819回目 2021/6/10
たぶん、三日ぶりの投稿になるんじゃないかな? と思います。
一回目
お題『トカゲの瞳』
必須要素(無茶ぶり)『即興小説のステマ』
文字数『674文字』 完結
タイトル『無限の即興』
カタカタカタカタ……、ブラインドタッチでキーボードから立てる音だけが、室内に響く。
画面には、お題と必須要素に書かれた文字に、残り時間を示す数字が浮かぶ。
白い入力画面には、文字の羅列がずらっと並ぶ。ひたすら打ち続ける文字は、減る時間と共に増えていく。
画面が切り替わった。タイトルと削除用のキーワードを入力して、決定が押される。
そしてまた、新たなお題で文字を打ち込む作業が始まった。
室内は暗い。昼間なのだろう、締め切られたカーテンからは光が漏れていた。
それ以外に浮かぶのは、PCのブルーライトやタコ足配線のスイッチのみ。
わずかな光源が照らす部屋の中には、雑多な本やベッドの他に、飼育用のカゴが置かれていた。
その中には、一匹のトカゲがいた。活発に動くこともなく、ただじっと、部屋の主人の背中とPC画面を瞳に映している。
無機質な瞳は、ずっとその光景を見ていた。
部屋が真実暗くなり、明るくなって、また暗くなるのを繰り返す背中を見続けている。
文字が打たれる。
文字が打たれる。
文字が打たれる。
一人の手により投稿された作品群は、しかし匿名投稿により流れていく。
統一された文体ではなく、共通したテーマもない。
匿名であるからこそ、特定ができない書き方で、一人ひたすらに文章を書き連ねていく。
背中は動かない。
トカゲの瞳も動かない。
時間が進んでいるようで、止まっている空間。
まるで囚人の労役のように、その背中は一心不乱に、物語を生み出し続けていた。
二回目
お題『君の月』
必須要素(無茶ぶり)『佐々木』
文字数『900文字』 未完
タイトル『佐々木さんと月』
佐々木さんは月が好きっぽい。
「なに?」
「あー、ごめん。見えたから」
「別に。見られて困るもんでもないけど」
高校の昼休み、たまたま佐々木さんがスマホをいじり出すのを見て、物珍しさに止まってしまった。
待ち受け画面が、なぜか満月の写真だったから。
「見ちゃったついでに聞くけど、なんで月? 好きなの?」
「嫌いじゃない。特別好きでもないけど」
「じゃあなんで?」
「この前、テレビで見たから」
テレビ? と考えてすぐ、佐々木さんの指していたことがわかった。
「ああ、スーパームーンってやつ?」
「そう、それ」
「自分で撮ったの? ネット画像じゃなく?」
「そ」
端的だけど会話してくれるのも意外だったけど、話の内容ももっと意外だった。
佐々木さんはあんまり人と絡むところを見たことがない。ボッチってわけじゃないけど、積極的に誰かといようとしない、みたいな。
僕も一人が気楽だから、少し気持ちはわかる。でも、佐々木さんほど集団から切り離された雰囲気は出さない。
好きなものとか嫌いなものとか、よくわからない人だと思ってたけど、天体好きなんだな。
「月以外には、何か撮ってたりする?」
「……ん」
迷惑かなぁ、と心配しつつもうしばらく話を続けてみると、佐々木さんはスマホを少し操作して突き出してきた。
受け取ってみると、写真のフォルダみたいで、どうやら実際に見てもいいらしい。
「……おー、見事に月ばっかりだね」
で、中身を改めて見たら月、月、月。
たぶん、毎日記録してんじゃないか? ってくらい、細かく違いがある月の写真ばかりが収められていた。
「うわ、新月まである。すごいなこれ」
「満足したら返して」
「あ、うん」
あんまり人のスマホを長々と触るもんじゃないな、と佐々木さんに返す。
「もしかして、待ち受け画面を毎日変えてたりとか?」
「流石に毎日は。二、三日に一回くらい」
「それでも変えてる方だと思う」
嫌な意味じゃないけど、変な人だと思った。
まぁ、僕がこれといって特徴ないから、羨ましいと//(時間切れ)
悪いとは思っていますが、最近暑くて気力が湧いてこなかったんですよね。みなさんも夏バテ? には注意しましょうね。




