812回目 2021/6/3
作風がだいぶ正反対の方向な二作になっています。
一回目
お題『裏切りの戦争』
必須要素(無茶ぶり)『1500字以上2000字以内』
文字数『850文字』 未完
タイトル『亡国の反旗』
栄枯盛衰。
どれだけ権勢を誇った国でも、いずれ衰退し滅んでいくのは、自然の摂理と言える。
長年、他国に侵略して勢力図を増やしてきたこの帝国も、その順番が回ってきただけのこと。
「北部戦線はデレアリー家、サンドレアス家が反旗を翻しました! 残る帝国軍は劣勢! 戦線を後退させ、撤退しております!」
「西部、南部も似たような有様で、なんとか拮抗しているのは東部の一部地域のみ! このままでは、我が帝国領土はどんどん食い尽くされていきます!」
宰相や軍部大臣らが、下から上がってくる報告に顔を青ざめさせているが、こうなることは火を見るより明らかだっただろう。
重税に圧政、諸侯の無体を放置し続けた帝国には、最初から広大な民や領土を抱えきるだけの器などなかったのだ。
それができる、できていると妄想していたのは、皇帝を含む自称有能な為政者ばかり。
私を含む皇子や皇女、文官や武官に至るまで、宮仕していたほぼ全てが帝国の惨状に驚きもしない。
「何故だ!? この戦は勝てるはずだった! 戦力差など測るまでもなくこちらが優勢だったはず!! なのに、何故これほどまでに裏切り者が増えるのだ!?」
皇帝、父が冗談のような悲鳴を上げるが、本当に分かっていなかったからこそ、この戦は止められないし、勝つことができない。
彼らは知らないのだろうか? 裏切っていく諸侯は、大半が帝国が過去に侵略した亡国の貴族たちだ。
侵略して統一ばかりに目がいっていた皇帝は、戦後の領地運営など頭になく、奪ったそのままに元々の所有者に管理を丸投げしていた。
それも、帝国側の監視も置かずに。人材が足りないからと、抵抗の力を奪うための重税を課しただけで安心していたツケが回ってきたのだ。
管理者を変えずに統治させたのは、侵略者側の温情と思わせるのであれば悪くない手だったが、その後の重税で一気に帝国への憎悪を膨らませたのは失策だっただろう。
厚遇こそする必要はないものの、冷遇すれば反発//(時間切れ)
二回目
お題『馬鹿な逃亡犯』
必須要素(無茶ぶり)『じゃがいも』
文字数『996文字』 完結
タイトル『とーぼーしゃ』
「くそっ! しくじった!」
誰もいない廃墟をたまたま見つけ、隠れることができたのは幸運だった。
まさか、人生の一大決心でやったコンビニ強盗があっさり失敗するなんて。
「本当なら、もっと金を持ってたはずなのになぁ」
背中をコンクリの壁に預け、手元を見てみればビニール袋に入ったポテチが二袋とジュースが一本。
なんの用事もなく会計の場所に行くのが、なんか違うと思って強盗直前に購入した商品だ。
少し腹も空いたし、ポテチでも食べるか……あ、レシートも残ってる。落としてなくてよかったよ。
「あとは、この服、どうすっかなぁ?」
今まで気にしないようにしてきたが、やっぱり無理だよなぁ……こんな目立つのつけてれば。
強盗に失敗して逃げた直後、店先に出てきた店員にボールみたいなのぶつけられたんだよな。
確か、防犯用のカラーボールとか言うやつ。テレビで何度か見たことあるけど、ぶつけられる側になるとは思ってなかった。
食らった時も普通に痛かったが、何より目立つ蛍光色がばっちりついてんのがヤバい。
左腰の部分に当てられたが、垂れた液体を靴で踏んでいたのか足跡もバッチリ残っている。
このままのんびりしてたら、通報で動いてる警察が俺の居場所を見つけるのも時間の問題だ。
「でもなぁ、この服お気に入りなんだよなぁ……靴も高かったし、捨てんのもったいねぇなぁ」
そこそこ高いブランドの服と靴だったこともあり、手放すのに躊躇してしまう。
ってか元々、ファッションに金を使いすぎて金欠になったから、強盗なんてやろうと思ったわけで。
失敗した挙句、一張羅を台無しにされたんじゃ採算が合わないどころか大幅マイナスじゃねぇか。
「あー、限定品、ヴィンテージ、コレクション……いや待て、洗ったらまだ使えるか?」
一度脱いだ上着を広げ、まじまじと見てみる。
クリーニングに出せば、ワンチャン、いけるか?
いや、相手はプロだ。いける、いけるはずだ。まだこのアウターは終わってない!!
「そうと決まったら、行きつけのクリーニング屋に行って頼んでみるか!」
細かいことは後回しにして、ひとまず服と靴をどうにかすることにして、ポテチの袋をポイ捨てした。
一時間後、クリーニング屋の店員に通報されて、あっさり逮捕されましたとさ。
とほほ……。
『亡国の反旗』は、もう少し腰を据えた状態で考えた方がいい流れでしたね。なんかややこしいこと自分でも書いてるな、と思いました。




