空かせてきてみれば、まずやらされたのは意味のわからない麺類あてクイズ。
どうも周りの言葉から察するに、視力検査の代わりっぽいものはしいが……なんで麺類のイラストで視力を測らねばならないのか?
主催者の頭と正気を疑う催しである。
「次、君の番ね。ここにくるのは初めて?」
「……えぇ、まぁ」
「全問正解したら割引券をプレゼントしてるから、頑張ればタダでラーメンが食べられるかもよ?」
「全力で頑張らせていただきます」
そういうことは早く言って欲しい。ちょっと気合いを入れ直すから。
深呼吸で息を整えて……やっぱり少し腹に入れておけばよかったかな? ちょっとくらっとしてしまった。
空腹だとパワーが出ないから仕方ないが、ラーメン食べに来て飯を食うのも負けた気がする。
まさか、参加者の体調をわざと悪い方向へ誘導した結果の麺類検査じゃないだろうな? だとしたら本当にタチが悪い。
「では、始めますよー」
「いつでもどうぞ」
十分気合いを入れてメンタルの助走をしてから、僕は自分の目をかっ開く。
「冷麺! ラーメン! そうめん! つけ麺!」
さっきと微妙に順番が違う。
覚えゲーにならないようにか? 妙なところで細かい。
タダ飯にするためなんだから、さっきの人と同じ順番でよかったのに、余計なことを。
「ラーメン! 坦々麺! フォー! パスタ! そば!」
くそ、ときどき〇〇麺じゃないフェイントも挟んできやがる。
趣旨には反していないが、やり方が狡い。やたら出題が長いし、割引券を渡す気ないだろ、このプチイベント!
「つけ麺! ラーメン! そば! そば! うどん! 坦々麺!」
長い……というか、僕もよくここまでノーミスでクリアできてるな?
変に思考にも余裕があるし、これがいわゆるゾーンって奴か?
なんでこんなくだらないことで集中力を極めてるのかわからないが。
「ラーメン! うどん! フォー! 汁なし担々麺!」
「終了! いや参った! まさか全部当てられるなんてなぁ!」
イベントスタッフのおじさんに褒められるが、まともに返せる気がしない。
なんか五分くらい叫んでた気がする。食べ物の名前を連呼すると余計に腹が減るし、よくここまでつき//(時間切れ)
たぶん『治らなかった病気』の方は病弱な子どものサルを主人公にしたと思うのですが、自信はありません。というか、なんでこんなのになったのか、不思議です。




