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757回目 2021/4/10

 やたらむっつりスケベなキャラを書いていました。


 一回目

 お題『かゆくなる夫』

 必須要素(無茶ぶり)『谷崎潤一郎』

 文字数『985文字』 未完


 タイトル『過激な刺激』


「み、ミヨさん?! 何を呼んでるんですか?!」


「んー? 谷崎潤一郎」


「エロ本じゃないですか!!」


「文学作品になんちゅーこというんだ、うちの旦那は」


 静かな読書タイムをぶち壊した夫にため息をつきつつ、春琴抄のページに栞を挟んだ。


「僕がそういう作品にアレルギー持ってるの知ってるじゃないですか!! あー、かゆい! かゆくなってきたぁ!!」


「大袈裟な……それ多分気のせいだと思うよ? ってか、夫婦になったんだし今さら性のことをとやかくいうのが変でしょ」


「しょうがないじゃないですか!! 僕だって克服できるならしたいですよ!!」


 忙しく体をかきまくる夫は、実際に蕁麻疹のように発疹やかぶれが浮かんでいた。


 精神的な発疹、まあいわゆる心身症ってやつらしいんだけど、夫はとにかく性的コンテンツに対して過剰な反応を示してしまう。


 詳しく聞いたことはないが、なんか昔にトラウマ的な出来事があったらしい。


 そんなんでよく夜の営みは平気だよなぁ……なんて思うのだが、リアルと創作は別カテゴリらしい。


 なお、昨晩も新たな家族計画を頑張った。あまり比較対象はないけど、多分夫は男性の中でもお盛んな方だと私は睨んでいる。


「はぁ、えーと、軟膏は効くんだっけ?」


「はい! あるのならお願いできますか?!」


「りょーかーい」


 とりあえず目にした時点で症状が出るので、本は座布団の下に隠して、リビングの棚に置いてあった痒み止めを探す。


 にしても、私が読んでた本にはきちんとブックカバーつけてたのに、タイトル言っただけでこれだもんなぁ。


 というか、谷崎潤一郎の作風を知ってないと、こんな反応まず出ないだろうし……本当、好きなんだか嫌いなんだかわかんないなぁ。


「はい、じゃあ服脱いで。お詫びに塗ってあげるから」


「お、お願いします……っ!」


 まだかゆいのか、我慢しながらプルプルしている夫の背中を前に、軟膏を指ですくう。


 いやー、ここまでぶつぶつになってると、アトピー性皮膚炎っぽく見えてくる。


 本屋とかいったらすぐに発症しちゃうくらい敏感なのに、毎度私の買い物についてくるんだから、無理しちゃってるよなぁ。


「うぅ、かゆい……かゆいぃ……」


「はいはい、もうすぐだからねー」


 細身だけどいがいときんにくしつな//(時間切れ)




 二回目

 お題『わたしの好きなあそこ』

 必須要素(無茶ぶり)『人間使用不可』

 文字数『724文字』 完結


 タイトル『閉じこめられた赤き現世(うつしよ)


 駆ける。


 馳ける、駈ける、翔ける。


 大地を踏みしめる四肢は自らの体を運び、一陣の風となって貫き進む。


 草木をかき分け、悪路を踏破し、訪れ至るは鋭い崖のような丘。


 先端に立ち、見下ろし、荒い息を整える。


「ゥウオオォォォン!」


 そして、遠吠えが広くこだました。


 それは白狼と呼べる獣だった。


 脱色したかのように白い毛は、他の狼とは似ても似つかぬ様相ながら、怖じず媚びず、ただ孤高を示していた。


 天へ向けた吠え声はやがて収まり、再び丘の上から景色を望む瞳は真紅に燃える。


 この場所は、白狼が遠駆けすると必ず訪れる場所だった。


 この景色を、空気を、静寂を、白狼は何より好んでいた。


 異端の狼は、生まれて間もなくから孤独を強いられた。


 兄弟姉妹とは異なる姿から、仲間だと認識してもらえず割りを食ってばかり。


 果ては親までもが見捨てようとしたことで、白狼は自力で生きるしか術がなくなった。


 生き延びて三年。価格を極めた弱肉強弱の道を歩んできた肉体は精悍で、同年代の同種よりも逞しく大きい。


 地平線の果てに、日が登ろうとしていた。


 白狼はこの場所が好きだ。


 世界を独り占めにしているようでいて、世界には自分独りだと思わせられるから。


 仲間はいない。味方もいない。


 白狼は独り、世界の目覚めに祝福を告げる。


 遠吠えが、朝焼けの空気によく通る。


 尻尾は満足そうに振り回され、心なしか険しい表情から険が取れた。


 森の若き英傑は願う。


 最後まで、この景色は時の移ろいに汚されることなく、変わらずここにあれ、と。


 いずれ変わるものの恐ろしさを、すでに知っているが故に。


 表現は控えめにしてましたが、こういう(一作目の)書き方は珍しかったので、読み直して少しおもしろかったです。


 二作目は……無茶ぶりの条件が厳しくて、かなり変化球だった自覚はあります。


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