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784回目 2021/5/7

 迷走っぷりというか、心から漏れ出た何かっぽい感じが強い話でした。


 一回目

 お題『儚い火』

 必須要素(無茶ぶり)『信仰』

 文字数『935文字』 未完


 タイトル『集団暴力の話』


「宗教ってのはとどのつまり、数の暴力による思想洗脳が根幹にあると思うんだよ」


「おい、言いたいことはわかるが言葉くらい選べ。今、確実に世界三大宗教は敵に回したぞ」


「間違っちゃいないだろ? 土着信仰を重視する奴らは全員異教徒だから人間じゃない、みたいな価値観の時代もあったくらいだ。人々の生活をよりよくするための規範になる反面、人々の争いをより過激化させるのが宗教の役割とも言える。そして、それを自覚の有無に関わらず権力と暴力を振るうのは、いつだって階級の高い権力者だ。信仰という洗脳は解除が難しいからね、位が高くなるとともに、動かせる人間も増えていく。そして、統率された思想集団は根本が似てくるから、間違った正義を悪と捉えることも難しくなる。人間は集団で協力し、豊かな生活を送る生物ではあるけど、同時に数が集まればこれほどろくでもない生き物もいないよ。これならまだ、蝗害のほうがかわいいくらいだ」


「さっきから宗教批判がえげつないな……俺、一応家が仏教徒だけど感覚的には無宗教だから、全然興味がないんだが」


「え? ヨーロッパ史の講義を受講していたから、てっきり興味があるかと思ってたんだけど、ただの単位稼ぎだったの?」


「そりゃそうだろ……お前くらいだよ、そんな熱心に講義を聞いてるやつなんて」


 大学の学食でいきなり始まった同期の演説が止まり、密かに安堵する。


 こいつ、変なところにスイッチがあるからいつ、どう爆発するかわからないんだよな……これも一種のオタクってやつなのか?


「そっか、そういうものか……面白いのになぁ」


「逆に、お前はないのか? 単位のためだけに選択した講義とか。一つくらいあるだろ」


「いや、特には。知識欲は割とある方だから、どの講義も美味しくいただいてるよ」


「今食べてんのは学食のカレーだけどな」


 もぐもぐと、若干冷えた飯を頬張るこいつを見ながら、空になっていたお冷を入れにいく。俺はもう食い終わった後だし、午後からの講義もない。


 暇だからもう少し付き合ってやるか。


「で、宗教に関してだけど」


 あ、前言撤回したくなってきた。


「土着信仰といえば、日本の神道もそれに分類するのかな? ほとんどぶっ//(時間切れ)




 二回目

 お題『急な吐息』

 必須要素(無茶ぶり)『太宰治』

 文字数『930文字』 完結


 タイトル『衝動』


 昔から、急に死にたくなる時がある。


「はぁ……」


 そういう時は決まって、辛気臭いため息が出るもんだ。


 幸いなのは、『人間失格』みたいに女と心中にしけこもうとするようなダメ人間じゃなかったことか。


 でも、死にたくなるのは変わらない。


 そういう意味じゃ、俺の人生は常に『死』と隣り合わせの日々だった。


 小学生の頃、好きだった子に恋人がいるってわかって死にたくなった。


 中学生の頃、頑張って練習した部活の大会でミスしまくって死にたくなった。


 高校生の頃、定期テストで赤点ギリギリの点数をとって死にたくなった。


 大学生の頃、入学からつるんでたダチと疎遠になって死にたくなった。


 新社会人になって、自分の仕事のできなさに死にたくなった。


 そうして今は、冷蔵庫に常備していたビールのストックを買い忘れたことに気付いて、死にたくなっている。


「……しゃあない、コンビニ行くか」


 部屋着に着替えた後で気づいたから、死ぬほど面倒くさい。


 それでもまだ死ぬ理由としては弱いから、渋々着替えて財布を持った。


 年々、俺の死ぬ理由は陳腐でどうでもいいものになっていく。


 最近じゃ、後輩の女性社員から睨まれただけで死にたくなった。俺、なんもしてなかったのに。


 死にたくなるきっかけが増えると、休みの日とかについ考えてしまう。


 俺が、知らず知らずのうちに『死』に近づいているからなんじゃないか、って。


『死』に至ることに、自分が納得できる理由を探すために、生きているんじゃないか、って。


 なんでもない日常の中で、なぜこう何度も死にたくなるのか。


 答えは誰も教えてくれないし、自分もわかっていない。


「ありがとうございましたー」


 ビールと、ついでにつまみをいくつか買って、帰路につく。


 街頭だけが光源の、寂しい道だ。ああ、また死にたくなってきた。


 独り者が長いと、一人でいるだけで死にたくなる。そんなに、恋人がいるやつを羨ましいと思ったことなんてないくせに。


「……はぁ」


 また、ため息が出た。


 帰って酒を流し込んで、今日を忘れて明日を生きよう。


 ため息がタナトスを、追い越す前に。


『衝動』の方は自分でも気をつけないと、と思ってしまいましたね。死にたくなる感覚は、私にとって身近だからこそ書けたネタなんでしょうし。


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