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692回目 2021/2/4

 久しぶりの完結を機に、ちょっと真剣に考察をしてみました。


 一回目のお題は『自分の中の液体』。血とか涙とかよだれとかリンパ液とか膿とかしか浮かばなかった私はどうなんだろうか?


『自分』の定義をさっさと『人間・人体』にしてしまった時点で、なんかいろいろ終わっている感じがする。こう、比喩的な何かで良かったのではないか? と今になったら思える。


 お題を食らってすぐはイメージをつかみ損ねて右往左往していたので、必須要素(無茶ぶり)の『イタリア』も『イタリアン』くらいしか思いつかなかった。


 ひとまずペペロンチーノでも出して無茶ぶりはお茶を濁そうとしたが、『自分の中の液体』はどう処理するのかぜんぜん決まらない。


 頭の中にあるのは『○く細胞!』だ。赤血球さんが酸素と栄養を運んでいるイメージしか出てこない。あの人たち『液体』の中の成分だから間違っていないし。


 ちょうど無茶ぶりでペペロンチーノ=食物を出すんだから、それ関係でなにか書けないか? と思考が暴挙に傾きだした。


 そこから軌道修正もかなわず、『洋食ファミレスでダベっている女子学生が、「○く細胞!」っぽい作品をベースに人間の体液について雑談する』、というほのぼのか殺伐かよくわからないものが生まれた。


 もう自分でもなにを書いているのかわからない段階になってから時間切れとなり、『1095文字』で私の暴走は強制ストップとなった。


 マジで途中から軌道修正できる気がしなくなって、時間制限がなかったらリアルに頭を抱えていた内容だったと思う。


 それに『○く細胞!』の要素を出したにもかかわらず、結局『自分の中の液体』についてなにも触れないまま終わったのも悔やまれた。


 完結をほぼあきらめている現状、せめてお題と無茶ぶりだけは組み込んでおきたいと思っている私の指針さえ満足に達成できなかった、と。


 こういう自責を繰り返すから、なにもしていなくてもメンタルが落ち込んだりするのだろう。わかっているが、これは自分の性分なので変えられるかどうかは怪しい。


 ひとまず、お題と無茶ぶりは初期に入れ込んだ方が安心、という反省はもう一度しておこう。何度自分に言い聞かせたつもりでも、少し時間がたつと忘れてしまうので効果はいかほどか知らないが。




 小さくない後悔を背負ってぼーっとしたまま、二回目の『即興小説』を書き出した。


 お題は『今度の海』。シンプルかつ情景が見えづらいワードだったので、この時点ではなにも案が浮かばない。せいぜい、キャラに海でも眺めさせるか、程度しか考えていなかった。


 それと、必須要素(無茶ぶり)はストレートに『佐々木』という人名。これも登場人物に名前をあてがうだけでいいので、実質ハードルがないも同然のものである。


 さて、こうなると明確なストーリーのイメージがわいてこない。あまり限定されすぎると難しいが、あまり自由すぎても難しいのが創作だ。


 一応『今度の海』が手がかりとしてあるものの、発想の転換としては広げるとっかかりとして小さい気がする。『今度』があるなら『以前』や『今』もあるのか? くらいで。


 話のネタ探しに苦戦しつつ、最初に考えていた『キャラに海を見せる』描写を冒頭に入れてみることにする。後は流れに身を任せて書いてみることになった。


 すると、意識しないまま大まかなストーリーができあがっていき、気づけば『中学生の頃に海の事故で親友を失った男が、慰霊碑の前で次の海の顔色をうかがう』、みたいなセンチメンタル系になった。


 意外だったのが、この話が完結まで書けたことだ。珍しく終わりまで書けて一分程度の見直しをし、『986文字』で完結をさせることができた。


 あまりに久し振りだったので、どうして完結させられたのかを少し考えてみる。あくまで一要素だが、『すでに終わった話』だから書けたのではないか? と予想する。


 扱いが難しい『時制』をいじった形式で、『現在→過去回想→現在』という構成がある。プロローグで物語が終わったことをキャラに語らせ、なにが起こったのかを追想する流れだ。


