618回目 2020/11/22
なんでこう、しんどい時に限って謎ワードを引き当てるんでしょうか?
一回目のお題は『愛と欲望の絵画』。初っぱなから意味が分からないお題を前にし、ほとんど投げやりになっていたのは間違いない。どう書けと? それが偽らざる本心だった。
それも、必須要素(無茶ぶり)で何か打開策が見いだされればよかったのだが、出てきたのは『《英語のクミ》』というあだ名みたいな何か。あれか? 『瘋癲の寅』みたいなやつか?
与えられたお題も必須要素もカオスで、どうしようもできない気持ちで挑んだ『即興小説』は、普通にしんどかった。なにも思い浮かばない時ほど、時間だけが早く流れていくし。
いっそのことワードを引き直そうか? とまで考えながら、何とか浮かんできたイメージのかけらを広い集めてプロットに組み込んでいく。
で、生まれたのが『クミという名前の先生が担当する英語コミュニケーションの授業中、隣で教科書に落書きをしている生徒を発見した女子生徒』、というシチュエーションである。
こんなシーンにオチもクソもないし、つけようもない。たとえつけたとしても、扱いきれない『愛と欲望の絵画』がじゃまをしてきれいに落とせやしない。
お題の足かせが重すぎて、『847文字』書いてあがいたところで時間切れになった。終わった瞬間、ちょっと安心してしまった自分もいる。
今回は……どう反省すればいいのかすらわからない。プロット段階から『無理だこれ』とあきらめていたものについて、どこが間違っていたのかすらわからないのだから反省点が見つからないのだ。悪い意味で。
昨日、自分の感性について迷子になっている疑惑が浮上したところで、さらに迷宮入りさせるようなものをぶち込まれてしまったのは、運が悪かったと言うほかあるまい。
誰かわかるんだろうか、このお題や無茶ぶりの正解? 私にはわからなかった。真相は迷宮入りでお手上げである。
ダークサイドを深堀りしてしまう前に、二回目の『即興小説』で何とか上書きできないか試してみた。
メンタルがふやけている状態で現れたお題は、『トカゲの雪』。『トカゲ』は変温動物だろ、と私の中にいる常識人がツッコむが、すぐに『ファンタジー設定だったらどうとでもなる』と思い直す。
それに、必須要素(無茶ぶり)がなぜか和風ファンタジーの『ぬりかべ』で、路線的にはファンタジーで固定されたけど、世界観が一気にぐにゃった。
『トカゲ』で『ファンタジー』というと『ドラゴン』がぱっと浮かぶため、西洋の印象がどうしても強くなる。それに日本の妖怪である『ぬりかべ』を同居させるとなったとき、私の中では食い合わせが悪いもの同士に見えてしまっていた。
一応、『ファンタジー』は『幻想・空想』的な意味合いなのだから、西洋だろうが東洋だろうが混じってしまっても本来は問題ないはずなんだが……迷いがまだまだぬぐい去れていない証拠なのかもしれない。
ひとまず、あまり考えすぎても動けなくなるだけだと思い、『雪と氷に支配されたとある国を白兎が訪れ、魔法で動く雪や氷の造形物の間を跳ね回って見て回る』、というちょっと不思議な世界観ができた。
なお、作中の白兎は人語を解さないし、もちろんしゃべらない。完全な野生動物として白兎を登場させた。なぜそうしたかは、私にもよくわからない。
氷づけになった人工物とかつて栄えた文明を、人の目ではなく動物の目を通して見ていくことでより無機質さを際だたせようとしたのかもしれないし、単純にノリだったのかもしれない。
そんなふわふわした感覚のまま、『707文字』とオチを思いつかないまま書いて時間切れになった。未完結も当たり前なので、落ち込みもしなくなっているのが少し情けない。
とはいえ、今までの私にはない短編だったと思う。自分の中にあるレパートリーでは、決して書こうと思わなかった内容だったことを思うと、挑戦という意味では成功したと思える。
こう、いつもは人物画ばかりを描いていたのに風景画を描いてみた、みたいな新鮮さがあった。このごろ、キャラにクローズアップして書くことが増えてきたから、よけいに物珍しい感覚に陥る。
読み直すと、ちょっとだけ癒される気持ちになったのも不思議だ。おっさんになってから、どうにも人との関わりがしんどく思えるようになったためかもしれない。人がいないと、少しほっとする。
うーん、箱庭療法的な解釈をしたら病み始めていたりするのだろうか? 定期的にメンタルが崩れやすくなるので、そこらへん心配は心配だ。
繊細な心のおっさんなんて、どこに需要があるんだか……機会があれば小説で書いてみようとは思うけど、作家としてはもっと心に余裕がほしい。切実に。
小説は自由に表現していいものですけど、やっぱ限度はありますよね。なんだよ、『愛と欲望の絵画』に合わせる『《英語のクミ》』って。意味わからんわ。




