825回目 2021/6/16
もう毎日更新はあきらめた方がいいかもしれません。
一回目
お題『近い広告』
必須要素(無茶ぶり)『予想外の展開』
文字数『961文字』 未完
タイトル『気づきたくなかった』
目に映る広告は多種多様で色鮮やかだ。
人の目を引き、興味を持たせ、あわよくば購買意欲を煽るのが役目なのだから、当然と言えよう。
テレビ、新聞、中吊り広告、電光掲示板。
生活をしていたらどんな形であれ、広告というのは目に飛び込んできて、必要か不必要かは関係なく情報を流し込んでくる。
私はあまり、広告というものが好きではない。
言葉にはしにくいが、何というか、ドロドロしたものを感じてしまうのだ。
……うぅん、やっぱり言葉にしにくい。文字が、色が、画像が、とても攻撃的に目から暴れてくる、というか。
ともかく、私は目に優しくないものが苦手で、その中でも特に目にする機会が多い広告が苦手だった。
そう、自分でも言語化できないほど曖昧な、けれど確かにある苦手意識というだけだった。
でも、まさか。
「……あ」
何気なく目にした広告から、奇妙なメッセージを読み取ってしまうなんて、思いもしなかった。
「なに? 暗号……?」
最初に気づいたのは、確かテレビコマーシャル。
若い女優が爽やかに演じる、清涼飲料水のCMだった。
そこに、私の目だと一瞬ノイズのようなものが走り、意味のわからない言葉が浮かび上がってきた。
「日本語、じゃない? え、何語?」
目に焼き付いたのは、ほんの数秒だっただろうか? すぐに消えてしまったし、日本語でもなさそうだったから、すぐに思い出せなくなった。
気のせいだと思うことにした。でも、そうした違和感は、日に日に私の日常を侵食していった。
ある日は、近所のスーパーの特売チラシに印刷された文字が、いくつか浮かび上がって見えるようになった。
また別の日は、通学中の電車内にぶら下がっていた週刊誌の広告に、どこかの地名を指す言葉が見えてしまった。
きわめつけは、電光掲示板に指令書? みたいな命令文が長々と表示されているのに気づいてしまう。
あぁ、疲れているんだなと思えれば、どんなに楽だっただろうか。
私が謎の暗号に気づいたら、数日以内に何らかの異変を感じ取っていなければ。呑気にいられたはずなのに。
私が見た暗号文書の内容はバラバラだったし、読み取れないものも多かったけど、読み取れたものの中ではほぼ百%じけ//(時間切れ)
二回目
お題『あきれた体験』
必須要素(無茶ぶり)『結婚相談所』
文字数『1186文字』 完結
タイトル『賑やかな叔父さん』
「聞いてくれよ、サチ! そろそろ結婚しろ結婚しろってお袋がうるさいから、結婚相談所に登録したら次の日に会社が無くなってたんだ! 運が悪いと思わねぇ?」
「悪いのは叔父さんの頭じゃない?」
いきなり家にきて何事かと思えば、また愉快な土産話を持ってきたものだと呆れてしまう。
今年高校生になったばかりの姪に話す内容か? そんな体験談よりも、お小遣いの方がよっぽど嬉しい。
「っていうか、それって完全に詐欺じゃん。警察に訴えなよ。お金が戻ってくるかはわかんないけど」
「え? ……えぇ?! 詐欺にあったのか、俺?!」
「気づこうよ、いい年した大人なんだから」
「やっべぇ、俺詐欺初体験なんだけど!?」
「何喜んでんの?」
嬉しそうにしてるのが心底理解できない。この叔父さん、改めて頭がおかしい。
「そういえば、お父さんの家に来てよかったの? なんかちょっと前に絶縁食らった、って親戚の集まりで聞いたけど」
「絶縁? なにそれ?」
「あー、そこからかー」
じゃあ何も知らずにここに来たわけか。本当、ダメな叔父さんだなぁ。
「叔父さん、なんか色々やらかしてるらしいじゃん」
「あぁ、まあそう言われればそうかもな」
「で、たびたび親戚に迷惑かけてるらしいじゃん?」
「いやぁ、頼りになる家族がいっぱいで嬉しい限りだよ!」
「そうなると、叔父さんが鬱陶しくなってくるじゃん?」
「あれ? 雲行き怪しくない?」
「縁切りたくなるじゃん? で、切られたじゃん?」
「……え、マジ?」
「マジマジ」
ようやくことの重さに気づいたのか、頭を抱えだした。遅いよ。
「だから、早めに退散した方がいいよ。私のお父さん、叔父さん排斥派の筆頭だったから。あんな弟、さっさと追い出せ! がスローガンだったよ」
「兄貴ひでぇ!! 俺が何したってんだよ?!」
「やらかしまくった後の今じゃない?」
なるほど、この人反省しないんだな。そりゃ嫌われるわ。
「というわけで、お引き取り願おうと思います」
「そんなぁ! 兄貴を説得するとかしてくんないの?!」
「別に叔父さん擁護派じゃないし。自業自得なんだったら、自分で責任持とうよ。大人なんだから」
「姪っ子が厳しいぃ!!」
普通だよ。むしろ親戚中の厄介者相手にするんなら甘い方だよ。
「じゃ、帰った帰った」
「うぅ……結婚式は呼んでくれよぉ……」
「気が向いたらね。というか、先に自分の相手見つけたら」
ずいぶんのんびりした予約を入れようとした叔父さんの背中を見送り、ようやく家の平穏を取り戻す。
「……あんなに賑やかだったの、久しぶりだな」
たぶん、口元がにやけているかもしれない。
共働きで冷たく静かな家にいた私には、ちょうどいい騒がしさだったのかもしれない。
油断したら一日があっという間に過ぎていて、かなり困ります。あぁ、どんどん何もできなくなっていく……。




