835回目 2021/6/26
『100字以内』は鬼畜の所行です。
一回目
お題『出来損ないのババァ』
必須要素(無茶ぶり)『コショウ』
文字数『904文字』 未完
タイトル『出来損ないのおばあちゃん』
僕はよく、出来損ないと呼ばれた。
生まれつき体は弱く、かといって頭がいいわけでもない。
家族のお荷物……直接言われなくとも、そう思われている空気はずっと感じていた。
でも、おばあちゃんだけが僕によくしてくれた。
「ありゃ、いらっしゃい。どうしたね?」
僕はよく、おばあちゃんの家に行っていた。
家にいたくない時とか、一人になりたい時とか、まるで避難場所のようにおばあちゃんの家に転がりこんでいた。
一人になりたいのにおばあちゃんの家に行ったのは、本当は一人でいるのは嫌だったからなのかもしれない。
「お腹減ってないかい? ばあちゃんが何か作ってやろう」
家に行くとよく、変な食べ物が出されていたと思う。
そうそう、一番強烈なインパクトがあったのは、じゃがいもを蒸しただけのものを出された時だった。
普通は塩くらいかけてくれそうなものなのに、その時は代わりにとコショウが大量に振りかけられていた。
ちょっと喉に引っかかって、盛大にむせたのを覚えている。
そのくせ、塩味はなくて辛味だけが口に広がって、正直美味しくなかったと思う。
子供心に気を利かせて、マズイとは言わなかったと思う。
唯一優しくしてくれる人の善意を突っぱねられるくらいの勇気が、僕にはなかったんだ。
「今日はどうしたね? ばあちゃんに聞かせてみな?」
おばあちゃんはよく、僕の話を辛抱強く聞いてくれた。
頭が良くないからか、僕の話はよくわからないと言われることが多い。
自分が伝えたいことを、うまく言葉にできなかったんだ。どう言えばわかってもらえるかも、わからなかった。
そんな僕の話を、おばあちゃんはずっと我慢して聞いてくれていた。
もちろん、おばあちゃんにも意味が伝わらなかったこともある。というか、ほとんど理解してもらえなかっただろう。
それでも、言葉をぶつける先になってくれていたのは、ありがたかった。
あのままじゃ、僕はしゃべることを怖がったり、諦めたりしていたかもしれない。
何を言っても伝わらない徒労感は、相手だけじゃなく僕も感じていた//(時間切れ)
二回目
お題『嘘の検察官』
必須要素(無茶ぶり)『100字以内』
文字数『99文字』 完結
タイトル『公正公平な魔女裁判』
「……以上が、被告人の量刑を判断した根拠です」
検察官の証拠は、全て嘘だ。
「……判決を言い渡します」
俺は冤罪なのに。
「死刑」
無実を叫ぶ言葉は、人殺したちには、届かなかった。
めちゃくちゃワードセンスとかを問われる無茶ぶりですよ、『100字以内』って。掌編で面白くするとか至難ですって、マジで。




