795回目 2021/5/18
どっちもかなり無理のある設定を押し通した感じです。
一回目
お題『楽観的な水たまり』
必須要素(無茶ぶり)『この作品を自分の最高傑作にすること』
文字数『961文字』 完結
タイトル『気まぐれな命』
踏まれる。踏まれる。踏まれる。
あぁ、楽しいなぁ!
「……はい、そちらの商談につきましては……」
「……でさぁ、そいつなんて言ったと思う? それが……」
「……っばい! 今度遅刻したら出席日数がぁ〜……」
色んな人に踏まれて、色んな人生に関わっている感じ。
ああ、やっぱり楽しい! 干からびたら何もなくなる水溜りでも、生きる意味は見出せる!
一昨日に降ったゲリラ豪雨から生まれた僕は、なぜか意識を有したまま存在していた。
何もできないくせに、水溜りが映す範囲の景色は知覚できるんだから不思議だ。
視野は水溜りの範囲だけ。聴覚は水溜まりを震わせた声だけ。
実質、僕が捉えられる世界の広さは、自分の周囲数メートルが限界だった。
それに、短い命だと感覚的にわかっている。僕の体だろう水溜りが、地面に吸い込まれたり蒸発していくごとに、感覚が狭まっているのがわかるからだ。
最初は一帯が水浸しで、僕が知覚できた世界も広かった。
でも、天気は悪いままでも二日も過ぎれば、水溜りだって小さくなってくる。
気づけば、僕の体は数十センチくらいしか残っていない。
でも、こんな体でも、命のない存在でも、意識を保って考えることが楽しくもあり、怖くもあると知れたのはよかった。
僕はおかしな存在だけど、僕自身が僕を知覚できているから、実在が立証されたことになる。
僕は生きている水溜り。名前も意味もないが、それでも僕は生きている。
あぁ、楽しい! あぁ、怖い!
生きていて、もうすぐ死んで、自分がどうなるのかわからない。
それでも、なにも自覚できないまま死ぬより、こうして考えられる時間があるだけありがたい。
生きることに意味を見出したい。
だから、僕は人を見続ける。
僕が消えるその瞬間まで、僕が観測した人間はそこにいたのだと証明するために。
僕は意識だけの液体だ。
踏まれるたびに体を失い、時間と共に体が霧散する。
それを感じるたびに、僕は生きていることを実感する。
死ぬ恐怖に怯える自分を自覚して、生きているのだと確信できる。
だから、楽しむんだ!
自分が消失する、その瞬間まで!
自分が生きていたことを世界に残すために!
二回目
お題『もしかしてババァ』
必須要素(無茶ぶり)『靴下』
文字数『867文字』 未完
タイトル『年齢詐称系小学生』
俺のクラスメイトに、ちょっとおかしな奴がいる。
「花ちゃん、何聞いてるの?」
「落語だよ」
「花ちゃんのお弁当、なんか見たことないのばっかりじゃない?」
「おいしいよ。つくしの炒め物とか、イナゴの佃煮とか」
「花ちゃん、靴下変な色してない?」
「そう? 私は普通だと思うんだけど」
聞こうとしなくとも、日常的に入ってくる竹内の会話はインパクトがすごい。
今もまた、暗い緑色? みたいな靴下を指摘されても首を傾げている。うちは校則がゆるい方だから、白以外でも履けるのは余談か。
ともかく、竹内ははっきり浮いているほどババくさい。しかも小学生で。
見た目は、同学年の女子の中でも小柄で、マスコット的な可愛がられ方をしているのは目につく。
なのに、中身はうちのばあちゃんを相手にしているような感じで、とても同級生とは思えない。
「あれ? 花ちゃんの水筒、変わったお茶入れてるんだね」
「梅昆布茶だよ。飲む? 美味しいよ」
ほらまた、小学生の飲み物としては違和感がすごいものを飲んでるし。
気になる。ものすごく気になる。
というか、他のクラスメイトはなんで普通にしてるんだ? 俺だけか? 竹内がババくさいのをおかしいって思うの?
今まで話したこととかあんまりないし、踏み込んだこと言って嫌がられたらいやだけど……いいや! いっちゃえ!
「た、竹内!」
「ん? 何、柳川くん」
お、思ったよりも声が出ちまった。なんかクラスのみんなに注目されてる……。
ちょっと怖くなってきた、けど今更引けない。
聞くぞ! いくぞ!!
「竹内ってさ、なんでおばあちゃんみたいな感じなんだ?」
「え……」
どんなことを話していても即答していた竹内が、初めて言葉に詰まった。
みんなから突き刺さる視線が冷たくなる。
やばい、なんかやばいかもしれない。
「柳川、お前それは無粋だろ」
「人の趣味を悪くいうの、最低だと思う」
「おばあちゃんとか、女の子にかわいそうだよ」
す//(時間切れ)
あとは創作する人のほとんどは思うかもしれませんが、『この作品を自分の最高傑作にすること』って無茶ぶりクソ過ぎると思うんですけど、どうです?(誰に対しての問いなのか?)
最近の考えとしては、私を含む創作家って『自分の理想に突き進みながら、決して理想にたどり着けないまま、失敗作の山を築き上げる愚か者』なんですけど、失敗作の一つに『最高傑作』とか思えませんよね普通。




