818回目 2021/6/9
最近、『探偵』って職業が胡散臭い上に便利なためか、ちょこちょこ『即興小説』で出している気がします。
一回目
お題『白い殺人』
必須要素(無茶ぶり)『阿部寛』
文字数『1099文字』 未完
タイトル『白い鬼籍』
「さて、君に話があるんだけど、いいかな?」
「……はい?」
とある中学校の校門前。
待ち伏せていた甲斐があって、なかなか捕まらなかった少女とようやく接触できた。
あぁ、なるほど。確かにこれは捜査の手が緩むのも頷ける。
こんな華奢でかわいらしい子の周りで、五人もの人間が不審死を果たしたとして、どうしてこの子に疑いを向けられようか。
そう、思わず考えてしまうくらいには、この子は無垢であどけない雰囲気を醸し出していた。
「あなたは?」
「失礼、俺はこう言う者でね」
誰何を問われて名刺を差し出す。
「……探偵?」
「そう。とはいっても、この件に関しては依頼人なんていない。単なる好奇心さ」
「私に何を聞きたいと?」
「わかっているだろう? ここじゃ話しにくいことさ」
「……少しだけですよ」
こちらを怪しんでいるのは明白だけど、どうやら話には乗ってくれるらしい。
いやはや、従順なのはいいことだが、このやりとりだけでわかることもある……この女、見た目通りの性格じゃないな。
話が早すぎる。この年齢なら、もっとこちらに問いを投げかけてきてもおかしくない。
『なんのことだ?』とか、『怪しい人に話すことはないんですけど?』とか、とにかく疑い深く、察しが悪くて、反発するものだ。
が、この女はすぐに俺の言葉の意図を理解し、場所を移そうと先を促した。
何を聞かれるか分かった上で、俺に時間を使おうとするんなら、大胆不敵と言わざるを得ない。
こりゃあ、マジかもしれないな。
あの不審死はすべて、この女が仕組んだ殺人だったんじゃないか? って。
「いらっしゃいませ」
そうして連れてこられたのは、この女の学校から少し離れた場所にある喫茶店。
客はそこそこいるようだが、女が指定して座らせた場所は少し奥まったテーブル席。
BGMや他の客の話し声もあって、他人には声が聞こえづらい位置だろうな。さすがに、ここまでくると疑いが確信に変わりそうだ。
「……気になっていたのですが」
「え? なに、俺が阿部寛に似てるって? そうなんだよ、よく言われるんだよねー」
「好奇心で調べている、というのは嘘ですね?」
こちらが空気を軽くしてやろうと冗談をかますも、さっさとスルーしやがった。
まぁ、実際に言われたのって少し前から一緒に働いてた助手とか、探偵するにあたっての師匠からだけで、身内評価でしかないんだけど。
「へぇ? じゃあ何だと思う?」
「復讐ですか? 柿崎氏と、弥生氏……でしたか」
ヘラヘラとえみをうかべ、//(時間切れ)
二回目
お題『きちんとした広告』
必須要素(無茶ぶり)『ゴルフボール』
文字数『937文字』 未完
タイトル『価値基準』
「はい、じゃあ問題です。このゴルフボールをたくさん売ろうと思ったら、どういう宣伝をすればいいと思う?」
「知らん」
「少しは考えようか、就活生?」
顔は笑っているが、額には青筋が浮かんでいそうな指導員に一瞥をくれ、また目を逸らす。
「そもそも、広告業とか興味ねぇし。きちんとした広告の正解もわからねぇんじゃ、答えようがないだろ」
「そうやっていくつの業種を捨てるつもり? 接客ダメ、営業イヤ、製造向いてない、農林水産業論外で、ITはちんぷんかんぷん。だったらせめて何をしたいのか、何ができるのかを言ってくれないと、どうにもならないだろう?」
大学内のリクルート相談に通い始めて数ヶ月。
結局時間だけがすぎていって、俺の方もどうしたらいいのかわからなくなってきていた。
就活対策として、いくつか心構えを聞いたり、対策の課題とかをやらされたりしてきたが、どうにもしっくりこない。
自分が働く姿というか、働く場面を想像できない。
どんな場所に送られても、自分はすぐにそこからいなくなるイメージしか湧かないからだ。
「……一応、時間を使わせて悪いとは思ってるよ」
「なら、もう少し真剣に考えてくれないか? 僕の仕事でもあるけど、何より君の人生の話だろ?」
「それが、いまいちわからねぇんだよ」
対面に座っていた指導員は、ため息をつきつつ手元の資料を一度放り出した。
「俺は何がしたいかなんて、俺が知りたいくらいだし。俺に何ができるかっつっても、それが仕事とどうつながるかもわからねぇ。これができるからあれもできるはず、なんて言われても、蓋を開けてみなきゃわからねぇだろ?」
「働きたくない子どもの屁理屈に聞こえなくもないが、続けて」
「いや、本当にわからねぇんだよ。誰かよりできることなんてないと思ってるし、俺ができることなんて大体他人ができることだ、って思ってるんだ。なら、できることって考えで仕事を探すなら、肉体労働系しか思いつかねぇんだって」
「……ちゃんと働く気はあったんだね? そこは安心したかな」
何だ、その言い方?
別に働かねぇとは言ってなかっただろうが。
「でも、君はなぜか自分の価値を軽視している。君、//(時間切れ)
あと、リクルート的な話では私の根底にある考えが漏れ出していました。学生時代から今を通してなお、自分の価値がうまく把握できていません。




