611回目 2020/11/15
初対面の言葉とは、つきあい方がわからない私です。
一回目のお題は『高い死刑囚』。昨日に続いてまた『死刑囚』。そんなに話を広げられるバリエーションはないはずの『死刑囚』に気に入られても嬉しくない。
それに、必須要素(無茶ぶり)が『マクガフィン』となると、どうも『逃○中』のイメージが強くなってしまう。プロットはそれでいくしかないと、瞬時に決めた。
ちなみに、『マクガフィン』は以前にも『文楽』で話題に挙げたこともある言葉で、要は『主人公が物語を動かすための目標・動機として掲げる品物、概念など』を指している。
一番わかりやすい例が『ル○ン三世』で、作中でシリーズごとにねらう『お宝』が『マクガフィン』にあたる『物品』になる。『お宝を盗むため』に『ル○ン三世』があれこれ動くので、典型的な『マクガフィン』といえよう。
で、そうなると『高い死刑囚』の意味合いがほぼ『懸賞金の高い死刑囚』に変換されてしまうのだ。一番わかりやすい例が『お宝』だったため、『逃○中』的なイメージとつなげやすかったのが悪い。
というわけで、『高額な懸賞金がかけられた死刑囚(がほぼ確定の連続殺人犯)を捕まえようと考えた金欠の一般人が、偶然見かけるも返り討ちにあう』というプロットができあがった。
短編として、劇的な展開……起承転結の『転』がほしいと思ったらこういう構成に自然となっていた。やっぱり、結論から考えると作り方がいい意味で違ってくる。
ただし、調子がよかったのはここまで。本編を書いていたら圧倒的に時間が足りなくなり、消し忘れたプロットを含め『873文字』で時間切れになってしまった。
明確なゴールを設定するようになったのはよかったと思う。ここに向かって書けばいい、という目印があるのとないのとじゃ、精神的に楽なのは確かだ。
自分で設定したゴールも、考え方によったら『代用できる動機』って意味で『マクガフィン』っぽいなぁ、なんて考えてみたり。
私に必要なのは、目の前にぶら下げる『人参』だったのかもしれない。短期的に満足感を覚える何かを設定したら、もっと執筆意欲がわいてきそうな気がしてきた。
じゃあ具体的に何を動機にするのか? は……まだ思いつかないけど。
何か見えてきそうで見えてこない、変な感覚を抱きながら二回目の『即興小説』へ話を移そう。
お題は『どこかのブランド品』と、曖昧な表現もさることながら『ブランド品』という縁がなさすぎるものを提示されてまず困惑。
さらに、必須要素(無茶ぶり)が『文学フリマ』という、今まで聞いたこともない催しだったのでさらに混乱した。
調べてみた結果、『コミケ』の文学版……って理解で話を進めることにした。詳しく調べていると時間がなくなるので、暫定的な判断でやるしかないのだ。
しかし、『自らが《文学》だと思うものすべてが対象』みたいに書かれていて、かなり適応範囲は広そうだけど実際にどこまで取り扱っているのかは、最後まで謎だった。
ので、ほぼ空想で『文学フリマ』をでっち上げ、『大学の文学サークルで作った小説を販売してみたら、どこかの著名な作家の作風に似ていると指摘され、めちゃくちゃ売れたが後に著作権侵害で訴えられた』みたいなプロットができあがった。
実際にあり得ないことだろうけど、そういうのが小説らしくていいと思う私はプロット通りに書いていき、消し忘れたプロットを含め『1050文字』書いたところで時間切れになった。
文字数自体は多いものの、こちらは一回目よりも頭を悩ませながら書いた感じがする。土台となる設定が自分の中でふわふわしっぱなしだったのが、不安の種になっていたのだろう。
というか、『フリマ』で『ブランド品』だったら普通は『バッグ』とか『指輪』みたいなファッション関連のアイテムではなかろうか? 『文学』で『ブランド』って、古典系のこと?
ここまで悩むんだったら、『ブランド』の捉え方も少しは考えた方がよかったかもしれない。今回のプロットでは『他人のふんどしで相撲を取る』みたいな形にしたが、言葉をかえれば『偽ブランド』になるんだろうし。
うーん、まあいいことがあってから逆転してどん底へ、みたいな浮き沈みのある構想が自然とできたのはよかったのだろう。そう思っておこう。
考えながら書くと、ただ無意識で書いていた時よりも自分の執筆に関する理解が深まり、技術として身についている気になってくる。
この感覚が錯覚でないことを願うばかりだが、ひとまず自己満足はそこそこ満たせるようになったのでよかった――ということにしておこう。
『文学フリマ』って初めて聞きましたけど、どこでやってるものなんでしょうね? 『コミケ』の小規模バージョンをイメージしましたけど、実際はどんな雰囲気なのか……?




