724回目 2021/3/8
連続で書いたので、ここら辺から頭がぼーっとしています。
一回目
お題『明るい音』
必須要素(無茶ぶり)『ケチャップ』
文字数『1068文字』 未完
タイトル『とある喫茶店での密談』
「おかえりなさいませ、ご主人様!」
ポップで明るい音楽が流れる店内に、また一人客が訪れたらしい。
「お待たせしました、萌え萌えオムライスです! 最後の仕上げを行いますので、ご主人様も一緒に愛情を込めてくださいね」
目の前に置かれた食事と、スタッフの手にあるケチャップの容器を眺め、見様見真似でやってみる。
「せーの、萌え萌えきゅん!」
「も、もえもえきゅん……」
「はい、ありがとうございます!」
やたら高いテンションを維持したままのスタッフは、オムライスにハートを描いた後、他の客の対応に向かった。
「いやぁ、いいもの見させていただきました。堅物のあなたがメイド喫茶の勢いに飲まれる姿、他の同僚にも見せてあげたかったですよ」
「……ここの店のルールには従う。問題を起こしたくはないからな……あ、意外とうまい」
仏頂面なのを自覚したまま、やたら高い価格設定のオムライスに手をつけてみると、そこまで酷い味でもなくて驚いた。
こういう店で出す飲食物は、ああしたサービスを理由に高価格帯に設定しているだけで、クオリティは低いものと偏見があったんだが。
案外、そうではないのかもしれない。それか、この店だけの特徴なのか? 今後、こうした店を使う理由もないので、真相はわからないままだろうが。
「それで、俺に話とはなんですか? こちらも、割と忙しい身の上なんですが?」
「わかってますよ、それを承知でお食事に誘ったんですから」
「ちなみに、店を選んだ決め手は?」
「面白そうだったからです」
「お店を出ていたら覚えてろよ、愉快犯」
態度や声音からほぼ百パーセント嫌がらせで連れてこられたと知り、ささやかな報復を心に誓う。
この店が悪いわけじゃない。目の前でニヤつく男の性根が悪いんだ。
「依頼を受けてほしいんですよ。期間が不明で、ややこしいやつを」
「除霊ではなく浄霊をしろと? 専門外だ、別の人に頼んでくれないか」
「ところがどっこい、そういうわけにもいかないんですよ……ほら、さっき接客してくれた子、見てみてください」
言われて、別の席で応対している女性スタッフを注意深く観てみる。
と、さっきまでは気づかなかったが、妙な気配が背中を中心に絡み付いているのがわかった。
「悪霊……にしては気配がわかりづらい。なんだ、あれは?」
「それがさっぱりだから、こちらも手をこまねいているんですよ。依頼者は彼女のご両親で、幼い頃から霊障に悩まされているそうです」
「成人前まて//(時間切れ)
二回目
お題『僕の小説練習』
必須要素(無茶ぶり)『直木賞』
文字数『1125文字』 未完
タイトル『夢思う、ゆえにただ書く』
僕が子どもの頃、歳の離れた従兄弟の兄さんが直木賞の候補に選出された。
結果は受賞とはならなかったものの、家族の間ではすごく話題になり、応援もしていた。
でも、兄さんはそれっきり小説を描かなくなったらしい。文筆家をやめてどうなったかは、家族も知らされてないそうだ。
もしかしたら、落選で心が折れたのか? なんて言う人ばかりだったけど、落選で筆を折るようなメンタルだったら商業作家にはなれなかったんじゃないだろうか?
僕は少なくともそう思うし、兄さんの小説だって面白かった。
本を読むようになってしばらく経ってから、当時の直木賞候補作を全部読んで、身内の役目を抜きにしても一番面白かったのが兄さんの小説だった。
だからどうして別の人が受賞したのかわからなかったし、選考委員の見る目がないと本気で思っていた。
だから、僕も小説を書き始めた。直木賞を目標にして、小説投稿サイトに何度も何度も書いては投稿して。
もちろん、と言ってはなんだが、ネット小説と一般文芸では『面白い』の評価が違った。
どれだけ上手く書けたと思っても、読者からの評価は弱く、反応も鈍かった。
複数のサイトで公開してみたけど、結果はさして変わらず。ネット小説にはネット小説の文化があり、僕が親しんだ小説とは文化が違ったのだ。
「そう思い込んで何年も投稿してきたけど、やっぱり、評価されないのはしんどいな」
また新作を一つ投稿して、自室で一人ぽつりとこぼす。
誰かに褒めたくてやってるわけじゃないけど、目標が直木賞なんだから人から認められないと進めない。
最初は兄さんの弔い合戦みたいな心持ちだったけど、次第に僕自身の夢にもなった直木賞受賞。
とはいえ、大学卒業後もフリーターみたいなバイト生活をしながら、小説をちらほら書いている毎日に、限界が来ているのも悟っている。
就活でまともな仕事につけなかったのは痛かった。今もそうだが、小説の方に軸足を置いてしまっていたのが、あんまりよくなかったんだろう。
働くと言う意識の中に、物書き以外の選択肢がなかった。
就活の一環で職業研究をあれだけやったのに、兼業作家ではなく専業作家にこだわってしまった結果がこれだ。
両親からも反対されながらやってきた道は、ただただ砂利道が続くだけの不毛な未来だったのかもしれない。
「……なんて、そんな表現で読者を引き込めれたら世話ないか」
ギシッ、と揺れる背もたれに体を預けつつ、築五十年以上はある天井のシミを見上げた。
ネット小説の文化だから、なんて言い訳も通用しなくなってきている。
僕に文才はない。よめなくはないか//(時間切れ)
たまった宿題がなかなか消化できなくて泣きを見ている夏休み終盤の小学生に戻った気分です。




