848回目 2021/7/9
完結させられてもパンチが弱いと微妙ですね。
一回目
お題『群馬の海辺』
必須要素(無茶ぶり)『予想外の展開』
文字数『1027文字』 完結
タイトル『内陸県のお役所仕事』
「海だー!」
「はいはい、はしゃいでないで仕事してね」
「はーい」
波打ち際にまた漂流物が流れ着いたと連絡を受け、回収と分別に来た私と後輩。
歪な海岸線を見渡すと、積み上がってるものが山のように見えて、今から疲れてしまいそう。
「うひゃー、今回も大量ですねー」
「ぐちゃぐちゃに絡まった網はともかく、機械のジャンクパーツとかプラスチックのゴミなんかは、気が滅入るわ」
「でも、誰かが掃除しないとですしねー。ま、さっさとやっちゃいましょう!」
腕まくりをしてゴミの山に向かう後輩に続き、ゴミ袋を抱えて清掃作業に向かう。
たまに沖の魚まで打ち上がってくるけど、そういうのは時間が経ってすごい臭いになってるから、なるべく触りたくないなぁ。
「うえっ、相変わらず鼻が曲がりそう」
「先輩もマスクしたらいいじゃないですかー? 少しはマシですよー?」
「息苦しいのが嫌いなの! 花粉症シーズンでもない限りつけたくない!」
作業して一時間も経つのに、何で後輩はあんなに元気なのか? 若さか?
にしても、やっぱり一日じゃこの量は無理だな。何日かに分けて、長くかかりそうなら応援も呼ぶか。
「そろそろお昼休憩にしましょうか」
「はーい!」
朝からぶっ通しでやってきて、腰が痛くなってきた。
後輩は全然大丈夫そうで、なんかムカつく。
「お昼は何にします?」
「お手軽に海鮮系で済ませましょう」
「えー、安いけど飽きますよ流石にー」
「文句言わない。今は慢性的な食糧不足なんだから、食べられるものがあるだけありがたいでしょ?」
「……はーい」
不服そうだが、仕方がない。
数年前の大災害で、日本はもちろん世界の形まで変わってしまって、生活も変えざるを得なくなった。
ここだって、本来海のない群馬県だったが、今では臨時政府を構える第二の都心になっている。
沿岸の県はほぼ全滅レベルで土地が侵食され、北海道も少し前と比べればずいぶん小さくなってしまった。
海水によって畑も田んぼもダメになるし、空を含めた交通インフラもガタガタで、国民全員に食料も行き渡らない。
被災によって死者や行方不明者が多数出たおかげで、すぐに饑餓者が増えないのが何とも皮肉だ。
「あー、お米食べたーい!」
「カロリーブロックで我慢しなさい」
土地も人口も半分以下になった世界で。
私たちはまだ、生きている。
二回目
お題『栄光の恨み』
必須要素(無茶ぶり)『首相』
文字数『783文字』 未完
タイトル『国民に最も慕われた政治家の独白』
理想に生きたのは間違いだった。
血気盛んな政治家だった私が、よもや耄碌するとこんな考えになろうとは、昔は思わなかった。
むしろ、誰もがより良い生活を送れるための理想を掲げれば、自分も周りも世界もより良くなっていくと、本気で信じていたものだ。
現実は、肩書きだけで取るに足らない若造の妄念など、一蹴してしまえるほど過酷だったが。
理想を叶えるために必要な権力のために、金の工面と根回しと裏工作ばかりが上手くなる。
それさえも自分の理想が邪魔されて、自己矛盾と罪悪感で吐き気が止まらない夜もあった。
権力を握るには汚れなくてはならず、汚泥に塗れた道をかきわけながら、輝く理想を輝くままにして進むことは、至難だったと振り返って思う。
これまでも数多くの政治家たちが通ってきた道を私も進み、私の手に残ったのはヘドロに塗れた理想の残滓だけだ。
今は国民の暮らしなんかよりも、自分の地位と家族の安寧と戦友との友誼だけが守りたいものとなってしまった。
公僕とはいっても、所詮は人間。かわいいのは顔も名前も知らない国民ではなく、中身も知っている身近な人たちだ。
かつて理想だったものはこんなに汚かったのかと、捨てられないまま胸の中に打ち捨てられている。
こんなものが、一国の首相になるための動機だったのかと思うと、笑いも出てこない。
頂点までの道は、さながら富士山の登山道のように、ゴミのような欲に埋め尽くされていた。
登頂して初めに拝んだ日の出の景色も、頭から被った泥によって汚らしい光にしか見えなかった。
権力者が求めた栄光の、なんと惨めで罪深いことか。
無知の代わりに無垢だった若者に、とても語らせ拝ませ突きつけるものではない。
私の生活を変えた権力には、感謝もあれば恨みもある。
汚い愉悦はげんじつをわ//(時間切れ)
とはいえ、中途半端になるよりはましなんでしょう。完結させないと評価もできないんですから。そう、自分に言い聞かせておきます。




