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66回目 2019/5/20

 ほとんどが無駄になりがちなネットサーフィンでも、ときどき自分にとっての至言(しげん)金言(きんげん)が落ちていたりします。


 まあ、そういう場所に自分から飛び込んでいるからこそ出会うのでしょうけれど。


 私はツ○ッターをしてはいないが、この日とあるまとめ記事から『新人作家・作家志望者』が(おちい)るという恐怖の病の存在を知った。


 その名も、『凄いの書かなきゃ病』。


外薗昌也(ほかぞのまさや)さん』という方のつぶやきであり、症状は『肩に力が入る』や『難しいことばかり考える』他、『無理に背伸びする』という状態を重ねた結果、『1ページも書けなくなる』とのこと。


 ――それを読んだとき、めまいがした。


 ――背筋が震え、大きく跳ねた心臓がいやに痛く(わずら)わしい。


 ――自分では確認できないはずなのに、瞳孔(どうこう)が確実に広がった感覚とともに脂汗(あぶらあせ)が全身から吹き上がった。


 ――心当たりがありすぎる……怖ろしい病気だと、悲鳴を上げそうになった口を必死に食いしばった。


 ――しかし、口先だけをすぼめたところで、もう遅い。


 すぐに洗面台へ駆け込み、喉からせり上がるものをそこへ――


 と、大げさに話を盛るのはこのくらいにしておこう。


 ここはR15ではなかったはずだ。もちろん、現実の私は吐いていない。


 うん、自重(じちょう)


 とはいえ実際、自分へのハードルをどんどん上げていった私にとって、他人事(ひとごと)とはとてもいえない話題ではある。上記ほどの強さではないとはいえ、動揺はしっかりしていたのだから。


 なお、対処法は『自分に素直になれば一発で治る』のだそう。


 一応、この作品を通して『ハードルを下げよう』とはしていたため、私は『素直になる入り口』には立てていると思っている。(思っているだけの可能性もあるが)


 要は『開き直り』が、この病における効果的な対処法(くすり)なのだろう。


 自分の身の程――現状の知識や能力を知り、自分にできる範囲の作品づくりを心がける。


 変に上を意識しすぎないで、焦って結果を求めないように、手元・足下にある物を集めて組み上げる。


 試作品……いや、多くの駄作(ださく)を積み上げていくことが、『作家』という生き物に多く見られる生態なのだろう。


 そもそも、『傑作(けっさく)』とは作者が生むものではなく、多くの他者が『作者にとっての駄作(ださく)』に価値を見出したとき、初めて世に生まれる。


 よって『作者にとっての傑作(けっさく)』は、『作るもの』ではなく『目指すもの』であり、白紙の額縁(がくぶち)に飾って見上げるくらいがちょうどいい。


 ……まだ商業的プロではない身分であれば、そのくらいの考えでいた方がいいのだろう。


 なので私も、なるべく『駄作(ださく)を量産するクソ作家』のような活動をしていくのがよさそうだ。


 そう、我々アマチュアにとって『傑作(けっさく)』など、ゴミ屋敷を掃除してたら一万円札が出てきたくらいの(あつか)いでいいのだ。


 しかし、そうなるとふと疑問に思う。


 ――ならば、『プロ』が作る作品とは何を目指すのだろう?


傑作(けっさく)』ではないだろう。『作者にとっての傑作(けっさく)』が一生をかけても形にならないものであることは、おそらくプロやアマの区別などない。


『プロ』が提供するものとは何か……それは物語形式の『娯楽』だ。


 そして、『プロ』と認めさせるには作品一本で食っていけるほどの支持を得る必要がある。


 とすると、『プロ』が目指すべき作品の形は――『中毒性』あるいは『依存性』という付加価値をつけることだろうか?


 酒・たばこ・ギャンブル・麻薬などと同じように、『作者というブランドと信頼』で(つむ)いだ物語を世にばらまき、不特定多数の人間の脳に働きかけ快楽物質を引き出し酔わせる。


 そうして到達すべきなのは、正常な判断を失った大勢の『信者』を抱えた『教祖』あるいは『独裁者』となって、作品というアメをばらまき人々から金銭をむしり取る、いわばさぎs……


 と、大げさに話を盛るのはこのくらいにしておこう。


 ここはR15ではなかったはずだ。もちろん、現実の私はそのように事実無根で傲岸不遜(ごうがんふそん)なことを考えてはいない。


 うん、自重(じちょう)


 ネットは正誤など関係なく無秩序な情報が漂う海ですが、私たちが飛び込むポイントは私たちが見えている範囲でしかないですからね。


 日本海を見ながら太平洋や大西洋、ましてやインド洋になど潜れないのです。


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