792回目 2021/5/15
ステマって難しいな、と思いました。
一回目
お題『小説の中のカップル』
必須要素(無茶ぶり)『酒』
文字数『919文字』 未完
タイトル『吊し上げ』
「お、お前学校にエロ小説持ち込んでんのか? おとなしい顔でやるなー」
「……ちがいます」
「おーい! こいつ堂々とエロ小説読んでるぞー!!」
「ちょ!?」
クラスのお調子者のせいで、僕はいらない注目を浴びてしまった。
「う……」
つい、言葉に詰まってしまう。
集まる視線の意味を考えてしまうと、声も体も動かなくなった。
男子だとニヤニヤした嫌な顔が多く、女子だと明らかに嫌そうに軽蔑した顔ばかり。
騒ぎを大きくした山口みたいに話し上手じゃない僕は、もうそれだけで萎縮してしまった。
「へぇー。相田って暗いイメージあったけど、その上でムッツリだったのか。意外、でもねぇか」
「だよな! 俺もビックリしたぜ」
山口のグループで、野球部に所属していた川谷も入ってきた。
最悪だ、余計に弁解できなくなる。
大勢の人がいる場所が、ただでさえ苦手なのに。槍玉に挙げられた状態にされたら、自分でもどうしたらいいかわからなくなる。
「で? 相田はどんなエロ小説読んでるんだ?」
「えっとー、ちょい貸して」
「ぁ……」
肩身を小さくしていると、山口が俺の手から小説を奪った。
そしてそのまま、朗読を始める。
「『何してるの? 早くどいて』
『すんません、さっきの店で飲みすぎたみたいで、立てません』
『……社会人なんだから、お酒の適量くらい知っておきなさい。ほら、立てる?』
『お手数、おかけします、先輩』」
「……おい山口、それのどこがエロ小説だ?」
「え? だって男が女を押し倒したんだぞ? そんなんもうエロ小説だろ」
短い棒読みの朗読は、山口の本気か冗談かわからない言葉によって終わりを迎える。
ニヤニヤと面白がっていた川谷は、一転して白けた顔になりため息をこぼす。
「お前、保健の授業だけ全休みしていた天然記念物か? エロ小説だったらもっと過激なこと書いてるもんだろうが」
「え? じゃあこれは何?」
「普通に恋愛小説か、恋愛要素がある別のジャンルの小説だろ。ってか、お前現代文もサボってんじゃねぇか? いくらなんでも、それくらいでエロとかいまどきありえねぇだろ//(時間切れ)
二回目
お題『安い帝王』
必須要素(無茶ぶり)『即興小説のステマ』
文字数『1007文字』 未完
タイトル『王座の座り心地』
「お、閲覧人数のランキング更新してんじゃん」
パソコン画面を見てつい、頬が緩んでしまう。
『即興小説トレーニング』って看板を掲げたサイトの常連になって、早二年。
暇ができればキーボードを叩いてきたおかげか、それなりにできるようになってからは、この隙間時間でできる創作活動がもっと楽しくなった。
ある程度、制限時間内に完結できるようになってからは、他の参加者と競うようになった。
さすがに投稿数じゃ今から追いつくのは難しいが、文字数や閲覧人数ならなんとかなりそうな気がして。
色々と工夫し始めた頃から、俺のアカウント名が徐々にランキングに載るようになった。
「いやぁ、意外に早かったな。それか、俺って才能ある?」
天狗になってる自覚はあるが、今くらいは王者の気分を味わってもいいだろう。
初めて、一位の座に上り詰めることができたのだから。
文字を書くだけなら、義務教育で散々やってきたが、小説という形で書き始めたのはそう古い頃からじゃない。
せいぜい、この『即興小説トレーニング』を利用し始める少し前くらいだ。
それで閲覧人数トップの作品を作れるんだから、俺もなかなか捨てたもんじゃない。
人に自慢できることが何もなかった人生で、唯一と言っていい特技ができた。そんな気分だ。
「ま、本格的に書いたことなんてないけど」
ぎしっ、と背もたれが俺の体重で悲鳴をあげる。
俺の創作活動は、あくまでこのサイトの中だけで完結している。他のサイトに載せるためだったり、小説賞に送るためだったりの理由で、書いた作品は一つもなかった。
俺にとって小説は、あくまで暇つぶしの遊びにすぎない。スピードが速かろうが、中身が上手かろうが、俺にとってはあまり重要じゃなかった。
ただ、少しでも暇を潰せるならなんでもよかった。
その中で『即興小説トレーニング』は、俺の性に合っていたんだろう。
勉強の合間とか、課題の息抜きとかにやるのが当たり前になって、気づけば時間が経っていることもザラにある。
やっと夢中になれる何かを見つけた気がして、ランキング一位の名前だけで、安い頂上の景色に浸れる自分がどこかおかしい。
「あぁ、次はどのランキングを制覇しようかな」
できるかどうかもわからないのに、できるつもりでいる自分は、愚かな帝王みたいなものかもしれない。
//(時間切れ)
一作目は明るい振りして暗い感じもするし、私の作風ってどうなってんだろう? とたまに思います。自己分析がとても苦手なので、修正とか反省とかできないんですけどね。




