772回目 2021/4/25
今回の無茶ぶりは過去最悪でした。
一回目
お題『馬鹿な消しゴム』
必須要素(無茶ぶり)『周囲とのレベルの違いを見せつけるような巧みな描写』
文字数『1028文字』 完結
タイトル『期末テストに退路なし』
「あ」
ぐに、という擬音が聞こえそうな勢いで、俺の最後の希望が潰えた。
期末テスト二日目。二コマ目の数学B。試験時間は残り四十分強。
消しゴム……崩壊。
「…………」
何故だろう……走馬灯が見える。
数学はめちゃくちゃ苦手科目だ。なのに理数系を選択した俺はバカの筆頭だろう。
だって文系も嫌だったんだから仕方がない。文理選択の時は、暗記科目の方がクソに見えたんだ。
実際、学年が上がったら勉強のレベルに圧倒されて、中間は赤点連発の散々な結果。
期末はせめて赤点回避を目標に、俺なりに努力したつもりで挑んだこの日。
消しゴムを……忘れた。
何とか一コマ目を乗り切れたのは、最後の希望だったシャーペンのノックする方についた小さな消しゴムがあったからだ。
確実に間違いがわかったものだけ消していく事で消費を抑え、あとは運まかせで空白を埋めまくる荒技。
しかし、文章をやたら書かないといけない数学Bじゃこの手は使えず。
何とか奮戦していたシャーペンの消しゴムは、あっけなくぱっくりと割れてしまった。
「…………いや」
それでも、諦めるわけにはいかない。
すでにこの日受けた試験は赤点ギリギリレベルなんだ。
わからないから、後に引けないからとテストを諦めてちゃ、それこそ赤点になっちまう。
書こう。なんでもいい。奇跡が起こることを信じて、文字を間違えないように回答用紙を埋める!
そこからの時間は、妙に長かったように思う。
体感時間が引き延ばされ、考える時間が延びて、鉛筆の動きも遅く感じた。
人間の危機察知能力は退化している、なんてテレビで見たことがあるが、あれは嘘だ。
後がないほどの窮地を知らないだけで、本当は誰にでも危機察知のスイッチは入る。
それを、俺はこのテストで証明した。
「それまで」
そして、テストは終わり、俺は長いため息をついた。
出し切った……もう脳からは何も出てこない。それくらい頑張った。
これだけ本気になったことなんて、今まであっただろうか? たぶん、初めての経験だな。
悔いはない。今は帰って寝たかった。
「それじゃあ、次は物理のテスト、頑張れよ」
……後日、俺はたくさん赤点を取って、小遣いを半額以下にまで減らされた。
どうやら俺には危機察知能力はあっても、危機回避能力が備わってなかったらしい……ちくしょう!!
二回目
お題『贖罪の運命』
必須要素(無茶ぶり)『腸内洗浄』
文字数『751文字』 未完
タイトル『彼岸の枯れ尾花』
腸内洗浄には美容効果がある。
そう、彼女を誘って美容整形外科に連れてきたのが一時間前。
「それでここまでするかね?」
「それがアンタのオーダーでしょ?」
話しかけた女医は、なるほど美容整形の有名人とあって整った顔立ちをしている。
が、俺が連れてきたターゲットの腹を大量の水で破裂させた毒婦にしては、少々体が綺麗に整いすぎている。
「着替えたのか?」
「まぁね。人間なんてどれだけ外を作り替えても、少し腹を開けば糞尿が詰まった肥溜め袋でしかないもの。顧客の前に出るんだから、それなりに身なりは直さないとね」
「心にもないことを」
この女とは長い付き合いだが、今まで処理の後で身綺麗にしたことなど一度もなかった。
俺もこいつに依頼した顧客の立場だが、どうやら後に身なりを気にせざるを得ないほどの顧客が待っているらしい。
「時間が押しているようなら出直すが?」
「あら、殊勝。でも、報酬だけは置いていってね。アフターケアも無償じゃないんだから」
「わかっている」
ポケットから無造作に取り出した茶封筒を女医に渡す。
俺の方の依頼人から渡された額の九割だが、果たしてこの守銭奴が満足するか。
「……これだけ?」
「依頼人から受け取った額の九割。いつも通りだが?」
「はぁ……あんた、復讐代行なんて商売やってんのに、どんだけサービスすれば気が済むわけ?」
「死んだら金に価値などない。六文銭さえあれば三途は渡れる」
「死ぬまでに煩悩を叶えようとも思わない、って?」
「この仕事を始めた時から……欲などすでに削ぎ落とした」
話は終わった。写真も撮った。話の詰めは後日でいい。
目的がなくなったため、女医に背を向ける。
「あいそのないまた来なさい//(時間切れ)
『周囲とのレベルの違いを見せつけるような巧みな描写』をしろとか、ただただハードルを上げるだけのクソな指定だと思います。
もうほぼ無視した形になりましたが、私にできる範囲などたかがしれているのでいいのです。いいのです。