 特にバトルもので採用すると、回想部分でどれだけ絶望的なシーンがあっても語り部が無事なのが丸わかりになる、失敗例として有名ではある。


 ただ私が何となく書いたような『人間の感情の機微』を描くだけながら、過去になにが起こっていようが現在がどうだろうがあんまり関係なくなる。


 起こった事実そのものよりも、起こった事実によって移ろった心境を重視した内容であれば、問題になりにくい『時制』の変化なのかもしれない。今回の短編では、そう思う。


 それに、事件の内容が過去に終わったものであれば、私のように『出来事を一から説明したくなる書き手』にとっては、物語を極端に短くできる手法だと気づいた。


 好きなシーンから書き出せる人は別だろうが、私のようにストーリーの『時制』を通常の時間軸通りに書くことが癖になっている書き手は、『書きたい部分だけ』を書くことが難しく感じる。


『書きたい部分』に至るまでの伏線や前振りがないと、どうにも落ち着かなくなってしまうからだ。その点、『過去回想』の形を取ればだいぶ描写を省略して書くことができる。


 おそらく私にとっての『過去回想』は、切り出したシーン単体で伏線に使えるからだろう。自分が見せたいフィナーレに向かってつながりを臭わせられる要素であれば、途中で差し込むのも抵抗感がない。


 変なところの完璧主義、という奴だろう。これが起こったからこうなった、というのをまず書いておかないと気が済まない。事実だけを羅列すれば、どこに論理の矛盾があるかわからないから。


 書きたいシーンからの逆算くらいなら、執筆する前のプロット段階でよくするものの、清書段階ではあまり大きな展開の変更はしたくないと思ってしまう。考えるのが面倒くさいから。


 しかし、事前に物語のすべての背景を把握しておくこともまた、私にとっては面倒くさい。そのせいで、ときどき執筆から距離を置きたくなるのかもしれない。


 私の頭の中にはいつだって物語が駆けめぐっている。それを出力するのに、どれほどの言葉と技術が必要か、考えれば考えるほど途方もないからこそなにもできなくなる。


 どれだけの共感を得られる思考かはわからないが、私の頭は考えなくてもいいあれこれでいつもぐちゃぐちゃにかき混ぜられているようなもので、すぐに立ち止まってしまう。


 考えこめば考え込むほど、自分の浅さやつたなさに気づいてしまう。完璧になどなれはしないのに、完璧だけを求めてしまう。


 ただ物語を書くのが楽しかった初心が、今では懐かしくすら思う。一つ一つの描写に粗さと勢いがあって、純粋な楽しさだけがあった、遠い記憶だ。


 自分が面白いと思えるものを書く……それが小説を書き始めた動機だった。


 手前味噌だが、いろんな物語に触れていく内に目だけは肥えてしまったように思う。技術が追いつかないまま目だけが厳しくなると、こうも自分の足を引っ張ってくるものなのか。


 細かいことを気にしないほど、大ざっぱになりたい。好きなものに対して、特に自分が手がけたものに対して小姑(こじゅうと)のように目を光らせるのも疲れた。


 なにも考えずに、好きなことをしたい。たったそれだけの願望が、こんなに難しいとは思わなかった。


 ……ちょっと、文章に酔っている気がしてきた。そろそろやめておこう。深夜テンションで書いているものは、振り返ると死ぬほど恥ずかしくなるに違いない。


 まあ、自分の納得がいく形で完結させられたのはいいことだ。これからもがんばっていこう。そうしよう。


 今までの反省が適当だった、というのもあるかもしれません。元々、自分の成果を振り返るのが苦手だったのもあって、特にポジティブな方向での自己分析はすごく苦手でした。


 ですがまあ、もう少し考える力をつけてもいいかな、と今回は思いました。明日以降もそう考えられるかは謎ですけど。


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