728回目 2021/3/12
最近、体調が安定しなくなりました。
一回目
お題『うるさい会話』
必須要素(無茶ぶり)『一人称』
文字数『1150文字』 未完
タイトル『スキーで調子乗ったら遭難した』
雪がしんしんと降っている。
地元が雪とは無縁の地域だったから、物珍しさもあってついつい視線がいってしまう。
実感はないが、理解しているつもりだ。雪国出身の人たちにとっては、日常的で邪魔な存在だとは。
それでも、憧れは止められない。雪は特別だ。そこそこの年齢を重ねた今となっても、子どものようにはしゃいでしまうくらいには。
「……まさか、遭難するとは思わなかったけど」
「てめぇが後先考えずに滑走禁止の場所滑るからだろうが、ボケ!!」
思わず遠い目になって、ひたすら積もっていく雪を眺めていたら、一緒に洞窟の住人となった友だちから吠えられた。
私たちは修学旅行の名目でスキー実習に勤しんでいた。
私はともかく、友だちのこの子がウィンタースポーツの経験があったから、教えてもらいながらビギナーコースを滑っていた。
でも、運が悪く私は運動神経が良かったようで、すぐにビギナーコースだと物足りなくなってしまった。
そこで、先生役だった友だちを連れて上級者コースを滑り、スリルを求めて木々の中を走って行ったら……場所がわからなくなったのだ。
そうこうしているうちに雪の降りは強くなるわ、ちょっと事故ってスキー板が壊れるわ友だちは足を捻挫しちゃうわ。
遭難だけでも厄介なのに、色々と不安が重なって身動きが取れなくなってしまったのが、ほんの少し前の出来事。
せめてもの救いが、雪を凌げそうな洞窟があったことだけど、あまり長居したくはない。熊の巣穴かもしれないし。
「これからどうすんだよ!? 私たち、連絡手段もねぇんだぞ!?」
「スマホとか持ってたとしても、電波が通ってるかもわかんないしねー。こりゃ、まずったねぇ」
「諸悪の根源が何余裕ぶっこいてんだ!! 足は痛ぇし腹は減ったし寒いし、マジでやってらんねぇ!!」
「まあまあ、ちょっと落ち着こうよ。あんまり叫んでると、体力なくなっちゃうよ?」
「お前は落ち着きすぎなんだよ!!」
いやー、こんな状況でも元気だなー。友だちがいつものテンションだから、すっごい落ち着いていられるのかも。
「ひとまず焚き火であったまろう? こうなったら救助を待つしかないね」
「……なんでスマホは持ってなくてライターとか持ってんだよお前?」
「女の子は秘密がいっぱいなんだよ?」
「それで誤魔化せると思うなよ……」
まあ、雪が降り積もった場所で焚き火ができるくらいの木材を調達できたのもおかしいしね。
我ながら運がいいのか悪いのか、近くに放置されてた薪? があって良かった良かった。
湿気ってたら火なんてつかないから、種火があっても意味なかったもんね。
「っつうか、マジでどこからひろってきたんだ//(時間切れ)
二回目
お題『ゆるふわな小説新人賞』
必須要素(無茶ぶり)『足の小指』
文字数『1051文字』 完結
タイトル『俺がオタクになった原点』
参考書を買いに行く途中、平積みされていた小説の帯が目についた。
「ラノベの新人賞?」
漫画の延長、くらいにしか思ってなかったジャンルなので、詳しくは知らない。
俺が読むのは大抵新書か、受験用の参考書くらいだったしな。
娯楽を親から禁止されてきたのもあって、あまり興味が持てないのも大きい。そういう奴は周りに結構いるが、俺みたいに無関心なのは少数派だってこともわかっている。
「……面白いのか?」
だからだろうか、出版社が大賞と定めた本を手に取る気になったのは。
宣伝用の帯には『どこにでもありそうでどこにもないゆるふわな日常!』と書かれてある。
読まないジャンルの煽り文句を見ても、内容がさっぱりイメージできないな。日記みたいな内容なのか?
「……どんな状況だよ?」
表紙をめくってみると、カラーのイラストがまず目に入った。
登場人物だろうか? 絵の状況から察するに、箪笥の角に足の小指をぶつけたらしい男の子が、畳の上でうずくまっている。
首を傾げながらパラパラめくってみると、どこかコミカルな絵柄で登場人物の生活を描いているシーンが多かった。
「なんか、イメージと違うんだな」
勝手な偏見だが、ライトノベルと呼ばれるジャンルは、もっとこう、下品なイラストが多いと思っていた。
それこそ成人系のコンテンツみたいな、肌色が多かったり布地面積が狭かったり、そんな感じの性的な表現が多いものとばかり。
だが、少なくともこの本はそういった類の内容ではないらしい。あらすじを目にしてみると、『日常コメディ』というジャンルのようだ。
「まぁ、試しに買ってみるか」
あんまり物欲がないからか、小遣いも結構溜まっている。たまにはこういう無駄遣いもいいだろう。
そうだな……スナック菓子やファストフードを食べる感覚に近い。生活に必要じゃないけど、たまに目にして買ってみようかと思う感覚。
同じ棚にあった他の小説は、特に興味が湧かなかったので、余分な出費はこの一冊でいい。
止まっていた足を動かし、目的の参考書も手に取ってから会計を済ませた。
「はぁ……帰るか」
店を出て、まっすぐ家に帰る。
ルーティーンのような、味気ない日常を歩いていた。
娯楽を自分から遠ざけていて、楽しいという感覚がわからなくなっていた。
だから、これはある意味、俺の転機だったのだろう。
今まで知らなかった世界の入り口が、すぐ近くまで迫っていた。
もっとしっかり睡眠をとった方がいいのかな? と思ってはいますが、良質な睡眠をとれている感覚はありません。睡眠、難しい。




